小説「電気的心理分解」
「いつの頃からか、蝶が飛ぶようになりまして。部屋の中にいるんですよ、蝶が。窓を開けた記憶は無いんですが、いつの間にか大きなアゲハ蝶が私の家を飛んでいるんです。このままここにいても可哀想だろうと思って外に逃がしてやろうとしても、ひらひらとまるで私を翻弄する様に舞って一向に捕まえられない。外に出せないんです。そんな日々が、3ヶ月程続きました。朝も昼も夜も部屋をずっと。
……ええ、その間ずっとアゲハ蝶は飛んでいるんです。で、ある日やっと捕まえられそうな所まで追い込みましてね。きっ