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「ザナドゥおじさん①」

【0】 
滾る溶岩が流れる地獄の底を、磨かれた革靴を履き真新しい燕尾服に身を包んだ男が鼻歌交じりに、のらりくらりと歩いている。
歳の頃は40歳程度、長髪に無精髭。左足が不自由なようで引き摺るような歩き方。男は溶岩の側を悠々と歩いていたが、背後で鳴る物音に気付き立ち止まった。
そこには直径5㎝程度の球体が無数に転がっていた。表面は灰色でザラザラとしており、一見石の様にも見える。
男はその内の1つを拾い上げ、暫し眺めた後、耳にあてた。
……と、中からカサカサと音が。
それは球体の中から聞こえる、生物の躍動に違いなかった。
やがて球体は罅割れ、中から小さな、クワガタの様な蛸の様な生き物がねっとりと這い出て来る。
男はそれを見て、微笑んだ――。
 
【1】
小笠原諸島・父島の側に位置する、鵜羽根島。
自然に恵まれ、豊富な海産物の獲れる島である。
一時は高齢化と本土へ移住が相次いだため著しく島民が減少したが、数年前から力を入れている島の観光化により、島民の数を増やしつつあった。

その鵜羽根島にある研究施設、日本生物科学研究所。
この島で現在起こっている超常現象を解明すべく作られた場所なのだが、ごく最近急ごしらえで作られたらしく、真新しいが所々造りが荒く簡易的な感じが否めなかった。
波の音、風の音に混じり、研究所の窓辺に置かれたからラジオの音声が聴こえて来る。
 
「――10月1日土曜日、午前9時になりました。皆さんお早うございます。ラジオウハネから鵜羽根島の島民の皆様に、お得な生活情報をお届けしているウハウハサステナデイズ。パーソナリティのザック忍です。さて、今年開催予定だった第2回風神雷神偽米祭、中止になってしまいましたね。皆さんと一緒にお米放り投げたかったんですけどねぇ……ゲートが開いて以来観光客が来なくなっっちゃったから仕方が無いんですけど、また観光客が島に戻って来るようになったらその時は全力で盛り上げていきましょう。あと、最近子供がゲート付近に行っちゃってるみたいなんで、ゲートに行こうとしている子を観たら必ず……――」

白衣の下に派手なアロハシャツを着た研究員三谷一平はラジオを消し、テーブルの上に置かれた釣り竿を手に取った。 
「じゃあ~こっから始めてみるかなぁ」
うんうんと頷きながら島の漁師、柏手元気は「初心者はこれで十分だから」と答える。
「ルアーとかは使わないの?」
「いいいい、初めは餌付けて、防波堤とかで釣ってくのが気楽にやれて良いんだわ」
「へぇ~なるほどねぇ~」
今日は10月にしてはやけに日差しの強い日で、三谷も柏手も話している内に汗が頬を伝い落ちて来ていた。
柏手はいかにも海の男らしく浅黒く日焼けしており、その顔を伝う汗を首に掛けた手拭いで拭う。
「今度の休み教えてよ、釣り方教えっからさ」
「今から行けるけど」
三谷は、釣り竿を置くとパタパタ団扇を扇いだ。
「え、みっちゃん仕事は? 研究は?」
「今日はもう無いようなもんだよ」
「いやあるでしょ三谷君!」
棘のある声と共に現れたのは、研究資料を手にした研究員の寺沢琴子と桐野悠二だ。
 「無いワケないでしょちゃんと仕事しなさいよ」
「んな事言ったってよぉ……」
琴子は40歳になったばかりだがまだまだ若々しくすらりとした体型で、髪はショートカット、そして知的なノンフレームの眼鏡をかけている。30歳になったばかりと言っても十分通用しそうな若さと美貌の持ち主である。
もう1人の研究員桐野は大学時代からずっとスポーツをしている為、ガッチリとした身体をしており研究者という言葉が似合わぬ風貌の男だった。
三谷は琴子から視線を逸らすと首をすくめ「だって、モチベーション上がんねぇんだもんよぉ」とボソリ。
「上げるの。前人未到の大発見がそこまで来てるのに、磯釣りの相談とかしないでよ」
「だって、いつになったら現地調査させてくれんのかまるで目途が立たねぇじゃねぇか。ヨーゼフも帰って来ねえし。お前だってそう思うよな、桐野?」
苦笑しつつ「もう直ぐ鬼子ちゃん来ますよ」と桐野。
「あ、今日来んの? 鬼子ちゃん?」
「ええ。もうすぐ検査ですから」
「あの妹さんは興味あるんだよな……」
「ならさっさと用意する!」
琴子が白衣に着替えつつ檄を飛ばす。
「へいへい……」
「もう……。昨日渡したデータ、見といてくれた?」
「きのうのでーた?」
琴子は溜息交じりに調査データを三谷に手渡した。
「さんくす」
受け取り目を通した三谷の顔に、次第に困惑の色が浮かぶ。
「……カドニウム、セレン? ……どこの?」
「以前ヨーゼフを保護した辺りの土です。かなり検出されて」
桐野が答える。
「こりゃゲートの影響じゃないよな、化学物質だもんなぁ……」

