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駆けろ鉄路2千キロ!道東を鉄道で巡る旅 ~4日目

前の投稿からだいぶ時間が経ってしまいました。夏の盛りの内容の記事なのに、すっかり季節は冬に。暑かったあの日を思い出すのが難しい時期になってきた(汗

2022年8月24日(水)9:00 ホテルウィングインターナショナル旭川駅前

前日の大移動の疲れからか、ちょっと遅い起床になってしまった。朝食バイキングが終わってしまう前に、急いで12Fのレストランへ向かう。

ここでの朝食は、今回の旅でかなり楽しみにしていた。
何故かというと、

これ。
これですよ。

なんと、朝食バイキングの中に自分で作れる海鮮丼があるのだ!
さすがに釧路の勝手丼のように品数豊富、とはいかないが、この物価高の世にあってイクラも盛り放題とは素晴らしい。
お代わりもしたい放題!なのだが、他の北海道ご当地メニューもボリューミーだったので、1杯で十分。

朝からホテルで海鮮丼とは、いやぁ、贅沢ですなぁ。大満足。
12Fから見る旭川の展望もなかなかいいし…と思ったら、なんか雨降ってるんですけど!?

今日の行程

今日は6泊7日の旅行の中日。ということで、敢えて鉄道の旅は控えめにして、自転車旅行と洒落こむことにした。

目的地は神居古潭。アイヌ語で「神の住む場所」を意味する、いわずと知れたアイヌの聖地だ。
石狩川沿いに整備されたサイクリングロードを走れば片道20km程度で着くので、ちょっとしたサイクリングにはもってこいの場所といえる。

旭川に戻ってきたら昼飯に旭川ラーメンを食べ、続けざまに富良野線を往復。旭川到着後、良さげな居酒屋に入って旭川の地酒と北海道の海の幸をいただく、という算段だ。

どうですか、この完璧な計画。

…なのに出だしから雨ですと!?

レンタサイクルの旅、いざ出発

しかし希望は捨てていなかった。雨は降っているが、青空が所々に見える通り雨タイプだったからだ。
そしてにらんだ通り、しばらくして雨は止んだ。旭川駅に併設されている観光物産情報センターに行き、自転車を借りる。

今日のお供、GIANTのクロスバイク。

レンタサイクルといえばママチャリのパターンが多いと思うが、クロスバイクが借りれるのが、さすが北海道。自然の中を思いきり走りたいもんね。

では、神居古潭に向けて出発!

250km…この道を行けば、どうなるものか(いきなり道間違えた
気温は23℃弱。半袖で快適に走れる陽気。
市街地を通り抜け、石狩川に到着。

奥に鉄橋が見える。旭川から札幌方面に伸びる函館本線だ。
電車が通ったりしないか…

!?
えええっ!?

まさかのドンピシャのタイミングで上り下り双方の電車が通っていった。
今日は自転車の旅だけど、鉄道が忘れてくれるなと言っているかのようだw

石狩川を渡り、旭川サイクリングロードに入る。

ここからサイクリングロードはじまり。

最初のうちは河川敷の見通しの良い道だったが、次第に周囲を緑に囲まれ、ちょっと狭さを感じるようになった。河川敷を走っているはずなのだが、どこか森の中を走っているような感覚だ。

彩度の高い、北海道、夏の風景。

自転車を進めると、伊納という駅があった場所にさしかかった。廃止になったのは2021年3月だったので、何か駅舎でも残っているかと思って寄り道したのだが…

なーんもなかった。

駅舎は撤去され、ホームへの道は封鎖されている伊納駅跡を、特急ライラックが全力で走り去っていった。
廃止から1年半が経ち、だいぶ雑草も生い茂っている。周辺に民家は何軒かあるものの、駅周辺はこのまま雑草に埋もれてしまうんだろうか。これが廃駅の現実か…

寂しいね。

ここから先のサイクリングロードは以前あった落石の影響で通行止めになっているらしく、迂回が必要になる。

いつの間にか天気もかなり良くなった。
しかし肝心なところで日が陰る…うむむ。

迂回先は国道12号。札幌と旭川を結ぶ主要な国道とあって、トラックを中心にかなり交通量が多い。しかも歩道は雑草生え放題で凹凸も激しく、やむなく車道を走るしかなく、かなり緊張する。

シカも出てくるらしいし。

ビクビクしながら進むと、こんな看板が。

むむ、迂回せよ、とな。

この先のトンネルは歩道が非常に狭く、歩行者と自転車は左の坂を下りて迂回せよ、ということらしい。
しかしこの交通量が多い国道から離れることができるのはありがたい。スピードに気を付けながら坂を下っていく。

坂を下りた先はサイクリングロードだった。下流に向かって右岸は通行止めになっていたが、左岸にもサイクリングロードがあり、こちらは問題なく走れるらしい。
…というか、こんな道があるのであれば早く言ってほしかった。

