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孤独を愛せる人こそ進化する。心理学と組織論からみる意識と社会の未来図

2020年はコロナウィルスの世界的パンデミックにより、私たちの生活があらゆる場面で変化を強いられました。緊急事態宣言中は "Stay home" が叫ばれ、多くの人々が家から出ない "引きこもり" を経験。

コロナウィルス以前のようにたくさんの人と交わることは、健康を害す可能性のあるリスクとなりました。

これまでは、多くの人と会うということはでした。

しかしこれが一変し

不特定多数の人々に会うことがともされるようになった今。

孤独を感じて不安になった人も多いのではないでしょうか?

世界は集合的無意識で成り立っている

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私は世の中の全てのことは人の意識で決まると思っています。経済も社会体型も意識により形作られていると思うのです。

心理学者カール・グスタフ・ユングは我々人類には共通して持っている大きな意識があるということを提唱しており、これを集合的無意識と呼びます。

どの時代も共通した意識が存在し、それをベースに価値観が作られ、この価値観を前提に社会は作られています。21世紀の知の巨人ユヴァル・ノア・ハラリはまたの名でこれを "虚構" と呼んでいますね

意識はコントロールすることもできます。戦時中はマスメディアはプロバガンダに利用されていました。現在も毎日感染者がXXX人という発表をみて恐怖に飲み込まれている人は、メディアが流す情報により意識をコントロールされていると言えるでしょう。

しかし意識は進化します。これまでにも欲求五段階説のマズローをはじめとする多くの心理学者が指摘したように意識は進化しているし、それに伴い社会も進化しているのです。

私達はこのパンデミックの後一体どこへ向かうのか?

この問いは、私達の意識はパンデミックの後にどう変わっていくのかということにもイコールであると言えます。

今回はマズローの欲求段階説に加え、組織の進化論ティール理論の段階図と見比べ、人間の意識の進化とそれに伴う今後の社会という共同体、組織の流れについて分析していきたいと思います。

意識進化のマズロー欲求段階と組織進化のティール理論

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マズローの欲求段階説とは皆さまご存知アメリカの心理学者アブラハム・マズローが人間の欲求を6段階の階層で体型化したもの。

一方ティール理論とはアメリカの思想家ケン・ウィルバーが提唱した意識の進化体系 "インテグラル理論" をベースにフレデリック・ラルーがまとめた組織進化論です。

マズローの欲求段階説とは

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アメリカの心理学者アブラハム・マズローが人間の欲求を6段階の階層で体型化したもの。

第1の欲求 生理欲求
第2の欲求 安全欲求
第3の欲求 所属欲求
第4の欲求 承認欲求
第5の欲求 自己実現欲求
第6の欲求 自己超越欲求

人間には進化の過程でこの6つの欲求が発生するとマズローは提唱しました。

アフターコロナ後の人間の精神的進化とは?マズローの欲求段階説からみるアフターコロナの次元上昇

の記事では現在の人間がどこの欲求にいるのかということを年代や価値観別に分析しています。

ティール組織とは

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トランスパーソナル心理学の研究者で21世紀を代表する知の巨人のひとりとも言われるケン・ウィルバーの人間の意識進化をまとめたインテグラル理論をフレデリック・ラルーが組織論に当てはめ書き下ろした著書がは"ティール組織" といいます。日本でも経営者の間で話題となり5万部を売り上げました。

組織の段階的進化

1段階 レッド  個人による独裁支配
2段階 アンバー 独裁を残すピラミッド型の権力構造
3段階 オレンジ 成果主義によるピラミッド型の権力構造
4段階 グリーン 多様性が容認されたピラミッド型の権力構造
5段階 ティール 権力構造のない目的実現のための共同体

このふたつの理論が提唱する進化を段階ごとに紹介して生きます。

絵図でみる欲求と組織の段階

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欲求と組織の変化を段階別に絵図にしてみました。色はティール組織(インテグラル理論)のカラーにあわせています。

