「罵詈讒謗」を語らせてください。
これは「バリザンボウ」と読みます。
「罵詈雑言」「悪口雑言」と「罵詈讒謗」は微妙に違います。
ちなみに「罵詈雑言」は「バリゾウゴン」、「悪口雑言」は「アッコウゾウゴン」と読みます。
「バリザンボウ」は「誹謗中傷」とも、これまた微妙に違います。
「アッコウゾウゴン」も「バリゾウゴン」も
顔が見える相手に対して放つ、または放たれる悪口だそうです。
グーグルで調べました。
「誹謗中傷」とは、おもに顔を出さずに特定の人に向けられる悪口で、これに知性が欠落すると「シネ」「コロス」「キショイ」といった最近流行りの言葉となります。
「バリザンボウ」は、さらにここに一抹の「可愛げ」が加味されます。
「いやいや、それは違うでしょう。」と言うご意見はごもっともだと思います。
ただ私は大阪、河内の生まれで、大阪弁の「バリザンボウ」には耐性もあれば身びいきもあるのです。
ご承知の通り河内弁というのは、もうそれはそれはガラの悪い方言です。
「河内のオッサンの唄」の冒頭、
「オゥ!よー来たのォワレェ!まあ上がって行かんかい!」
あれ、誇張でもなんでもありません。
今はもう河内弁をこんなに流暢に話す人も少なくなったと思いますが、私の子供の頃は町内のオッサンはだいたいこんな感じでした。
念の為にさっきのセリフ、翻訳しておきますと、
「まあ、あなた、よくお越し下さいました。
ちょっとお上がりになっていって下さいましな。」
となります。
これはちょっとした挨拶ですが、敵意を剥き出しにした言葉にも、なんとなく「可愛げ」を感じてしまいます。
これも私の身びいきかも知れませんが。
「なん、かしてケッカンネン!」
(何をおっしゃってるのかしら?)
「オドレ、ガタガタぬかしとったらしまいにイてまうド、コラ!」
(あなた、つまらないことばっかりおっしゃってらしたら、後で殺しますわよ、もう。)
「耳の穴から手ェ入れて奥歯ガタガタいわしたろか!」
(翻訳不能)
私は時々人からこう言われます。
「あけみちゃんて上品だけど、たまにエグいこと言うよね。」
何をもって「上品」なのかは分かりませんが、「エグいこと」というのは分かります。
「そんなブサイクなことせんときー。」
「ホンマにしんきくそーて、しんきくそーて。」
「そのケツの方、ちょっと持っといてくれる?」
「お里が知れる」とはこういう事を言います。
今、SNS上での誹謗中傷が問題になっていて、それが原因で自ら命を絶ってしまう人が後を絶たないという現状があります。
今回誹謗中傷について、具体的にどんな言葉があるのかちょっと調べてみましたが、いかに汚い言葉に耐性のある私でも、やっぱり暗澹とした気持ちになりました。
「誹謗中傷とは、おもに顔を出さずに特定の人に向けられる悪口」と書きましたが、例えば
「早く死んで?待ってるんだけど」
これって悪口でしょうか。
私には、壊滅的に知性が欠如した人の排泄物としか思えません。
人に自分のウンコを見せて、何が面白いんでしょうか。
とは言え、それが自分に向けられた時、こんなふうに冷静でいられるかどうか、私には分かりません。
現にたくさんの人が亡くなっています。
私たちは子供の時から汚い言葉を使ってはいけません、と教育されます。
たとえ周りに「河内のオッサン」がウロウロしている町であっても、それは同じです。
誹謗中傷している人たちだって、その事には変わりはないはずです。
ただ、今はSNSという存在により、かつては面と向かって1対1だった関係が、現代では何千何百対1という常軌を逸した事態になっています。
1個の「シネ」は、何千何百の「シネ」になったのです。
しかも相手の顔は見えません。
私は身びいきで「罵詈讒謗」には可愛げがあると書きましたが、下品で乱暴という点では「誹謗中傷」と同じです。
ブサイクな話ですが。
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