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台本「千切れてちょうだい⑨」

芳江「早速契約を」
蓮見「ですな。では、」

蓮見、バックから契約書を取り出す。
泉田、不信に思いトイレのあるドアの方に近づく。

芳江「え? 泉田さんなに?」
泉田「いえ……社長はどうされたのかと、」
芳江「だからトイレよ」
蓮見「共同経営者の奥様のサインをここに、」
芳江「あ、はいはいここね」

突如、窓からガバッ!と戻ってくる隆。

隆「うぉぉぉぉ―――――――!!!!」
芳江「!!」
泉田「きゃーーーーーーーーーーーー!!」
蓮見「あぁーーーーーー!!」
隆「(窓から上半身だけ見せて)させんぞ! 社員は俺の大事な家族だ!」
芳江「……まさかアンタにまでセカンドチャンスがあったなんてね」
泉田「社長!?」
蓮見「まだサプライズがあるとは!!」
隆「会社の事や残された社員の事を考えたら右肩からなんか糸が出てきて、それのお陰でカムバックだ!」
芳江「しつこい男は嫌われんのよ!!」

芳江、再度隆を落とそうとするが、逆に隆に首元を掴まれる。

隆「しつこいのはおめぇだ!」

外に放り出される芳江。

芳江「ギャ―――!!」
泉田・蓮見「……」

隆、平然と室内に戻ると、パンパンパンパンと埃を払いながらソファーに悠然と座る。

隆「いやー見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありませんでした」
泉田「……」
蓮見「あの、」
隆「契約の件なんですが、やはり我が社としては2050人すべての社員を雇用して頂きたい。やはり社員は私の家族、」
蓮見「あの、あの、」
隆「なんでしょう?」
蓮見「これって……サプライズ、なんですよね?」
隆「え?」
蓮見「神田さん、」
隆「勿論。そうですよ」
蓮見「……そう、なんですよね?」
隆「そうに決まっているじゃないですか(笑う)」
泉田「奥様は無事なんですよね?」
隆「美千代君まで何を言ってるの?」
泉田「え? でも、」
隆「で、社員の事についてなんですけどね、」

窓から、ガバッ! と戻ってくる芳江。

芳江「まだまだ―――――――!!!!」
泉田・蓮見「!!?」

隆、すっかり慣れた体で立ち上がると窓に行き、這い上がって来た芳江を顔面のキック1発で落とす。

芳江「ギャ―――!!」
泉田・蓮見「……」
隆「2050人全員を雇って下さらない限りは私としてはですね、」
蓮見「え、ちょ、奥様、」
隆「大丈夫ですサプライズなんで」
蓮見「でもキック、顔に、」
  
窓から、ガバッ!と戻ってくる芳江。

芳江「てめぇ――――!!!!」
泉田・蓮見「!!?」
隆「しつけーんだよ!!」

隆、立ち上がり窓に行くと、這い上がって来た芳江を再度キック1発で落そうとする。
が、今度は避けられ、芳江に足を掴まれてしまい逆に落とされる。
真っ逆さまに落下していく隆。

続。

老若男女問わず笑顔で楽しむ事が出来る惨劇をモットーに、短編小説を書いています。