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文月悠光 Fuzuki Yumi
2016年10月19日 23:15
あなたが誰かのものになっていく。触れることもせず、祈るように見つめるわたし。彼らの暮らす水槽はあまりに澄んでいたから。---------------------------- 片袖の魚 文月悠光あなたが誰かのものになっていく。その過程がわたしにはよく見えるだろう。両袖ならば触れ合えたのに、わたしは片袖にのみ火を放った。片袖に生まれた
2016年10月29日 22:00
口に含めば、甘くあふれ出すきみの名前。見つけてしまった。幾度も口ずさみ、断ち切ることなく味わっていく。それが合言葉のように、唱え終えると夏がきていた。--------------------------- 夏の観測席 文月悠光窓ぎわ 右の列の三番目 ひじかけつき観測席はそこにある。発車時刻を待つバスの中、わたしは坂道の向こうを見すえ、待