1. 安全・生理欲求/ 独裁→戦後

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まず安全・生理の欲求。ご飯が食べられるか、寝床が確保できるか。人間は意外と長くこの段階にとどまってきました。古代はもちろん、最近だと戦争中もこの段階だと言えるでしょう。

2. 所属欲求/ 軍隊的ヒエラルキー→バブル崩壊まで

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アフターコロナ後の人間の精神的進化とは?マズローの欲求段階説からみるアフターコロナの次元上昇

にも書きましたが、バブル崩壊頃までの人々が強く持っていた欲求といえば "所属欲求" 。所属欲求が強かったのは所属しないとご飯を食べられないという意識が強かったからです。集団に属する会社員が第1欲求の生理と安全を満たすための最適手段と考えられ、自営の人たち、例えば商店街で自営している人でも組合などに "所属" したがった。

時間の流れによる因果関係を理解し計画が可能に。規則、規律、規範による階層構造の誕生。(『ティール組織』日本語版付録)

組織に関しては軍隊的とティール理論にはありますが、これは日本でいう合理的ではない階層、つまり年功序列などのことを指すのではないかと思います。

人類の歴史をみると、戦後以前にもここまでの段階には到達しています。現代の人間がさらに上の段階に進むことができたのは、この後技術の確信があったからです。

2020年を生きる人々にはまだこの価値観を持っている人も多く、段階の世代以上に集中していると言えます。

3. 承認欲求/ 合理的ヒエラルキー→平成まで

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ひとつ前の段階、所属と非合理的ヒエラルキーの世界まではかつての人類たちも辿りつきました。しかしなぜ現代人のみがこの段階まで駒を進められたかというと、ひとえに技術革新があったからでしょう。

2020年、この段階にいる人が最も多いのではないかと考えています。組織には年功序列など合理的ではないヒエラルキーが崩れ、成果主義へと移行しました。

職場で「もっと合理的に!論理的に!」とか「もっと効率よく!」などが口癖の上司がいればこの段階にいる人でしょう。

さらに欲求は所属よりも "承認" に焦点が絞られることになりました。承認とは読んで字のごとく人に認められること。この段階の人々は指標は誰かの決めた指標や物差しであり、常に正解を外側に求めます。

4.自己実現欲求/ 多様性を重視したヒエラルキー→今ココ

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インテグラル理論の提唱者であるケン・ウィルバーの2018年の講演ビデオによると、この時点でグリーンの段階への意識の進化を遂げている人は25%だそうです。私は今回のパンデミックでここの割合が一気に増えたのではないかと思っているのです。

多様性が重要視されていると言うことは、皆さんはこの頃感じる機会が多いのではないでしょうか?LGBTに関する理解や人種に対する理解。Black lives matterはつい今年起きた出来事です。世界には様々な人々がいるから、自分と違うものを否定するのではなく、理解して受け入れようという動きです。

この動きは2000年頃には萌芽していて、2009年のバラク・オバマ大統領就任はその動きの象徴と言えます。しかし2017年にはナショナリストのトランプが当選し、時代が逆戻りしたかのように思えました。

時代は常に進化するわけではなく、逆行することもあります。特に環境の悪化などがあれば、人々の欲求段階が下がり、組織の形が変わることは必然的でしょう。

しかし今回のパンデミックに関しては進化の流れが見て取れます。例えばパンデミック下で人と会うことが難しくなり、"孤独" を感じる人が多くなったということがあります。

これまで "孤独" と言えば、忌み嫌われるワードで問題と捉えられていましたが、 "自分とは何か?" 、"自分は何がしたいのか" ということは、人と群れているとなかなか思考することが難しいことでもあります。

マズローの語る自己実現欲求というのは自分の内側に向かい、自分についてを追求することを前提にしています。誰かの正解ではなく、自分の正解を探してそれを表現することがそれぞれの個性となり多様性となります。

