幻戯書房編集部

私たちは、「本の力」を信じて、芸術的な本づくりという理念で、出版文化の基本に徹した刊行を目指します。こちらでは、幻戯書房の書籍に関する情報をお知らせします。試し読みやキャンペーンなど。公式サイトはhttp://www.genki-shobou.co.jp/

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    最近の記事

    アリス・リヴァ『みつばちの平和 他一篇』訳者解題(text by 正田靖子)

    『みつばちの平和』と五つの魅力 「夫のことを私はもう愛していないと思う」という衝撃的な言葉で始まるこの小説は、三部からなる小説だが、フランスでも出版され、リヴァの代表作となった。スペイン内戦を時代背景として、タイピストのパートをする40近い主婦の日記という体裁を取る。自分の主義主張がありながらも、なかなかに強引な夫のペースにあっけなく巻き込まれてしまう気の弱い妻、ジャンヌ。この主人公の視点から、いまだ選挙権をもたず、本を書くにもペンネームを用いざるを得なかった時代に生きた女性

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      • C・F・ラミュ『詩人の訪れ 他三篇』訳者解題(text by 笠間直穂子)

         実在する土地が描かれた文学作品を翻訳するとき、その土地を実際に訪れておいたほうがよいかどうかは、作品によって大きく異なるように思う。観念的な作品や、作家個人の視点が強く表れている作品の場合は、現場に立つよりも、作家の思考を掘りさげることに注力したほうが、正確な翻訳につながる(だからといって、そういった作家が、土地を描けていないわけではない)。他方、作家が、土地そのもののありさまを、言葉で表現しようとしているなら、やはり、翻訳者は、現地を体験したほうがよいだろう。読み手に、そ

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        • フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー『魔法の指輪 ある騎士物語 上・下』解題(text by 池中愛海・鈴木優・和泉雅人)

          III 『魔法の指輪』から『指輪物語』へ──イギリス・ファンタジー文学成立への影響  フケーがドイツの文学界に与えた衝撃は文学というジャンルを超えて、オペラやバレエへと広まり、また国境を越えて広がった。解放戦争が終わるとともにフケーもその作品も急速に忘却されていったドイツにおいてよりも、のちにファンタジー文学の傑作を数多く生み出したイギリスにおいてのほうがその作品は高い評価を得、より広範な影響を及ぼしたといえるだろう。すでに1818年には『ウンディーネ』(英原題 Undin

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          • ジョルジュ・シムノン『運河の家 人殺し』訳者あとがき(text by 森井良)

             収録した2篇は1930年代に書かれた、ロマン・デュールの初期作である。いずれも灰色のフランドル地方(オランダ、ベルギー、フランスにまたがる地域)を舞台に、犯罪と謎を基調としつつ、凡庸な人間の凡庸ならざる心のうちに迫った問題作だ。互いに独立した作品でありながら、モティーフや表現のレベルでも相似した点が多く、さながら二面で同じ一幅の「単色画(グリザイユ)」をなしている観すらある。  『運河の家』(1933)は、シムノンの出身地であるベルギーを舞台に、両親に死なれた都会育ちの少女

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            • ジョウゼフ・コンラッド『放浪者 あるいは海賊ペロル』訳者解題(text by 山本薫)

               2022年4月1日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第20回配本として、ジョウゼフ・コンラッド『放浪者 あるいは海賊ペロル』を刊行いたします。ジョウゼフ・コンラッド(Joseph Conrad 1857–1924)はイギリスの小説家ですが、元はポーランド出身の作家です。今日、ロシア軍の侵攻により大変な戦禍に見舞われている現ウクライナ北部のベルディチェフ(ベルディチウ。当時はポーランドの領地でした)の地主貴族の一人息子として生まれ、早くに両親を亡くし

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              • フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ 他三篇』訳者解題(text by 武田利勝)

                 2022年1月26日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第19回配本として、フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ 他三篇』を刊行いたします。フリードリヒ・シュレーゲル(Friedrich Schlegel 1772–1829)はドイツの文筆家。文芸批評、文学史に関する評論や論文を著す批評家にして、「断章(フラグメンテ)」の思想家として知られます。兄アウグストとともに立ち上げた雑誌「アテネーウム」で展開した「断章群(フラグメンテ)」は、当時の知識人を挑

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                • 新井高子『唐十郎のせりふ 二〇〇〇年代戯曲をひらく』まえがき「奇想と知恵」全文公開

                   2021年12月1日、幻戯書房は新井高子著『唐十郎のせりふ 二〇〇〇年代戯曲をひらく』を刊行いたします。  1960年代に旗揚げした「状況劇場」から現在の「劇団唐組」まで、半世紀以上にわたり日本の演劇界を牽引し続けてきた鬼才・唐十郎。今年12月に渋谷シアターコクーンで再演される代表作『泥人魚』をはじめ、その芝居は厚い支持を得てきました。一方で、「一度見ただけでは全貌が掴めない」「難解」とも評されてきた戯曲の迷宮、ことにこれまで言及が少なかった2000年代に光をあて、秘められ

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                  • シルビナ・オカンポ『復讐の女/招かれた女たち』訳者解題(text by 寺尾隆吉)

                     2021年11月24日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第18回配本として、シルビナ・オカンポ『復讐の女/招かれた女たち』を刊行いたします。シルビナ・オカンポ(Silvina Ocampo 1903–93)はアルゼンチンの小説家。ブエノスアイレスの名門の家に生まれ育ったシルビナは、渡欧して絵画を学び、帰国後は姉ビクトリアの創刊した文芸雑誌「スール」に協力。アルゼンチンを代表する小説家ビオイ・カサーレスと知り合い文学に専心します。シルビナの文学的素養を

