2024年3月の記事一覧
瀬尾まいこ『そんなときは書店にどうぞ』|第十四回 お仕事あれこれ
好きな仕事と苦手な仕事
何も考えずひたすら物語を書いているときが一番好きな時間です。
どうなるんだろうとわくわくし、「おお、この子、そうなるんだ」「ああよかった! 幸せになれそう」と、書き進めていくのはひたすらわくわくします。
一方、苦手な仕事は、出来上がった原稿のチェック。
出版社の方が、細かくあれこれ校正を入れてくださるのですが、いつも途中でわけがわからなくなります。
この文字、3ペ
モノに囲まれているというのは、ある種、安心感でもある
最近、周りの人が生活をコンパクトにしている。いらない洋服を処分したり、ずっと大切にとっておいた高校生のときの宝物を見直したり、溜め込んでいたスケジュール帳を思い切って捨てたりと、モノを少なくしている人がたくさんいる。そんな姿を見ると、「すげ~……」となんともリアルな感嘆の声しか出てこない。そして自分の部屋を見渡す。なかなかモノが多い。本は文庫本で100冊以上あるし、新書も50冊以上あって。大学生の
もっとみるあたたかい、をつくること。
こうして毎日書いていると、かならず毎年この日がやってくる。
触れないままに書くのも違う気がするし、必要以上の深刻さで書くのもまた違う気がする。3月11日は、ぼくにとっていつも「なにを書けばいいんだろう」の日だ。2011年のあの日、自分がなにをしていたかはよく憶えている。なにを見て、なにを思ったかも憶えている。ただそれをどこまで書くべきなのか、書く必要があるのかはよくわからない。憶えている、という