ジブラルタル峻

詩の切れ端のような、いつかの誰かの手記のような、哲学で足を滑らせたような、そういう“不…

ジブラルタル峻

詩の切れ端のような、いつかの誰かの手記のような、哲学で足を滑らせたような、そういう“不通”の文章を書き続けている気がします。いつもお付き合い頂き、ありがとうございます。

マガジン

  • エンターテイナー・ストリート

    • 5,299本

    甘野充プロデュースの共同運営マガジン「エンターテイナー・ストリート」です。  共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。  小説、詩、エッセイ、絵、音楽、動画など、想像力と創造力あふれるアートやエンターテイメント作品をnoteで公開している人たちが集まって、作品を披露する場となります。  参加すると、自分の記事を共同運営マガジンに追加することができるようになります。  たくさんの人に自分の作品を読んでもらえるチャンスです。  参加費は無料です。  参加希望の方はトップ記事へコメントお願いします。 ルールは以下です。 ・投稿は自分の記事だけにしてください。 ・投稿は当日投稿の記事のみにしてください。  (過去記事は投稿しないでください) ・タイトル、タイトル画像、説明文は変更しないでください。 ※ 創作と関係のない記事は削除しますのでご了承のほどお願いします。 甘野充

  • 小説:剣と弓と本

    セド、ナスノ、ライが「冒険」をするお話。不定期更新中(2024/04/07時点)

  • 散文の仲間

    ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。

  • 小説:狐

    『狐』 ジブラルタル峻 作 2024年2月6日、30投稿にて完結。

  • 名刺あるいは名刺代わりの何か

    ジブラルタル峻自身についてジブラルタル峻が言い及ぼすような記事です。そんなに更新されないでしょう。

記事一覧

固定された記事

小説:普通日記 #2

どんぐりアーティスト、ミツマメ・レイさんのお店『まとまりのないレモネード』に行ってきました。生暖駅西口ビルの地下2階にお店を構えていらっしゃいます。そうです、そ…

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小説:剣・弓・本023「不確かな喜び」

【セド】  ライの言うままに塔を目指してひた走る。ネネがついてくるようだ。振り払うわけにもいかない。確かにネネは素早いが、俺が本気を出すと着いてこれないだろう。…

『勉強嫌いの僕がわずか100日でオコポンソン語検定一級に合格した話』|有料記事風無料記事(創作)

こんにちは! サミナキ・シロウ(爆笑応援塾・副塾長)です。 今回の記事は、オコポンソン語をマスターしたいあなたのための記事です。 勉強嫌いの僕でも出来た、オコポ…

「具体的な抽象画」(現代詩)

 しずかちゃんにさんづけで呼ばれたい、と人間の主人公は黄色い方の猫型ロボットに懇願します。 ▲展開▼  その陸橋はスピンオフドラマによく使われています。なぜなら…

どういたしまして!

SANAGARAロックフェスレポ(創作:1261文字)

スポーツライターのカムチャツカ朱海です。最近はなぜか音楽ライブ関連のお仕事をよく頂きます。駆け出しのスポーツライターになぜこのようなオファーが来るのか分かりませ…

アオイの行く末とノートルダム大聖堂

誰もルールを知らない球技に勤しむ男女七人夏物語は、突然幕切れします。 駅の改札口で散開したあと、アオイ(もはや性別はありません)は自然にかえります。自然に。 それ…

光栄です! ありがとうございます!

https://note.com/a123z/m/mc100ec4abaa9

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから、ダッキングでかわします。それはユーラシア大陸の幻聴によく似た少年合唱団のララバイでした。更に言えば、ホットドッグの…

小説:剣・弓・本022「斧と自由」

前回021 今回022 【ナスノ】  斧に目をやったライは 「トライベン製ですね……」とやや嬉しそうです。 「ん? トライベン? あのトライベン自由国? なぜ分かるので…

ピンクマカロンと濾過

息の荒いピンクマカロンを撫で回していたところまでは覚えているのですが…… 彼は眠い目を擦りつつ喋り続けます。 もうずっと前に長靴を克服していたのでデリダの声を聴…

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存在しない小説の読書感想文:創作

『アンダースローガールとパンナコッタの決意』(鶏冠とんび) ※本記事はネタバレを含みます。  高校2年の夏に『ペンネの島とミトコン・ドリア味の嘘』を読んで以来の鶏…

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小説:普通日記 #3

 高校時代の友人、暮内くんに誘われて、カヌレ観戦に行ってきました。  カヌレ観戦については後ほどにして、まず、暮内くんについて語らせてください。  彼は会うたび…

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小説:剣・弓・本021「蟻と斧」

【ライ】 「あ、ネネちゃんも行ってしまいましたね」とナスノさんはフラットに言います。 「単純な移動速度だけなら、セドさんにひけをとらないでしょうし、あと……」 「…