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                    • フリードリヒ・シラー『シラー戯曲傑作選 ヴィルヘルム・テル』訳者解題(text by 本田博之)

                       2021年10月22日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第17回配本として、フリードリヒ・シラー『シラー戯曲傑作選 ヴィルヘルム・テル』を刊行いたします。フリードリヒ・シラー(Friedrich Schiller 1759–1805)はドイツの劇作家、詩人。雑誌編集者、歴史学者、美学研究者としても活躍した文人です。1781年、戯曲『群盗』が成功を収め、一躍有名になりました。本作品『ヴィルヘルム・テル』は不朽の名史劇として知られる、シラーの戯曲の代

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                      • 神山睦美『「還って来た者」の言葉 コロナ禍のなかをいかに生きるか』「はじめに」全文公開

                         2021 年10月4日、神山睦美さんの新刊『「還って来た者」の言葉 コロナ禍のなかをいかに生きるか』を刊行いたします。  本書は、2018年刊の『日本国憲法と本土決戦』に続く評論集です。親鸞の書における「還相」(「往生して仏になったのち、再びこの世にかえって利他教化を働く」を意味する言葉)という概念を契機に、昨今のコロナ禍を生きぬくためのあり方を思想的に探ります。また、2012年に亡くなった吉本隆明、2019年に亡くなった加藤典洋という二人の批評家についての一冊でもあります

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                        • フジュレ・ド・モンブロン『修繕屋マルゴ 他二篇』訳者解題(text by 福井寧)

                           2021年9月24日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第16回配本として、フジュレ・ド・モンブロン『修繕屋マルゴ 他二篇』を刊行いたします。フジュレ・ド・モンブロン(Fougeret de Monbron 1706–60)はフランスの作家。裕福な家に育ち、ヨーロッパを放浪して暮らしました。18世紀文人の主たる特徴とされる明るい社交性とは裏腹の不機嫌な「人間嫌い」として知られ、ディドロをして「心臓に毛が生えている」「二本足の虎」と言わしめた人物です。

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                          • グザヴィエ・ド・メーストル『部屋をめぐる旅 他二篇』訳者解題(text by 加藤一輝)

                             2021年9月24日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第16回配本として、グザヴィエ・ド・メーストル『部屋をめぐる旅 他二篇』を刊行いたします。グザヴィエ・ド・メーストル(Xavier de Maistre  1763–1852)はサルデーニャ王国生まれのフランス語圏作家。著名な反動思想家ジョゼフ・ド・メーストルの弟として知られるグザヴィエは、フランス革命下に自らの部屋を旅した旅行記『部屋をめぐる旅』を著し、蟄居文学の嚆矢として世界文学史に名を残しま

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                            • ピエール・ルヴェルディ『魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論』訳者解題(text by 平林通洋、山口孝行)

                               2021年7月21日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第15回配本として、ピエール・ルヴェルディ『魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論』を刊行いたします。ピエール・ルヴェルディ(Pierre Reverdy 1889-1960)はフランスの詩人。本書収録の、「イマージュは精神の純粋な創造物である。」という文章から始まる「イマージュ」は、アンドレ・ブルトンやルイ・アラゴンらに大きな影響を与え、のちにシュルレアリスムが提唱されることになったと文学史上で伝えられ

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                              • シュテファン・ツヴァイク『過去への旅 チェス奇譚』解説(text by 杉山有紀子)

                                 2021年6月24日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第14回配本として、シュテファン・ツヴァイク『過去への旅 チェス奇譚』を刊行いたします。ルリユール叢書に収められるツヴァイク(Stefan Zweig 1881-1942)の作品集は、2020年8月に刊行した、聖書、聖典を題材に描いた「第三の鳩の伝説」「永遠の兄の目」「埋められた燭台」「バベルの塔」を収めたツヴァイク『聖伝』(宇和川雄・籠碧訳)にひき続き二冊目となります。  本書は、ツヴァイクの未

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                                • ユング゠シュティリング『ヘンリヒ・シュティリング自伝 真実の物語』訳者あとがき(text by 牧原豊樹)

                                   2021年5月24日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第14回配本として、ユング゠シュティリング『ヘンリヒ・シュティリング自伝 真実の物語』を刊行いたします。ユング゠シュティリング(Jung-Stilling 1740–1817)は18世紀ドイツの小説家。学校教員と仕立て職人の職を転々としながら、困苦に負けず独学を続け、20代後半には医学の道を志し、医者として大成した人物。そんなユング゠シュティリングはシュトラースブルク大学で医学を学んだ時期に、ゲ

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                                  • イェンス・ピータ・ヤコブセン『ニルス・リューネ』訳者解題(text by 奥山裕介)

                                     2021年5月24日、幻戯書房は海外古典文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」の第14回配本として、イェンス・ピータ・ヤコブセン『ニルス・リューネ』を刊行いたします。イェンス・ピータ・ヤコブセン(Jens Peter Jacobsen 1847–85)は19世紀デンマークのリアリズム文学を代表する詩人です。少年時代から詩作と植物採集に熱中し、大学では植物学を専攻。藻類についての論文を発表するほか、ダーウィンにも関心を示し、『種の起源』のデンマーク語翻訳を行うなど、文学と自然科

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