格さんの居ない助三郎

あなたの人生を豊かにするステキなステキな音楽をご紹介。

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最近の記事

NYでもLAでもない「海の見えない本当のアメリカ」に寄り添うスフィアン・スティーヴンス。

ルート66 ミズーリ川 ネオンサインのモーテル 砂漠のガソリンスタンド 木造のカウンターバー ネルシャツの農夫 ボンネットから黒煙を出すダッジダート これこそが私の思う「本当のアメリカ」である。 要するにスティーブン・ショアが撮る写真みたいな感じである。映画で言えば『イントゥ・ザ・ワイルド('07)』とか『パリ、テキサス('84)』とか『リバー・ランズ・スルー・イット('92)』とか、あの辺の感じである。 最近の、高所得者にだけ優しいニューヨークとか、テックとマリファナにま

    • 早過ぎたハウスの歌姫。君は「K.(ケイ)」という女性シンガーを知っているか。

      2000年代初頭の邦楽シーンはヒップホップバブルであったと同時に「女性R&Bシンガーバブル」でもあった。 それは言うまでもなく1998年にデビューした宇多田ヒカルの登場が発端だったし、その頃は宇多田に続けとばかりに倉木麻衣や傳田真央といった女性R&Bシンガーが各方面から湯水の如くデビューしてセールスを伸ばした。 ちょうど同時期にデビューした、ビート感のある曲を歌う女性シンガーたちは、実際に宇多田フォロワーだったか否かは関係なく「宇多田ヒカル系」として一括りにされた。たとえば

      • 何度も見てしまう音楽YouTube動画。

        音楽はもちろん耳で聴くものだが、目で見る映像が加わるだけその魅力は倍増したりする。 というより、YouTubeでライブ映像を見て「カッケェェ!」と思って、いざスタジオアルバムを聴いてみたら「うーん...」みたいな肩透かしを食らうことはけっこうあって、その度に「結局音楽って録音じゃなくてライブなんだよな」と感じたりする。 しかしながら、ライブになった途端に魅力が半減してしまうバンドやアーティストがけっこう居るのも事実だし、個人的な事を言えば、音楽は自宅の部屋で1人で聴いてる

        • ヒップホップを食わず嫌いする人のためのDJ Premier(DJプレミア)とPete Rock(ピートロック)とその元ネタたち。

          若い頃、ロックリスナーとして音楽を聴き始めた私にとっての最大の食わず嫌いはヒップホップだった。 1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本の音楽業界は空前の第一次ヒップホップブームを謳歌していたのだが、当時(概ね今もそうだが)のヒップホップは不良文化と密接に結びついており、不法行為や犯罪行為を仄めかすような歌詞を自慢げにラップするヒップホップという音楽に対して、私も含めた不良でもなんでもない人たちは共感どころか敬遠の気持ちすらあった。 しかしながら、ヒップホップやB

        NYでもLAでもない「海の見えない本当のアメリカ」に寄り添うスフィアン・スティーヴンス。

          とにかく「速い音楽」を聴きたいスピード狂のあなたに。

          若い頃の私は、とにかく「速い音楽」を欲していた。 年齢とともに落ち着いてはきたが、今でもたまぁーに速い音楽を聴きたくなることがあって、衝動的にハードコアのCDを大人買いすることがある。L'Arc〜en〜Cielもびっくりの生まれつきのスピード狂なのである。車はめっちゃ安全運転のゴールド免許ドライバーズハイなのに。 「速い音楽」と一口に言ってもジャンルは様々で、たとえばロック畑のリスナーが最後にたどり着く先はパワーヴァイオレンスとグラインドコアなのだが、ジャズにだってブレイ

          とにかく「速い音楽」を聴きたいスピード狂のあなたに。

          「シティポップ」、都会で聴くか?海辺で聴くか?

          シティポップだけでなく昭和歌謡の再評価もそうだし、90's古着やレトロ喫茶/純喫茶ブームも、ワンダーJAPAN(現JAPON)復刊もそうだ(そうなの?)が、近年の若者達による懐古主義的な嗜好については、80年代後半から90年代に幼少期と思春期を過ごしたオッサンの私としては、「うんうん、やっぱ良いよね」みたいに、自分の手柄でも何でもないのになんだか嬉しかったりする。 この懐古主義は、今の30代・40代(まさに私の世代)が下の世代に押し付ける 「 “無地のTシャツ着てコンクリー

          「シティポップ」、都会で聴くか?海辺で聴くか?