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現代詩『テーマ』

夏のイントロをシクラメンして、真夜中の季語を定めます。 それは時曜日の日課です。 彼女はテレビを消しました。 その通りです。テレビを物理的に消したのです。 すると…

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小説:剣・弓・本020「美と狂気」

【セド】 「なあ、ライ、あとどれだけ歩きゃいいんだ」とボヤくと、 「おかしいですね。事前の調査では睡りの塔にはもう着いていてもいいはずです」とライが片眼鏡をいじり…

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固定された記事

小説:普通日記 #2

どんぐりアーティスト、ミツマメ・レイさんのお店『まとまりのないレモネード』に行ってきました。生暖駅西口ビルの地下2階にお店を構えていらっしゃいます。そうです、そうです。麺や『もののみごとに』の隣ですね。あそこの「マサララーメン(五)」は格別です。しかし、(五)って何なのでしょうか。あ、この話はまた別の機会に。 レイさんは、元々両生類として暮らしていたわけですが(決定的な意味ではない)、この度爬虫類になったとのことで(暫定的な意義を含む)、新聞紙をさかんに千切っていらっしゃい

小説:剣・弓・本023「不確かな喜び」

【セド】  ライの言うままに塔を目指してひた走る。ネネがついてくるようだ。振り払うわけにもいかない。確かにネネは素早いが、俺が本気を出すと着いてこれないだろう。だから7割程度で流すように走る。すると、ネネが近づいてきて、俺の顔を見上げ、 「セド、もっと速く走っていいよ」  と言ったように聞こえた。  ん? 喋った、のか?  「聞いてる? セド、もっと速く走っていいって」  やっぱり。やっぱりだ! ネネが喋ったぞ!  俺は出所の不確かな喜びを味わった。この少女が喋ろう

『勉強嫌いの僕がわずか100日でオコポンソン語検定一級に合格した話』|有料記事風無料記事(創作)

こんにちは! サミナキ・シロウ(爆笑応援塾・副塾長)です。 今回の記事は、オコポンソン語をマスターしたいあなたのための記事です。 勉強嫌いの僕でも出来た、オコポンソン語の速習術・体得術を公開しちゃいます。 オコポンソン語とは この記事を読んで下さるあなたならもうご存じだとは思いますが念のため。 西ナノピコ島最東端の国、オコポンソン共和国。そこで話されている言語です。 話者は全世界で80000人と言われていますが、正確な数値ははっきりしていません。 オコポンソン語で

「具体的な抽象画」(現代詩)

 しずかちゃんにさんづけで呼ばれたい、と人間の主人公は黄色い方の猫型ロボットに懇願します。 ▲展開▼  その陸橋はスピンオフドラマによく使われています。なぜならば、ちょうどいい仕上がりだからです。  モンシロチョウをビート板に乗せます。防水加工はバッチリです。  新人のエビフライはスライダーのおばけに激怒しつつ、ある意味では、欲情していました。  張り裂けそうなムルロア環礁に導火線を付けて、ニフラムのような柔軟剤で仕上げます。イソギンチャクは生姜焼き定食を敵視しますが、

どういたしまして!

SANAGARAロックフェスレポ(創作:1261文字)

スポーツライターのカムチャツカ朱海です。最近はなぜか音楽ライブ関連のお仕事をよく頂きます。駆け出しのスポーツライターになぜこのようなオファーが来るのか分かりませんが、私としてはありがたい限りです。 さて『SANAGARAロックフェスティバル2024』行ってきましたよ。仕事を忘れて楽しんできちゃいました! オープニングアクトは昨年12月に『月餅’s(ゲッペイズ)』から改名した『隙間タイル』です。全員清掃員のコスチューム。マイク兼デッキブラシを握り締めたヴォーカル、ヤマダカン

アオイの行く末とノートルダム大聖堂

誰もルールを知らない球技に勤しむ男女七人夏物語は、突然幕切れします。 駅の改札口で散開したあと、アオイ(もはや性別はありません)は自然にかえります。自然に。 それは何事もないかのように帰ったというよりもむしろ、大地に還ることにバトンを渡します。 テフロン加工を施された、ミシンのボディは飛べないロボットの歩行移動を連想させます。天秤にかけられたウマとロバが釣り合う場合のムードを化学工場で蒸留し、商店街で振舞います。 クーベルタン氏は「酸化することに意義がある」そう言い残した