 「お待たせしました~」
事務員の小山内美和が、2人分のお茶を持って給湯室からやって来た。
美和の盆にのっているのはガラスのコップに入った真っ赤なお茶、この島の名産アンナジュリ。甘じょっぱい茶である。
「淹れたてのアンナジュリです。……あ……」
自分の持って来た茶と研究所内にいる人数を比較し硬直する美和。
「私達は大丈夫だから」
爽やかに微笑む琴子。研究所員は基本的に島の名産である茶「アンナジュリ」の独特な味が苦手だったので、飲まないで済むなら越した事はないのだ。
「すみませんご用意せずに。……アンナジュリです」
「おーおーどもどもサンキューね」
すまなさそうに茶を並べる美和と、それを嬉しそうに受け取る柏手。
美和は茶を並べた後、再びおずおずと琴子に「あの寺沢先生、今ヘルパーさんから電話で、あのぉ父がちょっと……」と話しかける。
「え、どうかしたの?」
「ちょっと家で転んじゃっただけらしいんですけど、あの、もし良かったら少し早めに……」
「うん、良いよ。そういう事だったら今日はもう」
「すみません、」
帰り支度を始める美和に、
「送ってこうか?」
と柏手。
「ううん、自転車あるし。……そしたらお先に失礼します」
美和は研究所を出て行った。
 
