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学芸本の読み方

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学芸出版社の本や会社について書かれたnoteの記事を集めています。
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記事一覧

東京ホテル図鑑/御出版に寄せて

この度、環境色彩計画事務所CLIMATの一員である遠藤慧さんが学芸出版社より『東京ホテル図鑑』というスケッチ集を出版されました。発売日は2023年8月25日とのことですが、前評判の高さもあって、一部書店では特典付き/パネル展と合わせ先行発売が開始されています。 書店でのトークイベントやラジオ出演など、今後様々なメディアでも多々紹介されることと思いますので、ぜひ出版社のサイトや遠藤さんのSNSなどをチェックしてみてください。 さて改めまして御出版、おめでとうございます。通常の

レポート:「問いのデザイン」出版3年ちょっと記念企画―「探究」において問いをいかにデザインするべきか?(学校編/ビジネス編)

本記事は関西大学事業推進グループが主催した、安斎勇樹さん(株式会社MIMIGURI代表取締役 Co-CEO)と塩瀬隆之さん(京都大学総合博物館 准教授)が登壇された『問いのデザイン-創造的対話のファシリテーション』出版3年ちょっと記念企画のレポートです。 モデレーターを関西大学事業推進グループの松田佳織さん、当日のグラフィッカーを奥野美里さん、永阪佳世さん、サポートを谷芳明さん(おとん)が務められた本企画は、以下のように大きく4部構成で進められました。 そして、当日のグラ

【BOOK INFORMATION】国際協力と自治体をSDGsがつなぐ

『SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』 近年、日本の地方行政や地方創生でも持続可能な開発目標(SDGs)は欠かせない要素になりつつある。一方で、「具体的な活用方法が分からない」と悩む声も増えている。そうした声に応えてくれるのが同書だ。自身も元市役所職員である著者の高木超氏が、本書の特徴を語る。  2015年9月の国連持続可能な開発サミットでSDGsが採択されてから、早くも5年が経過した。その間、日本国内でもSDGsの取り組みは確実に広がりを見せてい

『サーキュラーエコノミー実践 オランダに探るビジネスモデル』安居昭博 著

今回紹介する本はこちら。 『サーキュラーエコノミー実践 オランダに探るビジネスモデル』(学芸出版社)です。 著者の安居氏は、サーキュラーエコノミー研究家/サスティナブル・ビジネスアドバイザー/映像クリエイター。複数の企業へアドバイザー・外部顧問として参画し、サーキュラーエコノミーの実装を進めてらっしゃいます。 本書では、安居氏の移住先の"オランダ"における企業の取り組みや、市民の意識レベルについてなど、様々な見地からサーキュラーエコノミーについて具体例を交えながら紹介、説明

書籍『オールシーズン美しい庭: ピートとヘンクの夢の宿根草図鑑』

ピート・アウドルフ Piet Oudolf (著)  ヘンク・ヘリッツェン Henk Gerritsen(著), ノエル・キングスベリー Noel Kingsbury(著, 編集) 田辺 沙知 (翻訳) 出版社 学芸出版社‏ 発売日 2023/11/3 単行本 288ページ 目次 内容解説 レビュー  プロ&ガチ勢用ではありますけれども、これからガーデニングを始めてみたい方、ガーデニングはしないけれども美しい庭の秘密や素敵な植物を知りたい方に、おすすめです。  文章

『本のある空間採集: 個人書店・私設図書館・ブックカフェの寸法』 政木哲也 学芸出版社 2023年 978-4761528614

コロナ禍で書店に足を運べなくなった時、多くの書店の存在をSNSなどで知ることになった。足を運べない、運んだことがない書店にオンラインショップを通じて助けられた。本書に掲載されている書店は、その時期に初めて存在を知り、それからお世話になっているところがいくつもあったから嬉しかった。まだ足を運んでいない書店もあって、採寸して書店としての空間を見せてくれて、書店の中の人がどういう目線でお客さんを見ているのかや、仕事をしているのかなどがわかった気がして勝手ながら、小さな旅をしているよ

「実在しない都市の地図」をリアルに描く|空想地図作家・今和泉隆行(地理人)さん【偏愛マニア#02】

「好き」で続けてきたことがどのように仕事につながってきたのか、「偏愛」を軸に活動をする方々のお話を伺いながら紐解いていく「村田あやこの偏愛マニア探訪記」。 今回ご登場いただくのは、「地理人」こと今和泉隆行さん。地理人さんは実在しない都市の地図を描き続ける「空想地図作家」です。空想地図を題材にした著作出版の他、テレビドラマの地図制作、高校の探究学習の講師など、地図・地理を軸に幅広いお仕事を広げています。昨年放送されたドラマ「VIVANT(ヴィヴァン)」では、ドラマ内に登場する架

