あけみ

大好きな橋本治先生のご本のことなど、つらつらと書き散らかそうかなと。 お付き合い頂けた…

あけみ

大好きな橋本治先生のご本のことなど、つらつらと書き散らかそうかなと。 お付き合い頂けたら嬉しいです。

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橋本治「窯変源氏物語」「ひらがな日本美術史」のこと 本を捨てた日

 双極性障害の影響で一時期、字を読めなくなったことがあった。 一年ほど続いただろうか。 ある日図書館に行くと、本の背表紙が突然何か得体の知れないものの集団に見えて来て目が眩んだ。 文字を読めなくなっている事に気づいた最初だった。  その場に座り込んで絶望した。    そのうちに、スーパーに行っても商品の賞味期限がわからない、本も新聞も何が書いてあるのかわからない、マンガすら読めない、ということになって、今度は死にたくなった。 うっかりすると本当に死にそうなので何をしたかと言う

    • 高村光太郎「智恵子抄」のこと。 でも、やっぱり愛してる。

       電子書籍ってスゴい。 紙の本が一番だとは思うが、なんとこれは自分の本棚をケータイに入れて持ち歩けるんだぞ。 スゴくないか? えらい時代になったもんだとつくづく思う。 しかも昔の本なら、 「お代?いえ結構です。どーぞどーぞ、よろしかったら。」 と、気前よく入手させてくれる。 もちろん昔の本ならなんでもという訳ではないが、夏目漱石だろうが、樋口一葉だろうが、 泉鏡花だろうが、 「あ、これなら大丈夫ですよ。どーぞどーぞ。」だ。  ところで私は自分の蔵書のほとんどを処分してしまっ

      • 橋本治「ひらがな日本美術史」第二巻「鹿苑寺金閣」「とんでもなく美しいもの」

          思ってたんとちがう。  自分で言ってしまうが、私は出不精の家虫だ。 外に出たくない。 出来るものなら買い物にも行きたくない。 お家大好き。 金出して観光旅行なんかする人の気がしれない。 あ、すいません。言い過ぎです。  本当は京都に行って金閣寺を見たいのだ。 龍安寺に行って石庭も見てみたい。 天球院に行って狩野山雪の襖絵だって見てみたい。 でも私は怖いのだ。  「思ってたんとちがう。」 そう思ってしまうことが。 「ひらがな日本美術史」第二巻の「鹿苑寺金閣」のサブタ

        • 絶対、負けへんし。

          ちょっと長いです、すいません。  先月、母から「お父さん、コロナみたいやねん。私も今熱が38度くらいある。」 と電話があり、慌てて特急電車に飛び乗ったもののその移動中、今まさに自分がコロナの巣窟に乗り込もうとしている事に恐れをなした。  去年コロナに罹患し、熱による身体の激痛と後遺症の倦怠感に長く苦しんだ事を思い出したのだ。 あんなところへ行ったら確実にコロナに感染する。 どうする? 引き返すか?  実家は、母が父を介護する典型的な老々介護家庭で頼る人なんていない。 そ

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        橋本治「窯変源氏物語」「ひらがな日本美術史」のこと 本を捨てた日

          猫飼って、IQ一気にだだ下がり。

          ネコを話題にする事のあざとさは、よく承知している。 承知の上で、やっぱり語らずにはいられないのがネコのあざとさだ。  私は美容院での美容師との会話が苦手で、つい気になりながらもカットやカラーを先延ばしにしてしまう。 ところが何かの拍子に、担当の美容師がネコ派と知ってしまうと、とたんに旧知の間柄になる。 「えっ、ネコ飼ってらっしゃるんですか?ウチもですーっ。」 「えーっ、どんなコどんなコ?」 「マンチです。お客様のところは?」 「ウチは雑種。なんせ野良上がりだから。」 「ウ