研究所から出て行く美和と入れ違いに、男が1人入って来た。
身長170㎝強、中肉中背、整った顔立ちに天然パーマ。一見すると優男なのだが、驚くべき事にこの男、頭頂部から2本の角がそそり立っている。
彼は人ではなく、鬼なのであった。
地獄から来た、鬼の鬼太郎。
地獄と人間界が繋がった事でこの島にやって来た、鬼である。そして、地獄から一番最初に人間界へとやって来た鬼であった。巨大な金棒片手に、鬼太郎は研究所の中にスイスイと入って来る。
 「あのぉ、スミマセン、まずトイレに……」
「どうぞ~」
琴子に促され、鬼太郎はトイレへ向かおうとする。
鬼太郎の登場に人間達は驚く事ない。鬼という存在は既に珍しいものではなかった。
「あれ、鬼子ちゃんは?」
三谷が鬼太郎に問うた。
「あ、今日はちょっと……」 
「え、来れないの?」
「具合、あんま良くないみたいで……」
「そっか~」
鬼太郎は申し訳なさそうな顔のまま、トイレへと消えていく。
鬼太郎はトイレが近かった。
「……小山内さん、大変そうですね」
「介護はねぇ……」
桐野と琴子と言えば、鬼太郎の事よりも美和の事を案じている様子。
「じゃあ、みっちゃん俺も帰るわ。移住の話考えといてよ」
「おお」
柏手はアンナジュリをクイと飲み干すと研究所を後にした。
 「え。やだ三谷君。移住って、本気?」
「良いだろ? 行く行くは住みてぇなってよ」
「浜辺で島民全員が輪になって米撒く変な祭、三谷君もやるの?」
「風神雷神偽米祭な。知ってっか? あれ最近ネットでバズってジャパニーズクレイジーフェスティバルってなんか世界中で真似されてんだぞ?」
「……これ毎日飲むの?」
琴子は眉をしかめ、赤き名産アンナジュリを指さした。
「飲むさ。慣れりゃ美味いんだよきっと」
「え~……。紅生姜のつゆに蜂蜜入れただけだよ?」
「なんでこの島の名産って、全部紅生姜に蜂蜜入れたヤツなんでしょうね」
桐野も苦笑し、アンナジュリを脇へそっと退ける。
「なんか島の神々がうんたらかんたらしたって言ってた、かっしー」
「ね、ジャンケンしない?」 
三谷の声を遮り、琴子が提案を持ち掛ける。
「負けた人が小山内さんに、今後淹れるのは普通のコーヒーにして下さいってお願いしに行くジャンケン」
「やめろ、島民の純粋な善意を踏み躙るな。これ善意で淹れてくれてんだぞ」
「いい加減コーヒー飲みたくないの? ね、桐野君はどう?」
「3回勝負なら良いですよ」
「鬼かお前ら!」
その時、丁度鬼太郎がトイレから戻って来る。
「呼びました?」
「あ、いや鬼太郎君の事じゃ……。検査しよ、検査!」
慌てて取り繕う三谷に促され、鬼太郎は研究室の中にあるベットへ移動する。

