見出し画像

Excuse me



よく道を尋ねられる。
人生の道は説明できないが、地図に載ってる道ならなんとかなる。


今日も道を聞かれた。道聞きやすい顔してるんかな?

しかしこの時代になって尚、アナログなれど確実なのが「地域の皆様の情報」。

70代中盤に差し掛かろうかというくらいのお爺さまに、「ここから1番近い駅まで教えてください」と問われる。



「地域の皆様」の一員である私は、いま立っている地点からさほど変わらない距離感に、2つ駅があることをまずは伝える。
どちらに行かれたいのですか?と付け加えて。

回答は、どちらでもよい だったので、

それだったら、Aの駅に行くにはこの丘を越えなければならないから、歩いてはきつい、やめた方がいい。
なので、Bの駅に行った方がいいと思う。
しかもBはこの道をまっすぐやで。


という、それなりに親切な道のりプランをご提示したつもりだった。
ちなみに、Aは北側、Bは西側に進む旨も説明に含んだ。



するとその、全身真っ黒ひげだけ真っ白おじいは、こう答えた。

「じゃあBに行きます、Bは北側やね」




ほへ?聞いてなかった?




いや、Bは西側、この道をまっすぐ。

と伝えても、

「ふんふん、ってことは、Aの駅が近いってことやね?」



Maybe i was speaking english?
なんでこんなに話が伝わらんの?
ロジック?哲学かなんか話してる?


Aは右、Bは左。
絶対にBの方が良いって伝えて、了承されて、んでAに行こうとする、メガネレンズめちゃでかおじい。


反抗期なんか?
ずっと噛み合わんし。


だから、この道をまっすぐ!
 え?この丘越えたら駅やろ?
そっちは遠いからこっち!この道をまっすぐ!
 じゃあこっちに行けばBの駅?
そう!
 この道をどこで曲がるの?
まっすぐ!ひたすらまっすぐ!
 曲がったらだめ?
まっすぐ!びっくりするくらいまっすぐ!
 わかった、じゃあね



ありがとうくらい言ってよ
どうしてもそっち行きたいならもうタクシー乗ってくれよ
あとよくその状態でここまで来たね。
来た方に向かっていきよったけど大丈夫そ?



あとおれアントニオ猪木?
ずっと この道をまっすぐ しか言ってなかったし


なんやったんやろ、あの、横顔がジャニー喜多川みたいなおじい。
無事駅に着いたんかな?


あとそんな状態で駅に行って仮に電車乗るとしても、またあの調子で行き先聞くんやろな。


電車は乗り間違えたらアウトよ?
一気に進むし。


結局どこに行ったんやろな…



その帰り道に普段通らない道を通ったら、今度は自分が道に迷ってしまって往生したのは、また別のお話。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?