          猫飼って、IQ一気にだだ下がり。

          生まれてくるということ。死んでいくということ。

           前回投稿した仙厓義梵の沼から、ようやく浮上しつつある今日このごろ。 禅画の話しはいったん措く事としたが、仙厓の生き様、死に様についてはまだまだ考えさせられるところが多く、いつまで引きずるねんと我ながら呆れる。  高名な禅僧でありながら、「死にとうない」という言葉を最後に残した仙厓の真意に、私はまだこだわっているのだ。  今回のマイブームは、なかなかしつこい。  前回私は「なーんちゃって。チャンチャン。」 という終わり方に憧れると書いたが、それは、こういう終わり方ができる

          生まれてくるということ。死んでいくということ。

          仙厓義梵の沼でおぼれた

           漫画家の山田玲司さんがYouTubeで時々口にされる言葉に「ドーナツでもどうですか。」というのがある。 若い人が、今のこの時代の生きづらさを相談して来た時、この人は必ず、 「それは君のせいじゃないんだよ。」 と、断言する。 家庭も戦場、学校も戦場、社会も戦場。 今はそういうイカれた時代なんだから、メンタル病んだり、自殺したくなったりするのは当たり前なんだよ。 いったい何人死んでんだよって話しですよ。 「だから。」 と言って続くのが、 「ドーナツでもどうですかっていう事ですよ

          仙厓義梵の沼でおぼれた

          橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻「四睡図」 「意外とメルヘンなもの」 おじさんって良い。

           私には若い頃から、「おじさんウォッチング」というろくでもない趣味がある。 もちろんナンパしようとかされようとか、そういうものではない。 ただもう、おじさんが面白いから見るのだ。 別にバカにしている訳ではない。 「あら、あんなところに猫が。ノラかしら。」 という感じで、何の悪意もない。  例えば、土手の上から草野球の試合をぼーっと見ているおじさん。 犬を連れて、工事現場をぼーっと見ているおじさん。 飲み屋のカウンターで、ひとりで腕組みをしてぼーっとしているおじさん。 こ

          橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻「四睡図」 「意外とメルヘンなもの」 おじさんって良い。

          橋本治「ひらがな日本美術史」第7巻「堂々たるもの」 ヒサ子とツネ子

           最近やっと「ひらがな日本美術史」の第7巻を買った。 この巻は近代から現代に至るまでの日本美術が紹介されている。 私はあまりこの時代に興味が持てず、この一冊でシリーズをコンプリート出来るにもかかわらず、なんとなく放ったらかしにしていたのだ。 それよりも、古代から室町時代や安土桃山時代くらいまでの日本美術史でお腹いっぱいで、第7巻はデザートくらいにしか思っていなかった。 こんな極上のデザートだなんて知らなかったんだもん。 井上安治がいる。 高橋由一がいる。 黒田清輝がいる。

          橋本治「ひらがな日本美術史」第7巻「堂々たるもの」 ヒサ子とツネ子

          洗脳って何なんですかね。

          私は中学生の時、2年間ホグワーツに留学していました。 ウソです。 このウソに騙されたのは私の下の息子で、大人になった今でもこの話しをすると、彼は機嫌が悪くなります。  息子が6才ぐらいの時、一緒にテレビで映画の「ハリーポッター」を観ていて何の気なしに、 「ホグワーツかぁ、懐かしいなあ…。」 と言ってしまいました。 何の気なしも何も、まったく根拠のない独り言です。 すると息子は、 「お母さん、ホグワーツ行ったことあるの?!」  息子のキラキラした美しい眼を見た私は、もう後

