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駆けろ鉄路2千キロ!道東を鉄道で巡る旅 ~6日目②再びの大移動 後半戦

2022年8月26日(金)14:20 苗穂駅周辺

人身事故による1時間強の運転見合わせからなんとか復帰し、特急カムイ19号は滝川に向けて出発した。
苗穂駅を過ぎ、車両基地の横を通り抜ける。停まっているバリエーション豊かな車両が目を楽しませる。

ノースレインボーエクスプレス、キハ183系、奥に261系。

この時は知る由もなかったのだが、その後、ノースレインボーエクスプレスとキハ183系はいずれも2023年春の運転終了が決まった。なんとなく撮った写真がまた図らずも貴重なものとなった。

千歳線との分岐を過ぎ、最初の厚別駅に差し掛かった…ところで列車は停止。程なくして車内アナウンスがあった。警察の現場検証がまだ終わっていないらしく、ここでしばらく停車するとのこと。

なんで運転再開させたんや――

やはり特急おおぞらで新得に向かった方が良かったか…しかし今となっては改めて運転再開を待つしかない。時計を見ながらやきもきする時間が続く。
結局厚別駅では20分近く待たされて運転再開となった。滝川で乗り換える根室本線の出発は15:38。間に合うか…!?

待ってる間に天気も良くなった。
鱗雲が広がる、北海道、秋の空。
美唄駅。残念ながら今回は素通り。またいつか「歓迎」されに来ます。

美唄発が15:25。通常ダイヤで滝川まで16分。通常であれば15:38の出発には間に合わないが、アナウンスによると待ち合わせをしてくれているらしい。良かった。首の皮一枚繋がった…

滝川駅に到着し、急いで乗り換え。

撮影:15:42。待ってくれている!
画角とか傾斜とかお構いなしでひとまずキハ40を撮影。
車内から。根室本線、ここが始発。

車内は通学の学生がちらほら見受けられ、さすがに席は空いていなかった。まぁ乗れただけでもありがたいと思わねば。

根室本線:いざ東鹿越へ

15:44、6分遅れで東鹿越行きのキハ40は出発した。しばらくは函館本線と並走するが、やがて進路を右に変え、山に向かって進んでいく。

この辺りはまだ平地。田んぼが広がる。
東滝川駅。真っ直ぐな線路が伸びる。

ここでおもむろに車両の左側に立ち、山に向けてカメラを構える自分。

確かあの山の方に…
あの「ハウス」があるはずなんだが…

カメラを向けた先、赤平の森の中に、自分がこよなく愛する番組「水曜どうでしょう」の企画で家を建てた、通称「水曜どうでしょうハウス」が建っている。しかしさすがに森に囲まれたどうでしょうハウスの姿を見ることはできなかった。

何か見えないかと少し期待してたんだがなぁ。

赤平駅でかなりの客が降り、席に座ることができた。と同時に周囲の雰囲気が変わり、次第に山に近づいていることを実感する。

山が近くに迫ってきた。
上芦別駅で、先日見たタラコ色のキハ40と行き違い。
野花南駅。駅から真っ直ぐメインストリートが伸びるが、駅の利用者は多くないようだ。

野花南駅を過ぎると、長いトンネルに突入する。10分以上かけて全速力でトンネルを通り抜け、到着したのは…

背中で語るへそ踊りの像。

2日前に15分だけ立ち寄った富良野駅だ。
今日も富良野で下車はせず、直通でこの先の東鹿越に向かう。扱いがぞんざいでごめん、富良野。オムカレー食べたかった。

ふと窓の外から駅員さんが近づいてくるのに気づいた。「何か用かな?」と少し構えると、自分に目をくれることもなく、車両の横で何かを交換している。
あ、分かった。サボ(行先標)だ。それに気づいた人が車外に出て撮影しているので、自分も併せて撮影しに出ることにした。ほかの人のカメラに写るのも嫌だしw

「富良野⇔東鹿越」のサボ。代行バスが走っているからこその行先。

交換する前の「滝川⇔富良野⇔東鹿越」のサボも撮りたかった。まぁギリギリの乗り換えだったので致し方なし。

16:48、いつの間にか遅れを挽回し、定刻で富良野を出発。

富良野を出てすぐ、山にかかる雲の切れ間から天使の梯子が現れた。

幻想的…!