桐野は鬼太郎に様々な機器をつけていく。脳波や骨密度、角の強度エトセトラエトセトラ……。まだまだ鬼の生体には分からない事が多いので、日々の検査は必須事項だった。
 「鬼子ちゃんも検査受けといた方が絶対良いよ、こっち来てまだ間もないんだし。鬼っていう事以外にも彼女の身体のさ、状態的にもさ」
「はい……いつもそう言ってるんですけど……」
琴子の言葉に、鬼太郎は申し訳なさそうに俯きながら答えた。
「その後体調の変化とかはある? 鬼子ちゃん」
機器を操作しながら桐野が訪ねる。
「大丈夫そうです、」
「え、今何ヶ月だっけ?」
と三谷。
「ああ……なん、って言ってたかな。7ヶ月とか……」
「勿論鬼とはね、その辺のメカニズムは大きく違うんだろうけど、でも、子への愛情はさ、同じでしょ?」
「……あぁまあ、はい、ですね」
「検査大事よ? あと、あんまりこんな言い方したくないけど、こっちで暮らす為にもさ」
「はい……」
「鬼太郎君はこうして検査させてくれるから有難いよ」
鬼太郎をフォローするように桐野が声を掛ける。
「住まわせてもらってるんで、」
「ヨーゼフ、もうちょっと研究させてくれねえかなぁ」
と三谷。
「ヨーゼフ?」
「うちにいた、進化したチンパンジーよ」
鬼太郎の問いに、琴子が答える。
「桐野が衰弱したチンパンジーを山ん中で見つけて保護してよ、そしたらあっという間に人に進化して人間なったんだよ。最初、見つけた所で採れる野イチゴしか食わねぇで。な?」
と三谷。
「桐野君、毎日よく採りに行ってたよね」
これは琴子。
「アレしか食べなかったから、当然の事をしたまでです」
「偉いよ日本語から何から全部教えてやって。……知ってっか? あいつ俺らよりも遥かに稼いでんだぞ」
「今日もどこかで忙しくしてるんでしょうね」
三谷と琴子は、窓からぼんやり外を見、遠い空で活躍しているであろう元チンパンジーに想いを馳せる。
「上野動物園行くって言ってましたよ」
と桐野。
「は、なんで?」
「知見を広げるとかで」
「あいつが行きたいって?」
「さあ、その辺は」
「ん? なによこれ……?」
琴子はテーブルに置かれたタッパーを手にしていた。
「あ~かっしー持って来てたアレだ、ヌメジシカの佃煮」
「ちょっと! え、ちょ、何で食べちゃうのここの島民って!」
「別に国が禁止してるワケでもねぇんだし」
「信じられない、こんなタッパーに入れ……佃煮⁉」
ヌメジシカというのは、人間界と地獄が繋がった事で生まれた突然変異の生物。所謂ミュータントだ。別名:粘液鹿とも呼ばれる体長5~6mの巨大鹿である。全身ローションにまみれているかのように、ドロドロの粘液に包まれているのが特徴だ。
「ヌメヌメでドロッドロした巨大な鹿をさ……食べたいと思う?」
「僕はあんまり……」
鬼太郎も首を振る。地獄にもヌメジシカはいないらしく、彼ら鬼にとってもヌメジシカは奇異な存在なようだった。
「アレなんだってヌメジシカって、納豆に鹿潜らせた触感だってよ」
「納豆に鹿潜らせた触感って、なに?」
三谷の言葉に琴子が食いつくと同時に、研究所の入り口から妙に光沢のあるグレーのスーツを着た、小太りの男が現れた。
「あ~どもども、依田ですけども」
小金持ち感と何とも形容し難い胡散臭さを持つ男は、ずかずかと研究所内へと入って来る。
「今検査中です」
「あ、鬼太郎君もいたの? ど、人間界には慣れた?」
桐野の制止も聞かず、依田は鬼太郎と話し出す。整髪料のせいか、依田の周囲には常に甘ったるい臭いがふわんと漂った。
「はい、お陰様で。大将にも良くしてもらって」
「あ~そう。じゃ見せてもらった? 大将に銃」
「じゅう?」
「あれ知らない? じゃあメダルもまだ?」
「めだる?」
「あの人ね元オリンピック選手で銃持ってんだよ」
突然の闖入者に眉を顰める琴子は「……誰だっけ?」と三谷に問いかけた。
「ほら、島興しの、コンサルの」
「ああ……」
鬼太郎との会話に満足したのか、依田はケホンと咳払いを一つすると研究者の方を向き「それであの~先生方どうでしょうその後の進展の方は? 再開できませんかね?」と揉み手もせんばかりに切り出した。
「まだ一般の渡航解除には至らないかなとは……」
これは桐野。
「参っちゃうんですよぉ、このままじゃ鵜羽根島の観光業死んじゃいます。観光客パッタリ来なくなっちゃったもんだから、もう半年ですよ? 観光復活させてもなんも問題無いって、島外の方に言って頂けませんかね?」
「我々に言われましても」
これも桐野。
「三谷先生だって島暮らし、検討中なんでしょ? 船舶免許も取ろうとしてるらしいじゃないですか。なのに島が衰退しちゃ不味いでしょ?」
「まあ、はあ」
「調査が済むまでお待ち下さい」
好い加減ムカついて来たのだろう、右頬をピクつかせながら琴子が言った。
「地獄は良い商品になりますよ。本土の人達にヌメジシカの佃煮振舞えば、喜ぶと思うけどなぁ。美味しいんですよ?」
「今検査中なんで!」
琴子が遂に語気を強めた。というかキレた。
「まあとにかく、諸々宜しくお願いしますね」
 依田は言いたい事は全て言い終えたのか、スタスタと研究所を後にし出て行った。
 「……何あの人……」
「休業要請で出た補助金で大分儲けてるらしぃよ。休めば休んだだけ得するんだと」
「あの人? え、じゃあ何であんな再開させたがってるの?」
「さあ」
 