だからこそこの時代には人々は多様になり、生き方やライフスタイルは一本道からいくつも分岐して、景色がカラフルになるのです。

ひとつ前の時代で評価された人と言えば、ロジカルで合理的で左脳の強い人。しかし今後は、自分を掘り下げ、自分だけの正解を持つ人が脚光を浴びる時代になるでしょう。

5.自己超越欲求/ ヒエラルキーのない組織

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さて、我々が向かっている未来といえば青緑のティールです。ティール組織にはこの段階ではヒエラルキーがなくなると予測されていますが、これは私はAIと人間の統合へもつながっていくのではないかと考えています。

もうすぐ人と仕事しない未来がやってくる

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ティール組織のベースになったインテグラル理論ではこの段階を統合と読んでいます。統合とはこれはレッドからグリーンを超越して俯瞰するメタ認知という説明もあり、これはマズローの第6段階目の自己超越欲求にも世界観が類似しているのです。

この段階に移行するために、ハラリもウィルバーも瞑想を勧めていますが、
それは自己と繋がり、ひいては集合無意識と繋がることを指しているのかもしれません。

2020年の人類の分布と二極化

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先ほども書きましたが、ケン・ウィルバー曰く、25%の人々がグリーン、5%がティールの段階にいると述べています。

同時に2020年を生きる人の70%はまだオレンジ以前段階にいます。オレンジ以前の考え方の方がまだマジョリティなのです。

このパンデミック下でオレンジからグリーンに移行する人は増えるでしょう。また人口の10%が新たな段階に達した時にティッピングポイントが訪れ、この価値観が世の中に浸透し、社会変革が起こるそうです。

昨今 "二極化" というワードもよく聞きますが、私が思う二極化とはオレンジ以前とグリーン以後の人々の間の価値観の隔たりのことを指しているのではないかと思っています。

どうやってオレンジからグリーンに進化するのか?

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オレンジからグリーンへの移行は稀に自然にできてしまう人もいますが、なかなか一筋縄ではいきません。価値の指標が180℃違うからです。

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オレンジの人は価値観の指標を他者においている一方でグリーンの人は "自分" においています。

オレンジの人の意思決定は他者からの許可から行われます。つまり周囲にどう思われるか、親や上司はどう思うか、常識から外れていないかなどが重要になってきます。グリーンの人の意思決定は自らの意志で行われます。

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オレンジの人は他人と共感しあうことに多くの時間を費やし、グリーンの人はひとりになって内面を掘り下げる時間に価値をおきます。

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オレンジの人は余暇があると消費することを好み、グリーンの人は余暇は創造活動に勤しみます。

日本国の教育といえばオレンジの人を育てる教育でした。学校とは安定を手に入れるためにできるだけ均一な価値観を持った均一な人材を育てる場所だったのです。

授業には答えが用意され、頑張って勉強して、いい大学に入って、いい会社に入って、所帯を持ち、35年ローンで家を買うが模範解答とされていました。現代でもこの "虚構" (ハラリ風)を信じている人が半数以上います。

来たる未来は正解のない時代です。いや、正解は個々それぞれ違う時代です。終身雇用は崩れ、雇用形態や社会保障も姿を変えようとしています。35年ローン以外の方法で住居を確保する人も増えています。

働き方もライフスタイルも価値観も、あなただけの正解を探すことなしに生きていくことが難しい時代が迫っています。今まで先輩たちがやっていた型をやっても通用しません。

もし、人間の仕事をAIが代替えする時代がやってきて、膨大な余暇ができたら物事の消費で時間は埋め尽くすことができるのでしょうか。

意識の進化の面から俯瞰してみれば、今回のパンデミックが人々に与えた孤独感は孤立して生きる暗い未来ではなく、価値観の軸を他人から自分へ戻すための孤高の時間と言えるでしょう。

私達はすでに新たな段階に向かって歩みを進めているのです。

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