駆けろ鉄路2千キロ!道東を鉄道で巡る旅 ~5日目
2022年8月25日(木)8:45 ホテルウィングインターナショナル旭川駅前
今日も海鮮丼からスタート。
実はバイキングの中にスープカレーもあったのだが、なんとなく昨日も食べた海鮮丼を選んでしまった。あれだ、リピってやつだ。
申し訳程度に、てっぺんに乗せたわさびが北海道特産の山わさびに代わっている。
今日の行程
今日は旭川を離れ、留萌本線に乗って増毛まで行く。
「ましけ」である。念のため。
ん、留萌本線で増毛?と、鉄道に詳しい人なら疑問に思うかもしれない。というのも、留萌本線は2016年12月に留萌~増毛間が廃止になっている。しかし駅メモ上ではこの区間の駅も「廃駅」のスポットとして残っており、きちんとアクセスしないと留萌本線を制覇したことにならないのだ。ゲーム内アイテムを使った遠隔アクセスも可能だが、やはり現地に行くのが自分のポリシー、留萌からバスを使い、当時の終点の増毛へ向かう。
留萌本線を往復した後は、札幌方面に向けて少し函館本線に乗り、滝川が本日の最終目的地となる。
留萌本線の始点、深川へ
10時前にチェックアウトしたが、留萌本線の運行本数の都合で、出発までには少し時間がある。旭川駅の南口に面した公園でぼーっと時間を過ごすことにする。
良い天気になった。空には鱗雲が浮かんでいる。前日の不安定な夏の天気から一転、秋の空になりつつある。
ちょうど季節が移り変わるいい時期に北海道に来れた。盆明けの北海道、おすすめです。
いい時間帯になったので、ホームへ向かう。
10:35、キハ40で旭川駅を出発。
あちこちで見かけはしたが、そういえばキハ40に乗車するのは今回が初めてだ。しかしレトロな雰囲気の車内を撮影する暇もなく、30分足らずで深川駅に到着。
見納め?留萌本線の風景
跨線橋を渡り、留萌本線に乗り換える。
留萌本線だから留萌方面なのは当たり前なのだが、少し複雑な気持ちになった。翌年の3月末で石狩沼田~留萌間が廃止になるからだ。さらには残った深川~石狩沼田間も2026年3月末で廃止とのこと。
もしかすると自分がこれを見れるのは最後かもしれない。心して行かねば。
ど平日だし、自分のような「鉄」はいてもそこまで混んでないだろう…とたかをくくって車内に入ると、なんと座席は完全に埋まっていた。「鉄」ではない、明らかに観光旅行の人たちが乗っている。胸にはクラブ○ーリズムのバッジが。
どうやら廃止間近の留萌本線に乗って留萌に行くツアーが開催されており、その客のようだ。そういう時には増結してくれ…とも思いつつ、邪魔にならずに外の景色が撮影できそうな場所に立つ。最後かもしれない景色なのに、カメラのモニター越しにしか見えない。つらい。
11:10、留萌に向け出発。
留萌本線は少し小高いところを走っており、とても見晴らしがよい。目の前は一面の田んぼ。ここまで広いのは北陸などの米どころでもなかなか見かけないかもしれない。
石狩沼田から先が翌年3月に廃止になる区間だ。車窓から見える、最後の夏の景色。
調べたところ、ここは正しくは恵比島駅。平成11年のNHKの連続テレビ小説「すずらん」の撮影で使われたそうなのだが、驚いたことにこの木造の駅舎はドラマのために建てられた駅舎、つまりセットらしい。実際の駅舎は写真の左にちょこっと写っている建物で、そのギャップに驚く。
明日萌駅に車両が停まる風景も来年3月で見納めとなる。
恵比島から先は峠越えになる。曲がりくねった線路でえっちらおっちらと峠を越えると、時折遠くに高速道路が見えるようになってきた。
この「深川留萌自動車道」はその名の通り深川と留萌を繋ぐ高速道路で、2020年に全線開通している。それにより、ちょうど同じ地点を結ぶ留萌本線はお役御免、ということなのだろう。
昨今の北海道では高速道路の開発が進んでおり、今後もこういうパターンが出てきそうだ。地元住民でもない一鉄道ファンが文句を言う立場にはないが、鉄道にとってはなかなか厳しい状況である。
山あいのエリアを抜け、街並みが現れてきたところで、留萌駅に到着した。
改札を出ると、そばの出汁のいい香りが漂ってきた。留萌周辺はニシン漁で栄えた地域で、駅そばもにしんそばが名物となっている。うぅ、食べたい。が、食べているとバスを乗り過ごしそうなので、泣く泣く見送り。
「萌える」街から増毛へ
留萌は地名に「萌」の字を使う珍しい地域だ。いわゆる「萌え」を意識してしまうのはオタクの性というものだろうか。
実際のところ、留萌はそこまで町中萌え萌えしているわけではない(汗