          洗脳って何なんですかね。

          「罵詈讒謗」を語らせてください。

           これは「バリザンボウ」と読みます。 「罵詈雑言」「悪口雑言」と「罵詈讒謗」は微妙に違います。 ちなみに「罵詈雑言」は「バリゾウゴン」、「悪口雑言」は「アッコウゾウゴン」と読みます。 「バリザンボウ」は「誹謗中傷」とも、これまた微妙に違います。 「アッコウゾウゴン」も「バリゾウゴン」も 顔が見える相手に対して放つ、または放たれる悪口だそうです。 グーグルで調べました。 「誹謗中傷」とは、おもに顔を出さずに特定の人に向けられる悪口で、これに知性が欠落すると「シネ」「コロス」

          「罵詈讒謗」を語らせてください。

          橋本治「ひらがな日本美術史」第6巻「歌まくら」 エロ本の買い方 非日常的で日常的なもの 

          私はもう大人なので見る。 しっかり見る。 苦手な人は「好き」だけして読まないで下さい笑 春画をこんなにマジマジと見たのは初めてだ。 「ひらがな日本美術史」の中の謂わゆる「エロ」について書かれている章は、他にも第2巻の「小柴垣草子」と「稚児草子」がある。 橋本治はエロについても容赦がない。 「誤魔化す」とか「濁す」とかいうことを一切しない。 「気取ってんじゃねェよ。」である。 さすが橋本治。 一度「ひらがな日本美術史」の第2巻を読んでいて、それをたまたま息子が後ろから覗いて

          橋本治「ひらがな日本美術史」第6巻「歌まくら」 エロ本の買い方 非日常的で日常的なもの 

          「希死念慮」について語らせてください。

           辛気臭い話しをします。  ごめんなさい。  ずいぶん昔の話になりますが、私には統合失調症の友人がいました。 夜中も早朝もおかまいなく彼女からの電話で叩き起こされ、「今から死ぬ」という言葉に血相変えて車を走らせるという事が何度もありました。 具合が悪いと言えば病院に付き添い、トラブルを起こしたと言えば職場に出向き、必死で彼女のサポートをしているつもりでした。 若かったから出来たんだなあと、今になって思います。 彼女には、わたしの子供と同じくらいの年の子もいましたが、その子

          「希死念慮」について語らせてください。

          「言葉狩り」をさせてください。

           この間、キング・ヌーの「白日」を聴いて、娘に「この曲エモいよね。」と言ったら、すんごい怒られました。 いい歳してそんな言葉使うんじゃない、みっともない。とのことでした泣。  私には子供が三人いますが、彼らが大人になっていく過程で、特に言葉遣いを厳しく注意したことはなかったように思います。 ただ、年のせいかこの頃ネットで見聞きする言葉に違和感を持ってしまうことがよくあります。  なんか、色んな人を敵に回しそうなので「やめとこ。」と思っていましたが、ちょっとだけ、ちょっとだけ言

          「言葉狩り」をさせてください。

          noteについて語らせてください。

           今年('24)の2月に、このnoteという街へやって来ました。 橋本治先生の本の感想文など、書きためていたものをどこかに投稿して、誰かに読んでもらう事が出来たら素敵だなあと、前から思っていたのです。 ブログやツイッターも考えましたが、なんとなくあそこは荒れてる感じがして、腰が引けていました。 そもそも私は、SNSはユーチューブとインスタグラムぐらいしか扱えず、パソコンも持っていません。投稿なんて、我ながら無謀なことと思っていました。 そんな私が、ひょんなことからこのコンテン

          noteについて語らせてください。

          橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家

           若冲はニガテだ。 集合体恐怖症の人なら共感してくれるだろう。  若冲の絵は本当に素晴らしいと思う。 決してキライなわけじゃないんだ。 ただあのうじゃうじゃや点描画のぶつぶつが、どうも。   若冲の絵を開いて、その美しさにうっとりする前に、こめかみがジーンと痺れる。 「あ、アカン。」とパタンと閉じる。 でも見たいからまた開く。 5秒持たずに閉じる。 「ひらがな日本美術史」を開いたり閉じたり、こんなことずーっとやってる。  なにやってんだか、私は。  そもそもなんでこの章が

          橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家