たって大きな収穫はなかったが、こうした地道な根回しが後々ものをいうのだという確証が依田にはあった。こうやって数え切れぬほどの仕事を今まで勝ち取って来たのだ、研究者だろうが分科会だろうが強気に押して行けばいつか何とかなるだろう。 
研究所から出てスタスタ歩くうち、依田のスマホが鳴った。
「あ~もしもし、お疲れ様です……ええ、今行って来ました……いやいや相変わらずで。いつ再開できるか分からないの一点張りで。研究者ってのはホント、商売分かってないですよねぇ……ええ……地獄と繋がってる今がビジネスチャンスなのに、気軽にGOTOHELL出来ちゃうなんて最高なのにねえ?……ハハハそうですよね、とにかく当面はこんな感じっぽいですよ。捨てちゃいたいモンも沢山あるのに、困ったもんです……ええ、じゃあまた」
いずれ大金が舞い込む。全てはその為の下準備なのだ。


 依田は島の漁港へとやってきた。
鵜羽根島は農業も行う事が出来るが、漁業の方が明らかに盛んで漁師も多い。昨今観光業が島の大きな財源となっているが、漁業は今でも島の生活を支える大切な産業だった。
柏手が漁港に停泊している漁船の1隻に近付くと、中で柏手が発泡スチロールの箱に入った魚を険しい顔で見つめていた。
 「柏手さん」
「あ……依田先生」
「どうです今日は? ゲソ付き出ました?」
「ええ、今日は結構……」
「そうですかぁ~、どれ」
依田はよいしょと柏手の漁船に乗り込むと、彼が見ていた発泡スチロールの箱を見る。
「わ、いるね。これ鯵?」
「鰤です」
「鰤かぁ~これで全部?」
「いえ、奥にもっと」
「あそう。ま、当面このまま静観しておきましょう」
依田の言葉に、柏手は答えなかった。ただ、何かを考えている様に俯いている。
「大丈夫そのうち減りますよきっと」
「……魚の味悪くなってるらしくて……」
依田の目を見ることなく、柏手は言った。
「あら。え、ゲソ付き?」
「いや、ゲソ無しが。ゲソ無しって言うか元の魚が。甘くなってるって……」
「そうですか。研究所の人は気付いてる感じ?」
「いや、さっき行きましたけど魚の事はなんも」
「なら大丈夫でしょ」
依田は事もなげに答える。
「オラ不安なんですよこのままじゃ島、前と違う感じになっちまうんじゃないかって……」
「そりゃ色々影響出ますよ、地獄と繋がってるんだもん」
「そんな先生、他人事みたいに……」
「これ、チャンスなんですよ?」
「え?」
「ヌメジシカが良い例じゃないですか。世界中何処探してもここにしかいない。観光客が一目見たさにわんさか押し寄せて来ますよ、しかもそれを食べれちゃうんだから! 悲観的になる事なんて無い。むしろ地獄化には期待して行きましょう」
「でも魚が甘く……」
「それも良さになります、鵜羽根島は甘いお魚が食べられるって売り出せば良い。スウィーツフィッシュだ」
ガハハハッと笑い、依田は船を降りる。
「で、でも、それじゃ前の良さが……!」
「時代に合わせてアップデートですよ、古いまんまじゃ他みたいに過疎の島になっちゃう。それが嫌だから、私を呼んだんじゃなかったんですか?」
「……それは、まあ……ええ……」
柏手が自分の言葉に納得したのを確信し、依田は「じゃ」と言い残し帰って行った。

1人残された柏手は、さっきまで見ていた発泡スチロールの箱の蓋を手にした。この中のモノはまだ三谷達に見せるワケには行かない……。箱の中にいる人の足を無数に生やした、このおぞましい魚たちを……。
そう固く心に決め、柏手は箱を閉ざした。

続く。

老若男女問わず笑顔で楽しむ事が出来る惨劇をモットーに、短編小説を書いています。