そんな中で力を入れているのが、留萌を含む道北の日本海側を中心に営業しているバス会社「沿岸バス」だ。オリジナルの美少女キャラを多数デザインし、あちこちに配している。
このバスに乗って増毛に行くのだが、ここで買おうとしているのが「萌えっ子フリーきっぷ」である。
料金は1日券で2700円。実は増毛の往復だけではかなりの損になるのだが、そこは萌えの力…ではなく地域応援の気持ちで買うつもりだった。
…のだが。
出鼻をくじかれた。
やむなく、普通に切符を買って乗車することにする。
市街地を抜けると、バスは海沿いの国道に出た。
遮るもののない、180度日本海。思わず「おーっ」と声を上げる。
ずっと景色を眺めていたいが、国道と並行して留萌本線の廃線区間があり、廃駅のスポットにアクセスしないといけない。現在位置を確認しながらポチポチとアクセスしていく。
バスは留萌市から増毛町に入った。海沿いから少し陸地に入って街中を通った後、「旧増毛駅」のバス停に到着した。
増毛町には日本最北の酒蔵とされる国稀酒造がある。それにちなんだキャラだろう。またたび酒ではないがw
旧増毛駅の風景
バス停を降りると、すぐ目前に旧増毛駅の駅舎があった。
中は休憩所のように机と椅子が並び、売店も併設されている。そして留萌本線の資料が置かれていた。
売店で買ったラムネを飲みながら資料を眺める。
駅舎を出ると、駅のホームと線路が当時のまま残されていた。
廃止から6年、増毛駅跡は高倉健主演の映画「駅 STATION」の撮影でも使われたこともあってか、観光スポット化していた。来年廃止される区間はどれくらい駅舎が残るのだろう。明日萌駅くらいかなぁ。
昼食:増毛の寿司、のはずが
さて、気がついたら時計は午後の1時半を回っている。昼飯にしなければ。
増毛での昼飯は、食べログでも評価の高い「寿司のまつくら」を予定していた。ちらし寿司がめちゃくちゃうまそうで楽しみにしていた。
が。
やっちまった――
バスを降りたらまっすぐこちらに向かうべきだったか。
ただ、そもそも増毛に着いたのが13時過ぎだったので、その時点で昼の営業は終了していた可能性もある。
昨日の晩に続き、またもや海の幸を食べ損ねるとは…半ば呆然とした気持ちで街並みを見つめる。
ニシン漁で栄えた当時の建物が残っており、良い雰囲気だ。
しかし今の自分は――とにかく、腹が、減った…。
…ん?
ここで見つけたのも何かの縁だ。ネットも調べずに店に突入した。
中に客はおらず、店主のおばちゃんがテレビを見ながら休憩していたが、中に迎え入れてくれた。
おすすめという、増毛産のホタテを使った塩ラーメンを注文。おばちゃんは厨房に入りコンロに火を入れ始めた。本当にお休み中のところすみません。
素朴な見た目ながら大粒のホタテがどどんと鎮座する塩ラーメンが現れた。
海の幸の旨味が体に染み渡る。いやぁ、うまいなぁ。
食べている間、おばちゃんと話をする。留萌経由で電車とバスで来たと言ったら少し驚かれた。観光も車で来る人が多いし、地元の人がバスを使うのは留萌の病院に行くときくらいだからねぇ、とおばちゃんは笑う。やはり生活も観光も車中心なんだなと実感する。自分としては若干肩身が狭いw
留萌本線も廃止になっちゃうけど、頑張ってまた来ます、と約束し、お店を後にした。
さらば増毛、そして留萌
さて、帰りのバスまで少し時間がある。先ほど増毛駅跡のホームの写真を撮っていた時、上に灯台があるのに気づいたので、そこに行ってみようと思い立った。
腹ごなしになるかなと思って歩き始めたのだが、
息を切らしながら灯台に到着。
そういえば、なんで自分はこの時国稀酒造に行かなかったんだろう、と今になって思い返す。確かお土産で酒を買うと荷物がかさばるから、という判断だったと思うが、見学や飲み比べなどもやっていたようで、やはり行っておけばよかったなぁ、と少し悔いが残る。
時間になったので、萌えキャラの待つバス停に向かい、帰りのバスに乗る。
海沿いから再び市街に入り、留萌駅前に戻ってきた。
帰りの列車までは45分ほどあるので、駅から歩いて数分の土産物屋に行ってみることにした。
食べ物のお土産には目もくれず、留萌本線グッズを物色する自分。駅名標のキーホルダーと留萌駅の入場券、留萌~増毛の廃止の際のお別れ記念券などを購入した。
駅に戻ると、改札待ちの20人くらいの行列ができていた。行きのクラブ○ーリズムではなく、「鉄」な方々の雰囲気がする。どこから湧いてきた