だってこんなにステキな道なんだもん。
これは気持ちいいじゃないか。

先ほどと違い、程よく木々に囲まれながら石狩川沿いを走るのは最高に気持ち良かった。これぞ北海道サイクリング!そこら中バッタだらけだけど。

しばらく進むと、「ニッネカムイ覆道」というトンネル状の建造物がある場所に出た。

ニッネカムイ覆道。車道です。左がサイクリングロード。

「ニッネカムイ」はアイヌ語で「悪の神」、すなわち魔神を表す。緑で隠れているが、覆道の上に大きな岩があり、アイヌの守護神サマイクルの刀で切り離された魔神の胴体だと言われている、らしい。そんな曰くつきの場所の下を通るの…なんか怖い。

そしてこのニッネカムイの周辺、驚いたことにミンミンゼミが鳴いていた。なにげに今回の北海道旅行で初めてセミの声を聞いた気がする。
でも、北海道でミンミンゼミ…?と思って調べてみると、北海道では局所的にミンミンゼミの生息域があるらしい。それがこんな場所にあるとは。
その証拠に、少し進むとまたセミの声は聞こえなくなった。

うーむ、不思議なものだ。

やがてサイクリングロードは再び国道と合流した。
石狩川と並走しながら走る。

巨岩がごろごろしている。旭川市街とは全く違う表情を見せる。

そしてついに…

神居古潭にとうちゃこ!

時刻は12時半ころ。10時半前に出発して20kmちょいなので、12時までには着くかなと思ってたけど、予想以上に時間食ってしまったw

神居古潭 ~アイヌの聖地、そして「鉄」の聖地

木造の橋を渡って神居古潭へ。

国道の方から神居古潭へは木造の橋が架かっている。橋の白さが緑の中に映えてとても美しい。

足元の岩には穴が開いていた。

橋の下、足元のゴツゴツした岩に穴が開いている。並んで8の字に開いているのがいかにも人工的だが、自然に空いた「おう穴」とのこと。えー、こんなに綺麗に開くもの?と、どうしても神の仕業を信じてしまいたくなる。

橋の先には、一軒の木造の建物がひっそりとたたずんでいた。

赤い屋根が鮮やか。
正面の看板。「旧神居古潭駅舎」とある。

看板が示す通り、この建物は、過去にここにあった「神居古潭駅」を復元したものだ。現在の函館本線はこの辺りをトンネルで通り抜けるが、昭和44年までは地上を走っており、ここの駅も旅客駅として利用されていた。

中は休憩所になっている。駅ノートが置いてあったが、見事にゴールデンカムイだらけだったw

駅舎の奥には当時のホームが残されている。上り下りの2面ホームがあったようだ。交換駅として使われていたのかもしれない。

札幌方面のホーム跡。線路跡は舗装され、サイクリングロードになっている。
旭川方面行のホーム跡。「名所案内」の看板がいかにも駅ならでは。
駅名標。廃線から50年を経ても、意外と綺麗な状態。塗り直してるのかも。

さて、札幌方面に目を向けると、面白いものが展示してあった。

いかにもなレンガ造りの橋脚の向こうに…
SLが!

この写真では奥の方が良く見えないが、SLが3両並んで静態保存されている。博物館でもないのに3両も置いてあるのは珍しいのではないだろうか。

29638。1917年度製。なんと100年以上前!
C57 201。1947年製。C57形のラストナンバーだそうだ。
D51 6。1935年製。こちらはデゴイチのかなり初期の製造。
「師匠!! この車両が特にカッコイイな!!」

突然現れたこのキャラ、「駅メモ!」に出てくるキャラクターで、その名も「神居コタン」という。SLの蒸気のように熱く燃える熱血娘という設定で、写真のD51 6がデザインの元ネタになっているそうだ。

駅メモのキャラクターの元ネタと一緒に写真を撮る。
はい、このために遠路はるばる神居古潭に来ましたw
無事ミッション達成。駅舎で少し休憩し、帰途に就くことにした。

動輪のオブジェと青空と。

橋を渡って国道の方に戻ってくると、1軒だけ小ぢんまりとした商店が営業しているのに気づいた。「とうきび」ののぼりが立っている。
ほう…

買いました。

隣に東屋があったので、そこに腰かけ、遠くに神居古潭を眺めつつ、買った茹でとうきびをいただく。

いただきます!