『具体的な建築: 観察から得る設計の手がかり』 伊藤暁 学芸出版社 2023年 978-4761528768

これを建築の教材としてしまうんだと言うあまりにも、身近なものにフォーカスしていて、建築家ではない私たちが身近なものに目を向けて見たり聞いたり調べたりしてみたくなる本だった。フィールドワークを通じて自分の街を再発見したり、旅先の新たな楽しみ方になると思う。 著者のドローイングはすごくわかりやすくて、伝えたいことを見える化することに長けていて、それを立体的なものに表現することができちゃうことの才能に嫉妬する。

公民連携エージェントができること

行政と民間の連携に、これからの地域課題を解決していく可能性があると思っています。 契約解除に至った西尾式PFIも「民間の力を借りる」ところからはじまったはずですが、うまくいかなかったことは残念です。ただこれに懲りずに、反省点を踏まえて、公民連携事業を西尾市でも進めていけるように、僕は市議として積極的に間に立ち、調整役を引きうけていきたいと思っています。 他所では先進的に取り組んでいる町があって、その1つが大阪府大東市です。入江智子著の『公民連携エージェント』はその参考例と

141.リアル・アノニマスデザインから考える

2022.10/3.22:38 こんにちは。まきです。 よく非常識だと言われることがある。常識はなかなか難しいものである。今日の体育の授業後も、非常識な友達と一緒に「常識って難しいよね」と常識的な会話をした。 さて、つい最近「リアル・アノニマスデザイン(岡田栄造/山崎泰寛/藤村龍至=編著)」を読んだ。数多くの刺激的なデザイン関係者、建築関係者、メディア関係者が「アノニマスデザイン」をテーマに綴った原稿が収められた本だ。少しマニアックだけど、建築もデザインもよくわかっていない

『みどりの空間学』を読んで

先日、古谷俊一さん著の『みどりの空間学 36のデザイン手法』 を読みました。 この本では、植物と建築物がほどよい距離感の建物が紹介されています。 その中で興味を持った建物を2件紹介します。 1.東京都目黒 共同住宅:『泰山館』 ドラマ「リコカツ」で主人公役の北川景子さんの新居として登場しています。 庇や廊下の手すり壁がとても印象に残っていて、ググってみるとロケ地だったそう。 何よりも、敷地から建物までの石段のアプローチを取り囲むみどりの多さは、都内とは思えないほど豊かなの

本質にたどり着くための5つの思考法【問いのデザイン】

「問題」…という響きに 少しビビってしまいます。らるです。 今日は簡単に答えが出ないような「問題」に 直面したときの思考法について こちらの本からお話をしていきます。 問題を捉える5つの思考法今まで、私は仕事などで、 難しい「問題」に直面したとき、 どんな「思考法」をしているか… というのは、あまり意識したことが ありませんでした。 ただ「問題の本質はなんだろう?」 …ということは、意識していました。 今日紹介するのは、 その「本質」を捉えるために 有効な方法です。

サーキュラーエコノミー実践 安居昭博

循環型社会って具体的にはどういう社会なのか、言葉の定義や具体的な実践例が満載の一冊。起業家ならずとも丁寧な暮らしを心がけたい誰しもにおすすめの一冊。 はじめに  もはや自分だけよければよい、自分の住んでいる地域だけよければよいという状況ではなくなっている。地球規模での気候変動、環境問題は世界の関心事である。それに加えて日本は課題先進国と言われるほど、少子高齢化による地方の過疎化、都市集中の問題、そしてCovid-19パンデミック。この2年間誰しもが将来を憂いたはずだ。  

城山文庫の書棚から024『エリアリノベーション』馬場正尊 2016年 学芸出版社

大学の1期先輩、馬場さんは学生時代からAという建築雑誌を手掛け、博報堂に就職するも都市博中止を受け退社して大学に戻り、その後こだわりの住宅物件を集めたウェブサイト「東京R不動産」を立ち上げた人。ブルースタジオの大島芳彦(中学高校の同級生)と共に、リノベーションブームの火付け役のひとり。  本書ではエリアリノベーションとは何かを概説した後、彼自身の実績を含むいくつかの先進事例を紹介。長野市の善光寺門前、北九州市小倉・魚町、岡山市の問屋町など、リノベーションまちづくり界隈ではいず