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台本「千切れてちょうだい🈡」

悠々と室内に戻る芳江。

芳江「雇用頂くのは1500人で結構です」
蓮見「あの……1回、1回、外がどういう仕組みになっているのか見させて頂いても宜しいですか?」
芳江「はい?」
蓮見「何回も、落っこちたり戻ったりしているから、不思議で仕方がなくて……どう、いう事になっているんです? ネットですかこれ?」
泉田「私も全く分からないんですけども、」
芳江「私だって分かりませんよ」

窓から、ガバッ!と戻ってくる隆。

隆「てめぇ!」

興奮状態の隆、あっという間に室内に侵入。
窓際で掴み合いになる隆と芳江。

隆「よくも突き落としてくれたな! 糸なかったら死んでたぞ!」
蓮見「え、ちょ、2人とも、」
泉田「もう止めましょう、」
芳江「せっかく突き落としたんだから潔くくたばりなさいよ! しつこい! あさましい!」
隆「お前への恨みがある限り何度だって舞い戻ってやる!」
芳江「恨み!? それはこっちのセリフよ! あんなのと付き合って!!」
泉田「!?」 
芳江「アレのせいで大惨事よ!」
隆「まあ、そうだな確かに。失敗だよ、付き合うんじゃなかった!」
泉田「しゃ、社長!? 嘘ですよね!?」
隆「お前と違う大人しい子だと思って付き合ったのにさ、スゲーすけべでさ枕営業してたっていうしさ! 大外れだよ!」
泉田「(蓮見に)違います、私違います!!」
芳江「ほら、私が言ったとおりだったじゃない!」
隆「ん、ああ、まあ、お前が全面的に正しい、」
芳江「ほら」
蓮見「え、これはずっと何をやっているんですか……?」

間。

芳江「認めるのね?」
隆「認めるよ……」
蓮見「……あれ、神田さん。これは……サプライズ、なん、ですよね?」
隆「付き合うんじゃなかったよ、少なくとも泉田君とは」
芳江「……」
泉田「あの私の意見も言わせて頂きたいんですけど、」
芳江「どっちが死ぬかは一旦脇に置きましょう」
隆「そうだな」
蓮見「死ぬ?」
芳江「まずスッキリさせなきゃ根本を」
隆「(頷く)」

芳江・隆、同時に泉田を見る。

泉田「え?」

芳江・隆、泉田に近付くと彼女の身体を抱え上げる。

泉田「な、なんですか!? え、ちょっと!!」

泉田をベランダの方へ運ぶ隆と芳江。

泉田「え? ちょ、ちょっと、嘘でしょ!? 放して!」
蓮見「何してんの、アンタら何してんの!? ちょっと! え、これどういうサプライズなの!?」
泉田「やめて! いや、助けてー!」

芳江・隆、泉田を窓から放り捨てる。

泉田の声「いや―――――!!」
蓮見「えっ、えっ? えっー!? ちょっとサプライズなんだよね!? これはサプライズなんだよね!!? 泉田さん、泉田さん――――!!」
芳江「スッキリ」
隆「スッキリしたなぁ」
芳江「後は会社ね」
隆「それなんだけど、1500人で手を打とうと思う」
芳江「あら」
隆「2050人全員は無理だ」
芳江「あら」
隆「残りは諦めるよ」
芳江「解決じゃない。じゃーもうオッケーね」
隆「蓮見さん、後の事はよろしくお願いしますね。誰を切るとか残すとか全部そっちで決めて下さった結構ですので、上手くやって下さい」
蓮見「え、何言ってんの?」
芳江・隆「ごきげんよう」

芳江・隆、仲良く二人同時にぴょこんと飛び降りる。
1人取り残される蓮見。

蓮見「ん……?」

間。
いつもの流れで誰か上がって来るだろうと思い待つが、誰も戻っては来ない。

蓮見「皆行っちゃった……これも……あれでしょ? サプライズ、でしょ? サプライズなんだよね?」

恐る恐る窓に近づく、蓮見。
蓮見の歩みと合わせる様に室内がゆっくりと、暗くなる。
蓮見、窓から身を乗り出して、下を覗き見る。
途端、表情が曇り出す。

蓮見「……あ~あ……」

暗転。
🈡。

老若男女問わず笑顔で楽しむ事が出来る惨劇をモットーに、短編小説を書いています。