手前にはビニールハウスが並ぶ。富良野では寒暖差を活かしたメロン栽培が盛んだ。もしかしたら中で食べごろのメロンが実っているかもしれない、と、目の前の幻想的な風景そっちのけで良からぬことを考えてしまった。

山部駅から先は本格的に民家が少なくなってくる。カメラの向き先も、風景というよりは目の前に広がるダイナミックな雲になってしまう。

山にかかる雲と、
秋を感じる筋雲と。

雲に見とれてふと気が付くと、金山駅に到着。

かなやまかなやま。

ここから先は山の中。曲がりくねった線路を登っていく。

途中で空知川を渡る。遠くにダムが見える。

長いトンネルを越え、先ほど奥に見えた金山ダムのダム湖の上を渡る。

かなり広大なダム湖だ。貯水量は1億トンを超えるらしい。

橋を渡れば東鹿越駅に到着…と思いきや、直前で急停止。何事かと思うと、シカが出てきたので停車したとのこと。どうやら無事だったようで一安心。東鹿越だがシカ越えは許されない。

17:33、ほぼ定刻で東鹿越駅に到着した。

この先にも駅があるが、今はここが終点。
ホーロー看板。背後の車両がレフ板代わりになって明るく映る。
東鹿越から先、新得方面を望む。ここから先、列車は走らない。
さっき通ってきた富良野方面。湧き上がる入道雲が夏を偲ばせる。
駅舎。「鉄」な方々と、奥には通学の学生さん。

代行バスで峠越え

東鹿越から新得へは代行バスに乗り換えて進む。

駅舎内に掲示されていた代行バスの案内。

日は傾いているが、なんとか明るいうちの乗り換えとなった。先に新得に向かう代替プランだと19:45頃の真っ暗な中での乗り換えになったのだが、そのプランにしなくてよかったと心から安堵した。

だって、こんなの見せられたら、ねぇ。

おお恐ろしい。さっさと乗り込むことにしましょう。

新得までの代行バス。

バスは定刻より少し遅れて東鹿越駅を出発した。

バスはダム湖沿いを走る。夕暮れに染まった湖をなんとか撮影できないか…とカメラを構えていたが、あいにく木々に囲まれて湖が見えるチャンスは訪れなかった。
あぁ、残念、と思ってカメラを下ろした瞬間、木々の中に一直線に伸びる線路の姿が目に入った。しまった!と思ったが時すでに遅し。

Googleマップとストリートビューで当該箇所を。ストリートビューではフェンスが邪魔だが、バスの高さであればその上からの景色を見ることができた。ここを逃したのは今回の旅屈指の後悔。リベンジ…できるかなぁ。

次の幾寅駅は、高倉健主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影に使われた場所で、セットが残されていた。

「だるま食堂」のセットと、撮影に使われた実物のキハ40。
セットの駅舎。親子が下車していった。

昨日の増毛に続き、図らずも2日連続で高倉健の映画のロケ地に訪問することになった。しかし今回は素通り。いずれ再訪してみようか。その時にさっきの線路の撮影に挑むのもありかもしれない。

次の落合駅でバスに乗っていた学生は全員下車し、残るは自分を含め4名ほどになった。

落合駅。下車した子が自転車に乗り換えようとしていた。

落合から先、鉄道は南下してトンネルを越えるが、バスはそのまま東進、先にそびえる狩勝峠に向かっていく。
昔の根室本線は狩勝峠を通っていたそうで、その痕跡があるようなのだが。

あれ…か?

一応、白い看板が立っている箇所が「狩勝信号場跡」だった、らしい。道路から離れたところにひっそりとたたずんでいる。平らな土地が広がっているのは分かったが、近づいてみないと全容がよく分からない。でも、ここに再訪するのは難しい気がするな…

バスは緩やかにカーブした坂を登り、狩勝峠を越えていった。

すっかり日が落ち、黄昏時の狩勝峠。
同じ目の高さに山がそびえる。新得まで約400mの高さを一気に下る。

峠を下りきると、目の前は一面白い花が咲く畑になった。そば畑のようだ。

さすがに暗いのでうまく写せないが…

18:40過ぎ、バスは予定より少し早く新得駅へ到着した。

新得駅、1日目以来の再訪。
峠越えお疲れさまでした。

夕飯:新得そば

さて、新得に到着して、札幌への特急までは1時間ちょいある。そばの町新得に来たのだから、夕飯で新得そばを食べたい。
…が、18:30を回ると、そもそも営業中の店があまり多くないようだ。駅そばもやってない。そば専門の店ではなさそうだが、駅前にある食堂に入ってみることにした。

店内には団体2組と、おっさんが1人。あれ、さっきバスの中で見たおっさんだな。一足先に入ってビールをあおっている。

中はかなりレトロなたたずまい。花柄があしらわれた実家感溢れるテーブルに、横には年代もののレコードのジュークボックスが置いてある。ネットに上がっている新聞の記事からすると、稼働品だったようだ。マジか。

そばの風味を味わうなら冷やしが一番だろう、ということで、天ざるを注文。さすがに客がそこそこいたので待たされたが、時間の余裕はあるので、テレビの日ハムのプロ野球中継を見ながら気長に待つ。