          音楽への愛「しか」感じない「スカムミュージック」の沼にハマる。

          「スカムミュージック(Scum music)」の「スカム(Scum)」とは、「灰汁」や「不純物」という意味で、転じて「クズ」「ゴミ」みたいなニュアンスでスラングっぽく使われている言葉である。 要するに「スカムミュージック」とは「クズ音楽」のことである。別名「モンド(奇怪な)ミュージック」とも。 一般素人の自己満足および身内配布用の自主制作レコードやカセットテープやCDなどが、「稀少盤」「レアグルーヴ」として市場に出回り、面白半分と恐いもの聴きたさでなぜか人気となり、高値に

          音楽への愛「しか」感じない「スカムミュージック」の沼にハマる。

          「サマータイムミュージックの天下統一」を成し遂げた男、ジャック・ジョンソンは冬に聴くのがオツである。

          「夏」というのは、待ちわびている期間が一番尊い。 海だ花火だ夏フェスだってワクワクしながら、冬のうちに新しい海パンや水着なんか買っちゃったりなんかしちゃって。 けど、いざやってくると「やっぱ暑ちぃ〜な〜」って思って、外に出ようとすると「熱中症が」「日焼けが」ってメディアに横槍を入れられて嫌気がさしちゃったりする。そして、冷房の効いた部屋でダラダラ過ごしていたら、いつの間にか夏は過ぎ去っている。 人はそんな「結局何もしなかった夏」が積み重なってオジサンやオバサンになってい

          「サマータイムミュージックの天下統一」を成し遂げた男、ジャック・ジョンソンは冬に聴くのがオツである。

          夜の都会のハイウェイドライブにピッタリな「モダンソウル」でハイエンド気分に浸る。たとえマイカーが軽トラだろうとも。

          「モダンソウル(Modern Soul)」については、ネット上にも日本語の解説が意外と少ない。 というのも実は、そもそも「モダンソウル」とは厳密には音楽ジャンルではなく、ある特徴を持つソウルミュージック群を概念的に指す言葉なのである。 その特徴というのが ①70年代から80年代初頭に録音された ②ミッド〜アップテンポの ③レア音源ソウル という3点である。 そもそも後追い世代が時代を遡って勝手にグルーピングしたジャンル名なので、この3つにだいたい当てはまっていれ

          夜の都会のハイウェイドライブにピッタリな「モダンソウル」でハイエンド気分に浸る。たとえマイカーが軽トラだろうとも。

          「スピリチュアルジャズ」で多幸感に包まれて空を飛ぶ!

          「スピリチュアルジャズ」についての説明は各所にゴマンとあるし、素人の私が説明するのもツライし申し訳ないので省きたい。コーダルとかモーダルとか楽譜を指差しながらの専門的な解説は詳しい方におまかせしたい。 「スピリチュアルジャズ」というのは読んで字の如く「神秘的なジャズ」である。 元々はモダンジャズのサブジャンルなので、モダンジャズとの音楽的な違いは特に無い(はず)。 ジョン・コルトレーンが「神へ捧げる音楽」として作り上げたアルバム「至上の愛(1965)」がその始祖とされてい

          「スピリチュアルジャズ」で多幸感に包まれて空を飛ぶ!

          音源化されない乃木坂46屈指のキラーチューン「まりっか'17」 と「伊藤まりかっと。」

          乃木坂46の4期生楽曲のクオリティには驚かされるばかりである。 I See…(2020) / 乃木坂46 ジャンピングジョーカーフラッシュ(2022) / 乃木坂46 この完成度でどちらも表題曲(シングル)じゃないってんだから恐ろしい(掛橋待ってるぞ!)。 私は2015年頃から乃木坂46の活動を追っていて、妹分でありながらいつからかライバルのようになっていた欅坂46の凄まじい完成度の表題曲の連発リリースに嫉妬していた中堅の乃木オタである(ちなみに現在はだいぶbuddi

