あけみ

大好きな橋本治先生のご本のことなど、つらつらと書き散らかそうかなと。 お付き合い頂けた…

あけみ

大好きな橋本治先生のご本のことなど、つらつらと書き散らかそうかなと。 お付き合い頂けたら嬉しいです。

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橋本治「窯変源氏物語」「ひらがな日本美術史」のこと 本を捨てた日

双極性障害の影響で一時期、字を読めなくなったことがあった。 一年ほど続いただろうか。 ある日図書館に行くと、本の背表紙が突然何か得体の知れないものの集団に見えて来て目が眩んだ。 文字を読めなくなっている事に気づいた最初だった。 その場に座り込んで絶望した。  そのうちに、スーパーに行っても商品の賞味期限がわからない、本も新聞も何が書いてあるのかわからない、マンガすら読めない、ということになって、今度は死にたくなった。 うっかりすると本当に死にそうなので何をしたかと言うと、蔵書

    • 洗脳って何なんですかね。

      私は中学生の時、2年間ホグワーツに留学していました。 ウソです。 このウソに騙されたのは私の下の息子で、大人になった今でもこの話しをすると、彼は機嫌が悪くなります。  息子が6才ぐらいの時、一緒にテレビで映画の「ハリーポッター」を観ていて何の気なしに、 「ホグワーツかぁ、懐かしいなあ…。」 と言ってしまいました。 何の気なしも何も、まったく根拠のない独り言です。 すると息子は、 「お母さん、ホグワーツ行ったことあるの?!」  息子のキラキラした美しい眼を見た私は、もう後

      • 「罵詈讒謗」を語らせてください。

         これは「バリザンボウ」と読みます。 「罵詈雑言」「悪口雑言」と「罵詈讒謗」は微妙に違います。 ちなみに「罵詈雑言」は「バリゾウゴン」、「悪口雑言」は「アッコウゾウゴン」と読みます。 「バリザンボウ」は「誹謗中傷」とも、これまた微妙に違います。 「アッコウゾウゴン」も「バリゾウゴン」も 顔が見える相手に対して放つ、または放たれる悪口だそうです。 グーグルで調べました。 「誹謗中傷」とは、おもに顔を出さずに特定の人に向けられる悪口で、これに知性が欠落すると「シネ」「コロス」

        • 橋本治「ひらがな日本美術史」第6巻「歌まくら」 エロ本の買い方 非日常的で日常的なもの 

          私はもう大人なので見る。 しっかり見る。 苦手な人は「好き」だけして読まないで下さい笑 春画をこんなにマジマジと見たのは初めてだ。 「ひらがな日本美術史」の中の謂わゆる「エロ」について書かれている章は、他にも第2巻の「小柴垣草子」と「稚児草子」がある。 橋本治はエロについても容赦がない。 「誤魔化す」とか「濁す」とかいうことを一切しない。 「気取ってんじゃねェよ。」である。 さすが橋本治。 一度「ひらがな日本美術史」の第2巻を読んでいて、それをたまたま息子が後ろから覗いて

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        橋本治「窯変源氏物語」「ひらがな日本美術史」のこと 本を捨てた日

          「希死念慮」について語らせてください。

           辛気臭い話しをします。  ごめんなさい。  ずいぶん昔の話になりますが、私には統合失調症の友人がいました。 夜中も早朝もおかまいなく彼女からの電話で叩き起こされ、「今から死ぬ」という言葉に血相変えて車を走らせるという事が何度もありました。 具合が悪いと言えば病院に付き添い、トラブルを起こしたと言えば職場に出向き、必死で彼女のサポートをしているつもりでした。 若かったから出来たんだなあと、今になって思います。 彼女には、わたしの子供と同じくらいの年の子もいましたが、その子

          「希死念慮」について語らせてください。

          「言葉狩り」をさせてください。

           この間、キング・ヌーの「白日」を聴いて、娘に「この曲エモいよね。」と言ったら、すんごい怒られました。 いい歳してそんな言葉使うんじゃない、みっともない。とのことでした泣。  私には子供が三人いますが、彼らが大人になっていく過程で、特に言葉遣いを厳しく注意したことはなかったように思います。 ただ、年のせいかこの頃ネットで見聞きする言葉に違和感を持ってしまうことがよくあります。  なんか、色んな人を敵に回しそうなので「やめとこ。」と思っていましたが、ちょっとだけ、ちょっとだけ言

          「言葉狩り」をさせてください。

          noteについて語らせてください。

           今年('24)の2月に、このnoteという街へやって来ました。 橋本治先生の本の感想文など、書きためていたものをどこかに投稿して、誰かに読んでもらう事が出来たら素敵だなあと、前から思っていたのです。 ブログやツイッターも考えましたが、なんとなくあそこは荒れてる感じがして、腰が引けていました。 そもそも私は、SNSはユーチューブとインスタグラムぐらいしか扱えず、パソコンも持っていません。投稿なんて、我ながら無謀なことと思っていました。 そんな私が、ひょんなことからこのコンテン

          noteについて語らせてください。

          橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家

           若冲はニガテだ。 集合体恐怖症の人なら共感してくれるだろう。  若冲の絵は本当に素晴らしいと思う。 決してキライなわけじゃないんだ。 ただあのうじゃうじゃや点描画のぶつぶつが、どうも。 若冲の絵を開いて、その美しさにうっとりする前に、こめかみがジーンと痺れる。 「あ、アカン。」とパタンと閉じる。 でも見たいからまた開く。 5秒持たずに閉じる。 「ひらがな日本美術史」を開いたり閉じたり、こんなことずーっとやってる。  なにやってんだか、私は。  そもそもなんでこの章が

          橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家

          橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 龍安寺石庭 生け花が生まれた時代のもの ウンチク

           制服の高校生の集団が、私の横を追い越していく。 弾けるような若さ美しさに感動して涙が溢れる。 運転中の信号待ちで、信号が赤から青に変わる。 目が眩むような青の鮮やかさに感動して涙が溢れる。  こうなると、もうだいぶヤバいのだ。 心が弱ると目に映るものがやたらと美しく見える。 別に嫌なことがあるから弱る訳じゃないし、こんなことが頻繁にある訳でもない。 双極症の影響だと今は分かっているから、こんな時は休むようにしている。 いつだったか、車でよく通る海岸線で見慣れた景色に

          橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 龍安寺石庭 生け花が生まれた時代のもの ウンチク

          橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 北野天神縁起絵巻 大和絵というもの 笑っちゃだめだってば。 

                       橋本治が爆笑している。 「北野天神縁起絵巻」は、ハチャメチャで陽気でファンキーで、多分シリーズ中いちばん笑える章だ。 平安時代の政治家、菅原道真は政権争いに敗北して九州の太宰府に飛ばされ、そこで都を想い、焦がれ死ぬ。 やがて怨霊となって現れ、かつての政敵達を祟り殺すというすごく有名な話しで、「天神さん」とか、親しげに呼び慣わされて祀られているけど、わりかし怖い神様なのだ。  菅原道真は平安時代の人だけど、「北野天神縁起絵巻」が描かれて北野天満宮

          橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 北野天神縁起絵巻 大和絵というもの 笑っちゃだめだってば。 

          橋本治「ひらがな日本美術史」第1巻 埴輪 まるいもの ツンデレ

                        「ああそう、それ、そこそこ〜っ。」 っていうスポットは誰にでもあるんじゃないだろうか。 別に肩揉んでもらってるわけじゃなくて。  私の好きな考察系の女の子のユーチューバーがいるんだけど、この子が、まあ口が悪い。 とっても賢くていい子なのが透けて見えるところも可愛いんだけど、とにかく噛み付く噛み付く。 それで、この子が配信を終えて、手前の機材のスイッチを切るその時の、ちょっと目線が左に寄って画面が一瞬静止した時の顔の可愛さったらもう。 ツンデレに

          橋本治「ひらがな日本美術史」第1巻 埴輪 まるいもの ツンデレ

          橋本治「ひらがな日本美術史」第3巻 長谷川等伯筆松林図屏風 ジャズが聞こえるもの 「あ」

          「ひらがな日本美術史」のこの「ひらがな」の意味をこの頃ちゃんと考えるようになった。 「ひらがな日本美術史」の第3巻は、シリーズのうちでいちばん最初に手に入れたのだが、その表紙が長谷川等伯の「松林図屏風」で、正直言うとずいぶん地味な絵に思えた。 難解な水墨画だと思っていたし、そこに描かれる「精神性」といったものを自分が理解するなんてとうてい無理だと思えた。 でも、このシリーズを読んでいくうちに、橋本治が「思想」とか「精神性」などというものを、そんなにも有り難がっていないような

          橋本治「ひらがな日本美術史」第3巻 長谷川等伯筆松林図屏風 ジャズが聞こえるもの 「あ」

          橋本治「ひらがな日本美術史」第3巻 かなり屈折したもの 京狩野はサブカルか?

          狩野山雪筆 「老梅図襖」 「梅に山鳥図襖」  「ガロ」という雑誌をよく読んでいた。 廃刊になって久しいが大好きだった。 創刊は古く、1964年。 私は二十代の前半にしばらく購読した。 私は当時書店に勤めていたけれど、入荷しないことも多かった。 田舎だったからかな。 今ならネットでチョチョっと買えるだろうが、40年前の流通である。 出版社に直接注文して、2週間も3週間も待たされて、それでも手に入らないものは手に入らないのだ。 そういう時代だった。  正直言うと、あの頃「ガ

          橋本治「ひらがな日本美術史」第3巻 かなり屈折したもの 京狩野はサブカルか?

          橋本治「ひらがな日本美術史」第3巻 泰西王侯騎馬図屏風 カッコいいもの ダビッドのアレ

           還暦っていいな。 あまり意味をよく知らないが、なんでも赤ちゃんに戻るそうではないか。 赤ちゃんだから大抵のことは見逃してもらえる。 いいわー、還暦。  子供の頃から好きだった「お絵描き」を堂々とやったって誰も咎めない。 なんだったら還暦祝いに画材まで買ってもらっちやった。 ナイス、還暦。 絵を描くということにずっと罪悪感を持っていた。 会報誌の表紙を担当したり、イベントの舞台の背景を描いたり、それなりに活動はしてきたが、ぜんぜん楽しめなかった。 頼まれれば大威張りで絵筆も

          橋本治「ひらがな日本美術史」第3巻 泰西王侯騎馬図屏風 カッコいいもの ダビッドのアレ

          橋本治「ひらがな日本美術史」第1巻 餓鬼草紙 ポルノではないもの 貴族の世代?

           令和という時代になってウーバーイーツなるものを知った時、ふと、自分が徳川時代後期の江戸人になった気がした。 江戸人はその当時、もしかしたら世界で一番豊かな人たちだったのではないだろうか。 ロンドン、パリといった世界の大都市をも凌ぐ人口と、その人口を支える流通、娯楽、文化がすっかり完成していて、そこにいれば誰でも平気でその日暮らしができる町が江戸だった。  長屋というワンルームに住み、口入屋でバイトを探し、床屋、碁会所、矢場、湯屋、芝居小屋、そして吉原といったアミューズメント

          橋本治「ひらがな日本美術史」第1巻 餓鬼草紙 ポルノではないもの 貴族の世代?