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展覧会まとめ

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観た展覧会の記事をまとめていきます
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#美術

Paris 1874 印象派展感想(オルセー美術館)

Paris 1874 印象派展感想(オルセー美術館)

1874年の春、第一回印象派展が開かれ、新たな美術史が始まりました。それから150周年を祝うためオルセー美術館が総力を上げた、今年を代表する展覧会です。

概要いわゆる「印象派展」ではなく「第一回印象派展とは何だったのか展」であり、極度に1874年に焦点が注がれたものです。確かにモネやルノワールはそれらが始まる前から、いわゆる印象主義的な表現には至っていました。本展は彼らの画業を解き明かすというも

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聖地・南山城展の感想(奈良国立博物館)

聖地・南山城展の感想(奈良国立博物館)

「なんざんじょう」と呼んでしまったことをお詫び申し上げますが「みなみやましろ」という京都南部の、奈良との境あたりにある地域における仏教文化を見ていこうという展覧会です。

ちなみに南山城という美術史的な概念は2014年に京都国立博物館の「南山城の古寺巡礼」で普及したものとのこと。割と近年ホットなところでしょうか。

国宝、浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念の特別展ということもあり、そこから2体の阿弥陀

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テート美術館展・光 感想(国立新美術館)

テート美術館展・光 感想(国立新美術館)

英国のテートのコレクションから「光」をテーマにしたキュレーションが行われています。近代絵画だけでなく現代アートも、しかも近代絵画の部屋にコラボレーションという形で置いてあります。本国の展示もそのようなものだったので、実に今の英国の展示という感じがしました。

概要英国近代絵画といえばターナー、というわけで彼の晩年の作品が並んでいます。ブレイクもありました。精神や宗教的な光と自然光が近代のテーマです

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「吹けば風/枠と波」展感想(豊田市美術館)

「吹けば風/枠と波」展感想(豊田市美術館)

関東圏の展覧会しか話題にならないのもどうなのかという問題提起があり、実際のところ限りなく少ないので夏休み企画的に書いてみます。

吹けば風展

先日豊田市美術館の「吹けば風」展に行きました。初夏に「ねこの細道」で来ましたが今回も、現代作家の企画展です。

川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司の四人の作家それぞれが、この世界から新鮮な発見を引き出そうというおおらかなテーマになっています。とりあえずふ

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エゴン・シーレ展雑感

エゴン・シーレ展雑感

日本における西洋美術の展覧会の将来性も見えてくる内容でした。

概要

2023年春、4月9日まで東京都美術館で催されていたエゴン・シーレ展は、会期の初めに学生は無料という大盤振る舞いも話題になりました。非常にありがたいことです。今年の西洋美術の展覧会としてはかなり大きなものとして、注目を集めていました。

来場者が「エゴン・シーレ展というよりはシーレとウィーン世紀末の美術展」だったと皆言う通り、

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