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大統領師匠の作・演出。日常をゆるく刺激する笑いをモットーに、年一回公演。 ‪コントでは…

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大統領師匠の作・演出。日常をゆるく刺激する笑いをモットーに、年一回公演。 ‪コントでは広く多くの人が笑えるものを 小説ではごく一部の楽しめるものを書いています。 https://daitouryosisyo.com/ https://daitouryo.base.shop/

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  • 奇想小説集

    自作の奇想短編小説をまとめたものです。 多少のグロテスクもありますので。

  • 大統領師匠の、本

    大統領師匠の台本(主にボツ)です。

  • 大統領師匠の歴史

    これを読めばコントユニット:大統領師匠がまるわかりです。

  • 大統領師匠の動画作品

    今までに作成した、YouTubeで視聴できる作品を集めました。

最近の記事

ジャンププラス #連載部門 作品「ザナドゥおじさん」

【あらすじ】 地獄の扉が開き、日本にある鵜羽根島という小さな島と繋がった。 初めて見るあの世の光景。 気の利いた鬼たちとの交流。 まさかの事態に島外から招集された研究者たちは胸躍らせ、 観光客が増えると島民は踊り、 地獄からやって来た鬼も人間界の文化を喜び学ぶ。 全てが上手くいっているかに見えた。 あの卑劣な罠に、気付くまでは――。

    • 「ザナドゥおじさん③」

      【2―1】 遠く波音に乗って聞こえてくる、ラジオの音声。 「午前9時になりました10月8日土曜日のウハウハサステナデイズ。ザックです、ザック忍です。今日はいつものスタジオを飛び出して、鵜羽根郷土料理の店「波風食堂」にお邪魔しています。ここのお勧めはヌメジシカの竜田揚げだそうで……」 研究所内。 検査を受けているデニムに紺のTシャツを着た鬼太郎とワンピース姿の鬼子、そしてその傍らには白衣姿の琴子がいる。 「じゃあ次、鬼子ちゃん。ここに息、ふーって思いっきり吹き込 んで」

      • 「ザナドゥおじさん②」

        【1―2】 鵜羽根島の中央部に位置する場所にぽつんとある、「小山内」と書かれた一軒の家。そのリビングには家主である小山内保とその妻浩美、そしてホームヘルパーの関ゆかりがいた。 まだ陽は高いはずだが、薄暗い室内だった。 深めのソファーに腰掛け、どこか惚けた様な表情をしている家長の保に、ゆかりは少し屈み込み視線を合わせ「保さん、足、」と話しかけた。 「ん?」 「足、痛くありませんか?」 ゆかりが聞いても、何処かあらぬ方を見たままで応えようとしない。 「あなた、関さんがね、足、痛く

        • 「ザナドゥおじさん①」

          【0】  滾る溶岩が流れる地獄の底を、磨かれた革靴を履き真新しい燕尾服に身を包んだ男が鼻歌交じりに、のらりくらりと歩いている。 歳の頃は40歳程度、長髪に無精髭。左足が不自由なようで引き摺るような歩き方。男は溶岩の側を悠々と歩いていたが、背後で鳴る物音に気付き立ち止まった。 そこには直径5㎝程度の球体が無数に転がっていた。表面は灰色でザラザラとしており、一見石の様にも見える。 男はその内の1つを拾い上げ、暫し眺めた後、耳にあてた。 ……と、中からカサカサと音が。 それは球体の

        ジャンププラス #連載部門 作品「ザナドゥおじさん」

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        記事

          ジャンププラス #読み切り部門 作品「おとうふさん」

          【あらすじ】 「おとうふさん」と呼ばれる人造人間を労働力として扱う世界で、 「僕」は父に手紙を書いている。 おとうふさんの素晴らしさを少しでも理解してもらいたいからだ。 あと帰省した時に驚かれないようにするために……。 https://note.com/gake/n/n424e0abe5950?magazine_key=m43777aa3c4ab

          ジャンププラス #読み切り部門 作品「おとうふさん」

          小説「彼らは、青椒肉絲をよく食べる」

          【あらすじ】 ある日を境に、チンジャオロースを食べている時のみ「何者かの視線」を感じるようになった少年がいた。 彼がその視線の先を辿ってみると……。 読み切り作品本編:

          小説「彼らは、青椒肉絲をよく食べる」

          小説「視聴者的配慮」

          『この作品はフィクションです。作品内に出てくる人物・団体は実際の人物・団体と全く関係ありません』 巌流島。 海の向こうを見詰めている佐々木小次郎がいる。 『小次郎からのお知らせ。テレビを見る時は離れて見てね!!』 海の向こうから、宮本武蔵が舟に乗って登場。 『地元の漁師の承諾を得て撮影しています』 「待ちかねたぞ、武蔵!」 「待たせたな小次郎!」 「いざ勝負!!」 小次郎、鞘を捨てる。 『ドラマ上の演出です。海岸にモノは捨てないでね』 「小次郎敗れたり! 鞘を

          小説「視聴者的配慮」

          台本「処方🈡」

          医者「生きているっていう事は、毎日生きていられるっていう事は、それだけでもう何物にも代えがたい宝物なんですからね」 男「は、はぁ……」 医者「ですから私はあなたに逝く事をお勧めはしません。どうか、どうかもう一度、考えて治してはもらえませんか?」 男「……わかりました……考えてみます……」 医者「良かった……良かったです。もし何かありましたらいつでもいらして下さい。今日は精神安定剤を処方しておきましょう」 喋る医者の背後で空間がバリバリと立てに裂け始める。 男「!?」 裂

