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大統領師匠の、本

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大統領師匠の台本(主にボツ)です。
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記事一覧

台本「処方🈡」

台本「処方🈡」

医者「生きているっていう事は、毎日生きていられるっていう事は、それだけでもう何物にも代えがたい宝物なんですからね」
男「は、はぁ……」
医者「ですから私はあなたに逝く事をお勧めはしません。どうか、どうかもう一度、考えて治してはもらえませんか?」
男「……わかりました……考えてみます……」
医者「良かった……良かったです。もし何かありましたらいつでもいらして下さい。今日は精神安定剤を処方しておきまし

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台本「処方③」

台本「処方③」

医者「この人はカード使わないの、逝く方なの、だからカードはいらないの」
男2「え、逝く方なんですか? (男に)あなた、逝くの?」
医者「そうだよこの人は逝くんだから」
男2「……(男に)あなた、青いの、怖くないの?」
男「ごめんなさい、青いのって言うのは……?」
看護婦「(男2を強引に掴んで)ほら、戻りましょう。戻らないと引っぱたきますよ」
男「でも……」
看護婦「カードあげませんよ」
男2「それ

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台本「処方①」

ボソボソと暗闇の中から声がしてくる。

看護婦の声「はぁ……あぁ、そうなんですか……クビになられて……」
男の声「ええ、そうなんです……」
看護婦の声「それは、いつ頃……?」
男の声「半年前で……」
看護婦の声「……何度か、チャレンジなされました?」
男の声「やってはみたんですけど……ちょっと、なんていうか……」
看護婦の声「……やりきれない感じ?」
男の声「です、ね。そう、なんですよね……」

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台本「千切れてちょうだい🈡」

台本「千切れてちょうだい🈡」

悠々と室内に戻る芳江。

芳江「雇用頂くのは1500人で結構です」
蓮見「あの……1回、1回、外がどういう仕組みになっているのか見させて頂いても宜しいですか?」
芳江「はい?」
蓮見「何回も、落っこちたり戻ったりしているから、不思議で仕方がなくて……どう、いう事になっているんです? ネットですかこれ?」
泉田「私も全く分からないんですけども、」
芳江「私だって分かりませんよ」

窓から、ガバッ!と

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台本「千切れてちょうだい⑨」

台本「千切れてちょうだい⑨」

芳江「早速契約を」
蓮見「ですな。では、」

蓮見、バックから契約書を取り出す。
泉田、不信に思いトイレのあるドアの方に近づく。

芳江「え? 泉田さんなに?」
泉田「いえ……社長はどうされたのかと、」
芳江「だからトイレよ」
蓮見「共同経営者の奥様のサインをここに、」
芳江「あ、はいはいここね」

突如、窓からガバッ!と戻ってくる隆。

隆「うぉぉぉぉ―――――――!!!!」
芳江「!!」
泉田

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台本「千切れてちょうだい⑧」

台本「千切れてちょうだい⑧」

妻が再び飛び降りた事に、呆然としている隆。

泉田「ほ、本当ですか!?」
蓮見「どうです。神田さん?」
隆「……」
泉田「社長? ……まさか、まだ不服なんですか? これ以上はいくら何でも、全員というのは無理です」
隆「……」
泉田「社長!」
隆「……ん」
泉田「1500人で、手を打ちましょう」
隆「1500……?」
泉田「過半数以上救う事が可能なんですよ、」
隆「ああ、そうか……。もうちょっと、イ

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台本「千切れてちょうだい⑦」

台本「千切れてちょうだい⑦」

泉田「神田社長と密接な関係になったのも、正直当初はそんな営業活動の一環でした。私の手帳には、社長と初デートの日は「初デート」とは記載されてはおりません「初枕」と書かれてありました」
隆「……どうしてしまったんだ泉田君!」
泉田「美千代でお願いします。でも、神田社長とお会いして真実の愛に目覚めたんです。社長の包容力と優しさに両のまなこの曇りは晴れました。そして思ったのです。あぁ不要な営業活動は止めよ

