シリーズ|20xx年 未来の働き方 出社
男 :どういったお話でしょうか?わざわざ「オフィス」の会議室で。
部長:大変心苦しいが、君に譴責処分を言い渡さなければならない。月末までに始末書を提出して頂きたい。
男 :ちょっと待ってください。どういった理由に依るんでしょうか。身に覚えがないのでいささか困惑しております。社内でもトップクラスの実績の私がですか?
部長:理由は毎日「出社」をしていることについてだ。
男 :・・・。
部長:弊社は基本的にフルリモート勤務の規定があり、出社に関してはすべて許可制となっている。ただ、オフィスを管理している会社から「イレギュラーで出社をしている社員がいる」との報告があり、君に辿り着いたわけだ。
男:・・・部長、お言葉ですが、基本的に人と人のコミュニケーションは対面であることがとても重要だと思います。また、出社をすることで、リモートでは出てこないアイディアや、生産性の高い仕事も可能という見解もあるかと思いますが。
部長:たしかに、君の言い分も一理あるな。仰る通りだ。
男:世の中にリモートのみで成立する家族は存在しますでしょうか?
部長:ま~そうだな。
男:芝居やライブは対面で役者を観るからこそ迫力や空気感を感じとれます。
部長:ま~そうなんだけど。
男:部長と一緒に行ったお寿司屋さん。カウンター越しで大将と会話をしながら楽しかったですね。
部長:正論ではあるし、共感もするが、この件に関しては論点が異なっているんだ。
男:部長の行きつけの割烹料理のお店。リモート対応になったら行きますか?
部長:いや、だから論点が異なるんだ。会社の規定の話ね。リモート対応の割烹料理屋ってなんだ?
男:来年、フィアンセと結婚する予定です。対面だったからこそ彼女と出会えました。リモートでは出会えませんでした。
部長:あの、だから論点が異なるんだよ。そうか、それは知らなかったおめでとう。
男:ありがとうございます。新居も自分の足で現地を見て、しっかりと対面で不動産会社の方と会って決めようと思います。
部長:そうか。どこら辺に住む予定なんだ?知り合いに良い不動産会社がいるから紹介するぞ。
男:本当ですか、ありがとうございます。出来れば会社から近い方が良いかなと思いまして、徒歩10分圏内ぐらいで。
部長:なんでそんな近い距離に借りるんだ?
男:毎日、出社できるからです。
部長:始末書の提出をお願いいたします。
男:かしこまりました。
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