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小説:剣・弓・本024「識」

024
【投げ斧のリュール】

「リュール、あなたの目的を教えてもらえませんか?」この男、ナスノの問いかけにどう答えようかな。
 説明、面倒臭いんだよね。結社・しきについて。

 セド・マァンをに率いれたい。その交渉のためにやってきた、と正直に言ったら?

 このライっていう坊やはタイプ的に、

「えっ! 識のメンバーでもあるのですか? 驚きです。すごいすごい! 識、名前だけは知っているのですが、その実態は謎とされているんですよ。メンバー数は? どんな人がいるのですか? 入会条件は? 目的は?」

 みたいなことを聞いてくるんだろうな。
 このロン毛のナスノはどうだろう?

「結社・識は、美なのですか? それとも醜い存在ですか? 疑わしいですね」

 みたいな感じかな?
 まあいいか。交渉においては正直こそ最上って言うしね。
 あたしは彼らに洗いざらい話しをした。


「分かりました。それはそれは!!!!」とライは知的なエクスタシーに浸っている様子。

「セドなら塔のほうですが、ちょっと遅いですね? ライ、彼らを行かせて本当に良かったのでしょうか?」とナスノが言う。
「確かに心配です。合流しに行きましょうか? リュールさんもいることですし」

「え? ってことは、あたしはあんた達の護衛兵なの? これでも乙女なのに!」
「乙女は自らを乙女と称しません」とナスノが言う。

(つづく)

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