10分ほど前になり、改札が始まった。と共に、駅のスピーカーから音楽が流れてきた。
留萌駅は発車前ではなく改札の間にメロディが流れる珍しい駅だ。この曲「夕陽」は美しい夕日で有名な留萌市のイメージソングとして一般公募で選ばれた曲だそうだ。
暖かなオレンジ色に染まる留萌の風景が思い浮かぶような優しいメロディなのだが、夕日というモチーフのせいもあるのだろうか、自分にはこの曲が「さよなら」を言っているように聞こえて仕方がなかった。
この改札メロディも来年の3月で聞けなくなるんだな…と思いながら駅員に切符を見せた瞬間、感極まってしまい、この旅2回目の涙目に。
16:17、「夕陽」の流れる中、留萌駅を出発。
留萌、また来れるといいな。できれば廃線の前に。
またその時まで。さようなら。
今日の最終目的地、滝川へ
留萌本線でエモくなってしまったが、そうだ、今日の最終目的地は留萌本線沿線ではなく、滝川だった。滝川へ向かう特急ライラックの乗り換えが4分しかなかったため、慌てて乗り換える。自分がホームに着いたと同時に特急が滑り込んできた。
珍しく今日の夕飯は店を予約している。営業時間の都合で遅れるわけにはいかず、このようなスケジュールになった。電車が遅れていたら危なかった。
外の景色を見ながら一息ついたところで、滝川到着のアナウンスが。あたふたしながら下車する。
駅に降りたは良いが、滝川、恐ろしいくらいにひっそりとしていた。
駅前の一等地に立つ巨大な商業ビル「スマイルビル」は2021年に閉鎖。駅前から延びる商店街「ベルロード」は人影も少なく、ホテルに向かって中に入れば大きな道の真ん中にカラスの群れが陣取っているという始末。
どうやら駅周辺はドーナツ化現象が発生しているようだが、自分のような旅の者を不安にさせるには十分だった。
駆け込むような気持ちで今日のホテルに入った。
夕飯:滝川のジンギスカン
さて、そんな滝川になぜ泊まることにしたのか。
答えはこれである。
東京にも店舗を出している「松尾ジンギスカン」の本店が滝川にあるのだ!
今回の旅行でジンギスカンは絶対食べようと思っており、どうせ食べるなら有名店の本店に乗り込むしか、ということで滝川で1泊することにした。ホテルの宿泊プランに松ジンの食べ放題込みのものがあれば、もうそこに行かない手はない。朝食なしだがそれを補って余りある。
平日ということもあってか、店内はそれほど混んでおらず、まずまずの客入り。隣の席でも一人で食べている人がいて、ある意味心細くないw
それでは、本場のジンギスカン、いただきましょう。
羊肉はニオイがちょっとね、という人もいるが、実は自分の故郷も羊肉を食べる文化圏で、そういったものには全く抵抗がない。そういう人なので若干の贔屓はあるかもしれないが、臭みもなく、柔らかい肉でペロリといただいてしまった。東京の松ジンとも全然違うように思われた。さすが本場。肉と野菜をおかわりして、2巡目も満足。
さて、ジンギスカンの〆は残ったタレでうどんを食べるのがおすすめらしい。それならば、と迷わずオーダー。
しかし、運ばれてきたうどんを冷静に見て後悔した。どう考えても自分のお腹のキャパを超えている。さらに隣の人がハイペースで食べまくっているのが見えて、自分の満腹中枢に追い打ちをかける。
それでも頼んだ手前、お残しは許されない。目を白黒させながらギリギリのところでうどんを腹の中に詰め込んだ。
食べ終わった後でデザートが運ばれてきたが、さすがに食べる気力は残されていなかった。お持ち帰りさせていただくことに。わざわざ専用の袋まで用意してもらってなんかすみませんでした。
以前新潟に旅行に行ったとき、名物の「万代バスターミナルのカレー」を大盛で頼んだものの、予想外の大盛り具合に翻弄され、その晩に夜通し吐き気にさいなまれたのを思い出した。その再来かと震えたが、結果として最悪の事態は免れた。経験が生きたな。後でデザートもおいしくいただきました。
お疲れさまでした。
本日の成果
アクセス駅数: 28
北海道での通算獲得新駅: 161
移動距離(駅メモ!基準): 167km
北海道での通算鉄道乗車距離: 1158.1km(+廃線33.4km)
次回予告
北海道の旅6日目の目的地は80km先の札幌。しかし乗り鉄的な乗車法により500km近くの移動を行いながら向かう。
しかし大都市ならではのあるトラブルが襲い掛かる!
果たして計画完遂となったのか!?
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