待ってました。

テレビから流れてきたきつねダンスを見ながらいただく。手打ちではないと思うが、しっかりとコシのある食べごたえのある麺で、なかなかの美味。揚げたての天ぷらもうまい。

一通り食べ終わって、〆にそば湯をいただく。

タンブラーのような背の高い器に入っているそば湯。かなり濃厚そうだ。

そばつゆに入れて一口飲んだ瞬間「おっ」と驚いた。実はそばを食べているときはあまり気づかなかったのだが、削り節の風味が思った以上に強い。新得は海からは遠い地域だが、さすが北海道、海産物には抜かりなし。

ごちそうさまでした。

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一路札幌へ

腹もいっぱいになったところで、新得駅へ戻る。

ありゃ。

今の時刻は19:36。なのに18:18発札幌行きのおおぞら10号の表示がある。しかも「改札中」ではないので、到着にはまだ時間がかかる、ということだ。
案内放送を聞くと、おおぞら10号は2時間近く遅れているという。昼にあった函館本線の人身事故が何か影響したのだろうか。
とすると、乗ろうとしていたとかち10号も同じくらい遅れてるのか?ここで2時間待つのはかなり辛いぞ…と心配しながら駅員に尋ねると、帯広発のとかち10号はそこまで大きく遅れてはいない、とのこと。あぁ良かった。

20時を回り、とかち10号の改札が始まったので、ホームに向かう。

ホームの端から札幌方面を望む。

靄がかかっているように見える。というか寒い。慌てて長袖シャツをリュックから出して羽織る。
8月なのに、寒い、早く来てくれ!と祈るような気持ちで待っていると、やがてホームに特急とかち10号が入ってきた。

待ってたよぉ!

札幌に向かう列車なので指定席を取っていたが、隣はタンクトップ姿のやんちゃなお兄ちゃんだった。この寒いのにタンクトップ…だと…?

定刻より15分ほど遅れてとかち10号は新得駅を出発。

新得から先、南千歳までの石勝線は山の中を走るので、基本的に外は真っ暗で何も見えない。駅メモのチェックインもしないといけないので寝落ちも許されない。隣でずっと何かリズムを取り続けているお兄ちゃんに気をもみつつ、札幌までの2時間をじっと耐えた。

そして22:30、15分ほどの遅れそのままに札幌に到着。
トラブルはあったが、本日の500km弱の移動、なんとか達成。

ありがとう、とかち10号。

金曜の夜ということもあり、札幌駅はキャリーバッグをゴロゴロと転がしている人たちで混雑していた。新千歳空港から来た人たちだろう。人混みを見るのはこの旅初めてだ。さすが札幌。

再びの撮り鉄ターイム

さて、このままホテルに向かってもいいのだが、もう少し札幌駅に居座り、列車を撮影することにした。

3日目にも乗車した特急オホーツク4号。札幌が終点。
平常運転に復帰した特急カムイ。
「次は必ずや美唄に参ろうぞ。」

うむ、次こそは美唄の焼鳥を食べに行きたい。

キハ143形。室蘭と苫小牧を往復しており、札幌で見るのはレアらしい。
キハ261系の特急宗谷。
「わたしを出迎えに来たのかーいい心がけだー」

このキャラは名前を「美深ふぶ」といい、キハ261系が元ネタとなっている。宗谷本線は今回は乗ることはできなかったが、またいずれ乗ることになるだろう。その時までキハ261系、そして宗谷本線には健在でいてほしい。

撮り鉄してたら1時間近く経ってた。23時半。

もうちょっと札幌を撮影

せっかくなので札幌の名所を回ってみるか、と、チェックインの前にもう少し歩いてみることにした。

その名も高きがっかりスポット、札幌の時計台。

ホント街中にあるのね。確かにビルに囲まれていて、時計台だけを収めるのが難しい。

大通公園のさっぽろテレビ塔。

テレビ塔はイルミネーションで明るく輝いていた。

様々に色を変えながら輝く。

さて、間もなく0時になる。その瞬間、何が起こるだろう?
何か特別な光り方をするといいな、と期待したのだが、いつもスカイツリーを見ながら過ごす自分は、あ、こうなるんじゃないか、と察しがついた。

そしてついに0時を迎えた!

正解:消灯する。

時計台の鐘の音をバックに、特に何も起きずに消灯するテレビ塔。
うん、まぁ予想通りでした。

時計台、真夜中でも鐘が鳴るのね。

さて、ホテル向かいましょう。

一日の終わりにとうきびアイスを。

おつかれさまでした。

本日の成果

  • アクセス駅数: 62

  • 北海道での通算獲得新駅: 218

  • 移動距離(駅メモ!基準): 429km

  • 北海道での通算鉄道乗車距離: 1637.8km(+廃線33.4km)

次回予告

6泊7日の北海道旅行もついに最終日。
長かった旅よさらば!そして長かった旅行記よさらば!w
最終日も観光要素が薄く乗り鉄メインだけど、読んでもらえれば幸いです。


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