久々に顔を出したインナーチャイルド ~⑩母はラスボス~
僕はAC(アダルトチルドレン)です。
ここ数年なりをひそめていたインナーチャイルドが、久々に顔を出しているので、結構な日数をかけて向き合っています。
これまでの連載にもチラッと書きましたが、お世話になっているカウンセラーの先生と地元でお会いすることが出来ました。
9話にも渡る連載で、僕の中ではほぼ答えは出ていたのですが、主にタッチセラピー目的で受診しました。
まず、今回のいざこざは平たく言うと兄弟での親の取り合いだったということ、そして今後はいかに姉のことを諦めるかがポイントになると思っていることを話しました。
この2点を合わせると、今回僕は弟として親の取り合いに負けた(こちらが折れる)ことになります。
「それって涙が出るほど悲しいことよねぇ」とは、先生のお言葉。
しかし僕には、悲しいとかいう感情は全くなかったのです。
「悲しいとか、そういう感情はとっくに壊れて感じなくなってるから平気なのかもしれません」と答えました。
確かに僕は時たま、人の心がないかのように冷淡に振る舞うことが出来ていました。
普通の人なら(こんなこと言ったら相手が傷つくかも……)と思って言葉を引っ込めるような場面でも、ASDの"共感性のなさ"という特性も相まって、相手が最も傷つく効果的な言刃(コトバ)を何のためらいもなく的確に浴びせることが出来るのです。
僕のそういう一面は、ここ数年はすっかり収まっていたのですが、今回の件で久々に、インナーチャイルドという形で現れたのでした。
気付いたことは、僕の行動原理は全て母にあるというところです。
僕が家族の調停役になったのも、姉自身が立ち直って欲しいというよりも、姉によって母が辛い思いをしないようにという気持ちの方が強いと感じるし、母を傷つける者にはどんな冷酷な仕打ちも平気で出来るんだということに気付いたのです。
僕が家族のグループLINEでの反撃を"言いたいことの1/3"で収めたのも、母から泣きながら電話がかかってきたからに他ならず、それは僕の本意ではないなと冷静に思えたからです。
それだけ、母は人間形成の基盤なのです。
母はラスボス。
で、そんな大切な母を姉に"盗られた"形になる結末で、自分はなぜ平気でいられるんだろうか。
カウンセリングでは「感情が壊れているから」と答えたものの、今一度よく考えると、別の答えが浮かんだ。
母の愛を心から信じているから。
つまり自分は愛されているという自信。
そして自分は愛されるに値する人間だという自信。
僕がこの数年間で獲得した、自己肯定感、自己受容です。
自己肯定感に根拠は不要です。
特に親相手には最も根拠不要なのです(本来なら)。
親というものは、子どもがどうであれ愛するのが本来です。
障害児を愛せない親は人間のクズですし、良い子を演じられれば愛するといった"条件つき"の愛も本質的には偽物です。
僕は「僕は僕でいていいんだ」と心から思えてから、人生が変わりました。
そう思えているからこそ、自分は親から愛されていると信じられているのだと思います。
それこそ、"姉より僕を優先してくれれば僕を愛している、僕より姉を優先するのならば僕を愛していない"という条件付きの愛情判定を、僕自身もしていないということだと思います。
これでやっと、僕も誰かを愛せるところまで来たんだろうなぁ。
頂いたサポートは、僕のプロテイン代となり、文字通り血となり肉となります。 そうやってエネルギーを充足させられれば、きっとよりよい連載が続けられる気がします。