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台本「千切れてちょうだい⑥」

台本「千切れてちょうだい⑥」

隆「俺の事?」
芳江「昔2人でさぁ、学生の頃一緒に行ったじゃない浜名湖」
隆「大学ん時?」
芳江「浜名湖着いてさぁ、いざ白鳥のボート乗ろうって時に足滑らせてあたし湖に落下しそうになってさ。その時にあなた私助けようとして私の手握ってさぁ、結果2人で落っこちたでしょ。憶えてる?」
隆「あ~……」
芳江「それ思い出したの落ちながら。あぁ~あの時は結局2人揃って落っこちたけどあなた優しかったなぁって思った

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台本「千切れてちょうだい①」

台本「千切れてちょうだい①」

都内にあるタワーマンションの最上階。その一室。
神田家リビング。
部屋の中央に、テーブルとソファーが4脚。そこに、隆と芳江が向かい合うようにして座っている。
舞台正面奥の扉の先にはトイレ・風呂があり、舞台下手の扉の先には客間と玄関が。
舞台上手、芳江の背後にはとても大きく、最高に眺めの良い窓がある。

芳江「あなたが仕事をしている時、働いている時、家にいるのは私よ」
隆「……」
芳江「あなたがお仕

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台本「犀に🈡」

台本「犀に🈡」

男2、戻って来る。
先ほどよりも明らかに顔色が悪く灰色になっており、鼻からは白い突起物の様なものが出来ている。

男2「(戻りつつ)なんだよ、言う程顔色悪く無いじゃん」
男1「おいおい、」
男2「ん?」
男1「お前顔色滅茶苦茶悪くなってるよ!!」
男2「えそう?」
男1「いやさっきこんなんじゃなかったよ。鼻のニキビも、なんかスゲーデカくなってるし……」
男2「そうかぁ?」
男1「おお……」
男2

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台本「変な寝言が忘れられない🈡」

台本「変な寝言が忘れられない🈡」

「前回までのあらすじ。旅館に泊まりに来たバーベキュー同好会の面々。下の河原で騒ぎがあり、見に行って来た男1だったが戻って来ると他の仲間はみな熟睡していた。男1は仲間達が次々と喋りだす妙な寝言を、楽しん聞いていたのだが……」

部屋の外の廊下から、話し声が聞こえて来る。

女の声「え、そうなの?」
男の声「うん、死体、東京の人間らしいってよ」
女の声「観光客……?」
男の声「だろう?」
女の声「わー

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台本「変な寝言が忘れられない②」

台本「変な寝言が忘れられない②」

【前回までは。旅館に到着したバーベキュー同好会の面々。河原の人だかりが気になり見に行った男1だったが、部屋に戻って来ると自分以外の仲間全員が爆睡しているのだった。】

1人取り残され、やる事の無い男1はスマホをいじり出す。

女1「……ごめんねぇ」
男1「……え?」
女1「……染谷さんがねぇ」 

間。

男1「……先輩?」
女1「染谷さん……」
男1「大丈夫ですか……?」
女1「た~すけ~てく~

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台本「変な寝言が忘れられない①」

台本「変な寝言が忘れられない①」

東北のとある旅館。
襖を開けて、バックを持った男女数人が入ってくる。

男3「おぉ~」
男2「結構良い所じゃん、」
女1「ひろいね~」
男1「でしょ? 内の上司のお勧めなんです」
女1「落ち着く~」

男4が遅れて入室。

男4「お、ここかぁ(腰に手を当てながらバックを指差し)悪い、コレ、ちょっと持って」
男1「はいはい」

男4のバックを運ぶ、男1。
男4、その間畳に寝転ぶ。

女2「(窓を開け

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台本「外来種」

台本「外来種」

喫茶店内。
男1と女がいる。
そして少し離れた所に、白い帽子をかぶって座っている男3の姿。

男1「えっ!?」
女「……ごめんなさい」
男1「え、え? それどういうこと?」
女「……もう、きっくんとは付き合えないの……」
男1「え……そんな突然、俺なにか、気に障ること言った……?」
女「(首を振る)」
男1「一緒に暮らそうって言ってくれたじゃないか、同棲しようって言ってたじゃないか、俺新居まで決め

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