          台本「処方🈡」

          台本「処方③」

          医者「この人はカード使わないの、逝く方なの、だからカードはいらないの」 男2「え、逝く方なんですか? (男に)あなた、逝くの?」 医者「そうだよこの人は逝くんだから」 男2「……(男に)あなた、青いの、怖くないの?」 男「ごめんなさい、青いのって言うのは……?」 看護婦「(男2を強引に掴んで)ほら、戻りましょう。戻らないと引っぱたきますよ」 男「でも……」 看護婦「カードあげませんよ」 男2「それは困ります、先生、カード下さい。青いの見たくないんです……」 医者「わかったから

          台本「処方③」

          台本「処方②」

          男「苦しかったです……」 医者「あれはねぇ。みんなそう言いますよ。(男の首に手を伸ばし)ちょっと拝見しますね。そんなに跡は残ってませんね…(男の首を触る)…これ、痛くないですか?」 男「特には……」 医者「あ、そう。月に何回くらい?」 男「いえ、そんな全然……2ヶ月に1回するかしないかで……」 医者「隔月?」 男「ですね……」 医者「(メモをし)なるほど……。来ました?」 間。 男「え?」 医者「青いの、来ました?」 男「……青いの?」 隣の病室から声が聞こえる。

          台本「処方②」

          台本「処方①」

          ボソボソと暗闇の中から声がしてくる。 看護婦の声「はぁ……あぁ、そうなんですか……クビになられて……」 男の声「ええ、そうなんです……」 看護婦の声「それは、いつ頃……?」 男の声「半年前で……」 看護婦の声「……何度か、チャレンジなされました?」 男の声「やってはみたんですけど……ちょっと、なんていうか……」 看護婦の声「……やりきれない感じ?」 男の声「です、ね。そう、なんですよね……」 看護婦の声「何なさいました? 飛び降り?」 男の声「では無いです……」 看護婦の

          台本「処方①」

          小説「From 巌流島」

          こんにちは佐々木小次郎です。 え~私はですね、剣豪です。かつては名のある剣豪でした。 剣豪、やらせて頂いておりました。 身の丈ほどもある長刀「備前長船長光」通称、物干し竿を愛刀としておりまして、得意技は斬り下ろした刃を瞬時に返して斬り上げる「燕返し」という技です。 出世意欲の強い美剣士、と皆さんは認識されているんじゃないでしょうか?実際は、こんな感じです。 あ、拍手、ありがとうございます。 本日は私が剣豪をしていた頃のお話をね、まずさせて頂ければなと。 忘れもしませんあの日

          小説「From 巌流島」

          台本「千切れてちょうだい🈡」

          悠々と室内に戻る芳江。 芳江「雇用頂くのは1500人で結構です」 蓮見「あの……1回、1回、外がどういう仕組みになっているのか見させて頂いても宜しいですか?」 芳江「はい?」 蓮見「何回も、落っこちたり戻ったりしているから、不思議で仕方がなくて……どう、いう事になっているんです? ネットですかこれ?」 泉田「私も全く分からないんですけども、」 芳江「私だって分かりませんよ」 窓から、ガバッ!と戻ってくる隆。 隆「てめぇ!」 興奮状態の隆、あっという間に室内に侵入。 窓

          台本「千切れてちょうだい🈡」

          台本「千切れてちょうだい⑨」

          芳江「早速契約を」 蓮見「ですな。では、」 蓮見、バックから契約書を取り出す。 泉田、不信に思いトイレのあるドアの方に近づく。 芳江「え? 泉田さんなに?」 泉田「いえ……社長はどうされたのかと、」 芳江「だからトイレよ」 蓮見「共同経営者の奥様のサインをここに、」 芳江「あ、はいはいここね」 突如、窓からガバッ!と戻ってくる隆。 隆「うぉぉぉぉ―――――――!!!!」 芳江「!!」 泉田「きゃーーーーーーーーーーーー!!」 蓮見「あぁーーーーーー!!」 隆「(窓から

          台本「千切れてちょうだい⑨」

          台本「千切れてちょうだい⑧」

          妻が再び飛び降りた事に、呆然としている隆。 泉田「ほ、本当ですか!?」 蓮見「どうです。神田さん?」 隆「……」 泉田「社長? ……まさか、まだ不服なんですか? これ以上はいくら何でも、全員というのは無理です」 隆「……」 泉田「社長!」 隆「……ん」 泉田「1500人で、手を打ちましょう」 隆「1500……?」 泉田「過半数以上救う事が可能なんですよ、」 隆「ああ、そうか……。もうちょっと、イケませんか」 泉田「社長!!」 蓮見「……神田さん、我が社としてはこれが精一杯な

          台本「千切れてちょうだい⑧」

          台本「千切れてちょうだい⑦」

          泉田「神田社長と密接な関係になったのも、正直当初はそんな営業活動の一環でした。私の手帳には、社長と初デートの日は「初デート」とは記載されてはおりません「初枕」と書かれてありました」 隆「……どうしてしまったんだ泉田君!」 泉田「美千代でお願いします。でも、神田社長とお会いして真実の愛に目覚めたんです。社長の包容力と優しさに両のまなこの曇りは晴れました。そして思ったのです。あぁ不要な営業活動は止めよう、枕は止めよう、この人と共に愛に生きよう、と。……そう思っていたのになんですか

          台本「千切れてちょうだい⑦」