          音源化されない乃木坂46屈指のキラーチューン「まりっか'17」 と「伊藤まりかっと。」

          Apple MusicでもSpotifyでも(まだ)聴くことができない「現代のレアグルーヴ」。

          配信楽曲数が1億曲以上と言われるApple Musicと、7200万曲以上と言われるSpotify。 けれど、そのどちらのサービスをもってしても現状聴くことができない曲やアルバム、アーティストはけっこう存在する。 ストリーミングや音声ファイルのデータ購入が主流になった現代、レコード→CD化→データ化という本来の流れから、CD化のプロセスを飛び越えて音楽データをリスナーのもとへ提供できるようになった。レコード→CD化という工場を稼働させなければいけない物理的なプロセスが不要に

          Apple MusicでもSpotifyでも(まだ)聴くことができない「現代のレアグルーヴ」。

          クラブ嫌いの人のためのクラブミュージック「Lo-Fi HOUSE」で孤独に踊る。

          「Lo-Fi HOUSE(ローファイハウス)」は、2015年頃から興隆した新しい音楽ジャンルである。 「Lo-Fi(ローファイ)」という言葉は近年、本来の意味から遠のいて概念的に扱われることが多い(特にヒップホップ界隈で、ヌジャベスlikeな単にチルでメロウなトラックをそう呼んだりする)のだが、本来は高音質を意味する「Hi-Fi(ハイファイ)」をもじったスラングで「音質が悪い」という意味で使用される言葉である。 ローファイハウスはその名のとおり「音質の悪いハウスミュージッ

          クラブ嫌いの人のためのクラブミュージック「Lo-Fi HOUSE」で孤独に踊る。

          バストロ、ビッチ・マグネット、ドン・キャバレロ....アメリカ中西部が産んだハードコアパンク 「ポストハードコア」は今いずこ?

          80年代のアメリカンハードコアシーンについて言及する際は、主に「東」と「西」を二大シーンとして語るのが模範的である。 東の筆頭はバッド・ブレインズ、マイナー・スレット、西の筆頭はブラック・フラッグ、デッド・ケネディーズ。 しかし多くの、特にパンクの延長線上からハードコアに目を向けた音楽リスナーにとっての盲点が当時のハードコアパンクシーンには存在した。 それが「アメリカ中西部のハードコア」である。 「中西部」というのは具体的には、シカゴ、デトロイト、ケンタッキーといった都

          バストロ、ビッチ・マグネット、ドン・キャバレロ....アメリカ中西部が産んだハードコアパンク 「ポストハードコア」は今いずこ?

          ナルシスト達の終着音楽「Dark jazz」をタバコ吸いながら聴く。

          2015年頃からにわかに盛り上がりを見せる「Dark jazz(ダークジャズ)」という音楽ジャンル。 別名「Noir jazz(ノワールジャズ)」「Doom jazz(ドゥームジャズ)」とも呼ばれ、探偵モノのハードボイルド映画の一場面を想起させるような音楽性が特徴である。 「jazz」という言葉が入っているが、モダンジャズの進化の文脈で登場した音楽ではなく、アンビエントの派生ジャンルである。 モダンジャズの歴史において、いわゆるその手の「ハードボイルドな」ジャズミュージッ

          ナルシスト達の終着音楽「Dark jazz」をタバコ吸いながら聴く。

          BOaT(ボート)というバンドを歴史に埋もれさせてはいけない。木村カエラは可愛い。

          1990年代後半から2000年代初頭の日本のインディ/オルタナティブロックシーンは驚くほど豊潤だった。 97年デビュー組(ナンバーガール、スーパーカー、くるり)の後世への影響力は言うまでもなく、別のベクトルではBUMP OF CHICKEN、シロップ16g、ART-SCHOOLといったUKプロジェクト/ハイラインレコーズ界隈のギターバンドたちが下北沢で時代特有のカルチャーを産み出し、さらに視点を移せばメロコア/スカコアシーンも非常に盛んだった。 バックグラウンドも音楽性も多彩

          BOaT(ボート)というバンドを歴史に埋もれさせてはいけない。木村カエラは可愛い。