光栄です! ありがとうございます! https://note.com/a123z/m/mc100ec4abaa9

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから、ダッキングでかわします。それはユーラシア大陸の幻聴によく似た少年合唱団のララバイでした。更に言えば、ホットドッグの犠打であり、麦わら帽子の犠牲フライでした。 針に糸を通すように、新宿歌舞伎町を練り歩きます。まるでカナブンの求愛行為だな、それは黒い伝書鳩からのメッセージでしたが、冷めたピザはそっちのけで、地下鉄を目指しました。 どこへ続くのか不明のエスカレーターは上昇をやめず、コマドリのようなコケティッシュな声で仕上げにかかりま

小説:剣・弓・本022「斧と自由」

前回021 今回022 【ナスノ】  斧に目をやったライは 「トライベン製ですね……」とやや嬉しそうです。 「ん? トライベン? あのトライベン自由国? なぜ分かるのです? 形状ですか?」 「いや、紋章で判断できます。僕『紋章学概論』の下巻、大好きなんですよ。国ごとの紋章が図録で網羅されていて。トライベンの紋章はプラウ公国とすごく似ていて紛らわしいのですが、ほら、右上の星の数が二つなのでトライベン確定ですね」と微笑むライ。  私が美を求めるのと同様、彼は博物としての

ピンクマカロンと濾過

息の荒いピンクマカロンを撫で回していたところまでは覚えているのですが…… 彼は眠い目を擦りつつ喋り続けます。 もうずっと前に長靴を克服していたのでデリダの声を聴くことができます。 テッポウウオに選挙権を与えても、麻婆春雨を炒めようとはしません。それは旨味のあしたを決めるのがオセロの角に置かれた球体関節人形の吐息であることを巡るゴシップでした。 アップリケスタイルと呼ばれる決意は森のくまさんに預けられている【緩さ】に他なりません。 フカヒレに社会調査をさせて【おまじない】

存在しない小説の読書感想文:創作

『アンダースローガールとパンナコッタの決意』(鶏冠とんび) ※本記事はネタバレを含みます。  高校2年の夏に『ペンネの島とミトコン・ドリア味の嘘』を読んで以来の鶏冠体験でした。  本書『アンダースロー』は、『ペンネ』よりも読みやすかったと思うのですが、それは私の成長なのか、本作が単に平易なだけなのかは分かりません。  完全に文系人間の私。数学的な用語を出されると迷路にはまってしまいます。ところが不思議なことに鶏冠の作品内では数学の話が、大変カラフルに見えます。  高校の数

小説:普通日記 #3

 高校時代の友人、暮内くんに誘われて、カヌレ観戦に行ってきました。  カヌレ観戦については後ほどにして、まず、暮内くんについて語らせてください。  彼は会うたびに名前が変わります。わたしたちが彼に名前を与えるからです。それはあだ名や呼び名ではなく本質的な意味での名前です。XとYが織り成す座標ではなく、染色体レベルのゲノム編集です。もう少し補足すると、絹豆腐に見せかけた木綿豆腐であり、ポテトチップスの咳払いです。  そう言えば、多くの男性は過去の恋を【名前を変更して保存する

小説:剣・弓・本021「蟻と斧」

【ライ】 「あ、ネネちゃんも行ってしまいましたね」とナスノさんはフラットに言います。 「単純な移動速度だけなら、セドさんにひけをとらないでしょうし、あと……」 「あと?」 「あ、いや、いえ……なんでも無いです」  “ネネさんはナスノさんとそりが合わず、セドさんと一緒にいるのが一番だ”という件については言いませんでした。そんなことを言ったら、ナーバスなナスノさんが更に面倒臭いことになって大変ですからね。 「さて、ライ、あなたのアイデアだからこそ私は信じています。信じてはいま

現代詩『テーマ』

夏のイントロをシクラメンして、真夜中の季語を定めます。 それは時曜日の日課です。 彼女はテレビを消しました。 その通りです。テレビを物理的に消したのです。 すると、平方根が無数に飛び交う砂浜で、子供たちが熱の束を掴みながらはしゃぐサウンドスケープが立ち現れるではないですか。 そこにアキアカネが駆け付けます。ポケットにオニヤンマへの不等号的な手紙を隠していますが、それはラブレターを徹底的に微分したヘイトレターでした。 つまりそれはラブレターであることに舌打ちをしつつも、オニ

小説:剣・弓・本020「美と狂気」

【セド】 「なあ、ライ、あとどれだけ歩きゃいいんだ」とボヤくと、 「おかしいですね。事前の調査では睡りの塔にはもう着いていてもいいはずです」とライが片眼鏡をいじりながら語る。 「何か、睡りの塔、遠ざかってねぇか」 「確かにそんな風にも感じられますが」ライは冷静だ。  ナスノが目を見開いて、 「もしかして、これが精神系攻撃……」と力強く、かつ小声でつぶやいた。かと思うといつもの調子になり、 「嗚呼、私たちは精神系幻覚型攻撃を受けて、認識を書き換えられてしまっているのですね。