うまい!甘みがしっかりしていて、思わず顔がほころぶ。
一緒に売っていた「しそジュース」もいただいた。素朴な甘酸っぱい味が懐かしさをそそる。

栄養補給したところで、旭川に向けて出発。

さらば神居古潭。

帰りは国道12号をまっすぐ行けばよい…はずが道を間違えて若干のタイムロスをしつつも、15時過ぎに市街地に戻ってこれた。概ね事前の計画通り。

旭川駅のアイコンがキハ183系じゃないですか。いいねぇ。

昼飯:旭川ラーメン

旭川市街に戻ってきて、遅めの昼飯。駅から比較的近い所にある有名店「らーめんや天金」に向かう。

店の前に着くと、数名並んでいる状況。この後の予定もあるので悩んだが、それでもラーメン屋だから回転は早いだろう、と見込んで並ぶことにした。その予想通り、15分も待たずに中に入ることができた。

待っている間にオーダーを取ってくれていたおかげで、席について割とすぐにラーメンが出てきた。助かる。

正統派、正油ラーメンで勝負。

「正油ラーメン」だが、スープは豚骨ベースとのこと。豚骨醤油ということか。さらにスープが冷めないようにラードで油膜が張ってあるので、いわゆる「中華そば」のようなあっさりした感じはない。しかし深いコクがあり、絶妙なバランスで「うまい」と言えるラーメンだった。
これ、呑んだ後に来れたら最高だろうなぁ。営業時間的に無理なんだけど。

旭川の味、おいしゅうございました。

今日の鉄道 ~富良野とんぼ返りの旅

旭川駅に戻り、自転車を返却。
一旦ホテルに戻って着替えた後、再び旭川駅へ。富良野線の車両が停まっているホームへ向かう。

キハ150形。淡いラベンダー色の帯が特徴。
こっちは回送車両。帯の配色が逆になっているのが面白い。

時間は16時過ぎということで、制服を着た高校生が多く乗車している。そうか、北海道はもう夏休み終わってるんだな。地元の男子高校生と向かい合わせになって座る。

16:20、旭川駅を出発。

旭川市街を抜けると、西御料、西瑞穂、西神楽、西聖和と、「西」の駅が4つ続くエリアを通り過ぎる。この辺りは田んぼが広がっていて、黄色く色づき始めた稲穂が日に照らされて輝いていた。

収穫の時は近い。

山に入ってきたかな?と思うと、美瑛町に入る。美瑛といえばジャガイモの産地。斜面いっぱいに広がるジャガイモ畑の景色が特徴的だ。

あっ、あの建物は!

この「赤い屋根の家」の風景は美瑛、ひいては北海道を象徴する風景として有名だ。CMやポスターなどで見たことがあるかもしれない。
富良野線の見どころの一つだが、花咲線のように徐行はせず、普通に通り過ぎて行った。もうちょっと落ち着いて撮りたかったけど…

美瑛町を過ぎると、富良野エリアに入る。富良野といえばラベンダーだが、時期は過ぎてしまったので見ることができず、斜面も寂しい感じ…ラベンダーが咲いている時期にまた来よう。

中富良野駅。80年代を彷彿とさせるファンシーな女の子がお出迎え。

旭川出発から1時間ちょっとで、富良野線の終点、富良野駅に到着。

西日に照らされる駅名標。

乗ってきた列車は、折り返しの旭川行きとなって15分後に出発する。
で、自分はこの列車に乗って戻る。

滞在15分の富良野観光スタート。

んなこと
言われましても
どこにも行けませんがな。
ねぇ。

富良野観光終了…
申し訳程度に、駅に停車していたタラコ色のキハ40形を撮り、帰りの列車に乗りこんだ。

根室本線で滝川へ向かう列車だ。
並んで撮影。2分差で別方向に向け出発する。

17:55、手前のキハ150形に乗って、旭川に向けて出発。

ああ、
日が沈む。
夕日に赤く照らされる旭岳。噴煙が上がっている。
日没後で暗くなる中、赤い屋根の家もなんとか撮影。

旭川駅に戻ったころにはすっかり暗くなっていた。

あ、伊豆急のTHE ROYAL EXPRESSが来てるんだっけ。

夕食:海の幸と地酒、のはずだったのだが…

日が落ちて少し寒くなったので、一旦ホテルの部屋に戻り、上着を羽織って呑みに出かけた。
目当ての店は昨日の段階で決めていた。予約はしてないが、平日だしまぁなんとかなるだろう。

…と思っていたのだが。
その店、やってなかった。

「やってなかった」というのは休業日だったわけではなく、その店の主人が店の前で煙草をふかしながら隣店の人とだべっているのを目撃してしまったのだ。開店休業状態だったのだろうか。そこに声をかける勇気はなかった。

慌てて他の店を探してみるが、やはりさっきの店の印象が自分にドンピシャすぎて諦めきれず、時間をおいて再度来訪。

状況変わらず。

…あぁ、これは今回は縁がなかったな、と諦めることにした。
この無念はまたいつの日か晴らさねばなるまい。

ひとまず今日は、

お疲れさまでした。

本日の成果

  • アクセス駅数: 21

  • 北海道での通算獲得新駅: 137

  • 移動距離(駅メモ!基準): 137km

  • 北海道での通算鉄道乗車距離: 1004.6km

  • 自転車の移動距離: 約41km

次回予告

気を取り直して5日目。北海道の旅も後半戦に入る。
目的地は翌年3月に一部廃止が決まった留萌本線。
見納めになるかもしれない景色、しかと目に焼き付けよう。


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