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がん治療記x受験奮闘記

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コロナ禍でのがん治療をしながら地方国立大学薬学部に現役合格した大学生の書くがん闘病記x受験奮闘記 がん治療の中で経験した症状や精神疾患についてや 共通テスト元年の大学受験について…
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2021年9月の記事一覧

【がん治療記x受験奮闘記】治療前

 治療を受ける前、僕の頭の中に治療に対する不安はなかった。それよりも病室での受験勉強に対する不安の方が大きかったからである。まず、病室は大部屋のため他の患者の音が聞こえる。また、慣れない環境でなおかつベッドの上で勉強しなければならなかった。さらに、6時起床21時就寝であるため、健康な受験生に比べ勉強に集中できる時間が少なくなると思われる。受験生であるならば、1日10時間以上が普通だろう。しかし、僕

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【がん治療記x受験奮闘記】治療の説明(3)

 治療が始まる前、薬剤師から抗がん剤について詳しく説明があった。ただその説明を行う人は研修生だった。彼女は恐らく緊張していた。横で教育担当の薬剤師が見ていることも緊張の原因だろう。もし自分も病院で働く薬剤師になるのであれば同じようなことをするのだろうと想像しながら説明を受けた。
 僕の場合、抗がん剤治療は点滴で3日間薬を投与した後、25日間経過を見るのを1コースとし、それを3回繰り返すと言われる。

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【がん治療記x受験奮闘記】理系トーク~白金~

【がん治療記x受験奮闘記】理系トーク~白金~

 治療が始まる前、使うと言われた抗がん剤をインターネットで検索してみた。エトポシドに関しては環構造が多くかなり複雑な構造だったため深くは調べなかった。一方で、カルボプラチンの方は簡単な構造だった。そしてその構造を見て驚いた。2価の白金(プラチナ、Pt)が使われていた。よく考えれば名前にプラチンとは言っている時点でPtが使われていることを想像できたはずだが、僕はそうできなかったため少し悔しかった。カ

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【がん治療記x受験奮闘記】治療の説明(2)

 脳神経外科の医師からの説明として別日に放射線科の医師からも説明があった。その時は主に放射線治療についての説明だった。まず医師はこの腫瘍は手術で治るものではないという。そのうえで放射線治療の重要性を伝えられた。抗がん剤治療のみでは再発の危険性が高くなってしまうらしい。
 治療の具体的な内容は8月31日から3週間、週5回脳全体に放射線を照射するというものだ。副作用は照射している部分の脱毛と皮膚炎、嘔

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【がん治療記x受験奮闘記】治療の説明(1)

 手術から9日後、8月22日、脳神経外科の医師から腫瘍とその治療についての説明があった。手術により僕の脳腫瘍は胚細胞腫瘍のジャーミノーマピュアであることが分かった。この腫瘍は人が胎児になる前の段階である胚の時の細胞が原因となって発生すると言われているそうだ。また、10~30歳代の日本人男性に多い腫瘍らしい。この腫瘍は治療が良く効くため10年生存率は90%以上、20年生存率は80%以上とがんの中では

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