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アフターコロナ後の人間の精神的進化とは?マズローの欲求段階説からみるアフターコロナの次元上昇

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今こそ見直したいマズローの欲求5段階説

みなさん、マズローの欲求5段階説(Maslow's hierarchy of needs)って聞いたことはありますか?

アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したもので、
①生理欲求
②安全欲求
③所属欲求
④承認欲求
⑤自己実現欲求
の5階層がよく知られています。

これって人間の精神的成長・進化の過程を示しているんですよね。

アフターコロナで人々のライフスタイルや働き方は変わっていくのでしょうが、それに伴いもちろん精神にも成長が進化があるはず。

ということで、過去を振り返りながら時代の変化とこの図を照らし合わせてみることにしました。

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所属欲求が強いのは47才から88才

第1、第2の生理欲求・安全欲求が強かったのは命の危険があった戦時中。戦後しばらくたってもこのふたつの欲求は強かったのではないかと考えています。戦後の復興で右肩上がりに成長をとげ、所属欲求へと移行したのが高度経済成長期に差し掛かる1954年前後。上の図では第3段階の欲求はバブル崩壊の1995年頃まで続いたのではないかと仮定しています。ちなみにこの40年の間に社会人だったのは2020年時点の47歳から88歳です。

承認欲求があるのは46才以下

バブル崩壊は1991年から1993年頃の景気後退を表しますが、この時期にはYahoo! Japan株式会社やソフトバンク、楽天やサイバーエージェント、ライブドアなどIT企業が次々と立ち上がり、ITバブルを迎えています。1996年には日本で初のソーシャルネットワーキング "みゆきネット”のサービスがスタート。この頃から緩やかに欲求は "所属" から "承認" へ移行。承認欲求が強いのは46才以下としましたが、10年は移行期とみなし、承認欲求が強い傾向にあるのは35才以下なのではないかと仮定しています。

アフターコロナで進む精神的進化は自己実現欲求

SNSの台頭をはじめ、若者もおじさん・おばさんも "Me Me Me 私をみて!" と、現代は承認欲求が強くなっている時代と言えますが、コロナ騒動後はこの段階を抜ける人が多くなりそうです。そろそろ人類は新たな段階への進化の道を歩み始めたということですね。マズロー5段階欲求の頂点 "自己実現欲求" 。この段階が今まで紹介した2つの段階と大きく違うのは、所属や承認は外的なことだったことに対し、これは "自己実現欲求" は内的な事象であるということです。

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英語でさらにわかりやすい図をみつけたので、日本語の図と照らし合わせてみます。

所属欲求=Social

所属欲求は読んで字のごとく、社会に参画したい、どこかの組織やグループ所属したいという欲求で、他者と一緒に何かとすることに幸せを感じる欲求のこと。

この層の人の特徴は、
・リモートワークは落ち着かない
・メールよりも電話を好む
・組織で取り組むことに生きがいを感じる
・出世に興味がある
・ゴルフが好き

などが挙げられるでしょうか。

承認欲求=Ego

英語バージョンでは、承認欲求をEgoという一言でまとめているのが面白いですね。Egoと聞くと我々は自己中心的などマイナスイメージを抱きがちですが、日本語で自我のことです。自我は心の働きのひとつで、超自我(スーパーエゴ)とイド(またの名をエス)の調整役のことです。(詳しくはこちら)。マズロー段階図では所属欲求からの流れを組んでいることもあり、現代人は本音、本望の部分のイドよりも、社会や世間でうまくやっていく、他者とぶつからないための心の作用、超自我(スーパーエゴ)が強めです。だからこそ "人の目" を気にするし、"人の評価" が自分の存在価値だと思っている、それが承認欲求の正体ですね。

承認欲求が強い層の特徴は

・SNSを含め周囲の人から "いいね" が欲しい
・選択基準は親や友人、世間から  "いいね" と言ってもらえるかどうか
・会社名が自分のアイデンティティ、大企業に入っておけば間違いない

などの思考の特徴があげられます。

自己実現欲求=Self Actualization 

個人的に一番面白いと思ったのが、自己実現欲求の英語版Self Actualizationです。日本人ならActuallyという英単語は知っていますよね。学校で「実際は・実は」と習ったはず。Actualizationには「明らかにする、顕在化する」という意味もあります。つまり ActualizationはSelf(自分自身)をActualization(明らか)にする意味があるんですね。昨今のZenや瞑想ブームもここの予兆であったことも、勘のいい人ならわかるはず。

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承認欲求と自己実現欲求は生き方が真逆

さらに面白いのが第4段階の承認欲求と第5段階の自己実現欲求では性質が真逆であるということ。上でも第四段階までは他人からの評価など外の事象への欲求。しかし第5段階の自己実現欲求の矢印は内に向いていて、内面的事象への欲求なのです。第4段階の承認欲求と第5段階の自己実現欲求、このふたつは態度が真逆なのです。

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さらに第4段階の承認欲求までは消費の次元、そして第5段階の自己実現欲求からは創造の次元であるとうことが言えます。だからこそここの転換は一筋縄ではいかないでしょう。これを詳しく説明して行きたいと思います。

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承認欲求までの欲求は、外的欲求、そしてそれを伴う人々の行動は "消費" でした。

子供時代から学生時代は平日は学校に通い、学校には科目というコンテンツが時間割でしっかり管理され、用意されていた。

大人になってからも、大多数は会社に通えば業務というコンテンツが用意されているサラリーマン。休日も遊園地や酒場などの娯楽施設、映画やDVDなどの娯楽コンテンツを消費してきたことでしょう。

価値基準に関しても自分がどう思うというよりは、偉い人がこう言ってるから、"常識的にはXXだから" と他人の価値観を自分に取り入れ、上司、会社の評価=自分自身の評価、と考える人も少なくないはず。

大事なのは自分がどう思うかではなく他人の評価。自分を掘り下げることに時間を使ったりはしません。むしろ休日は消費行動に勤しみ、自己追求の時間を消去します。

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一方、自己実現の時代の時間は "創造" にあてられます。そして創造的生き方の第一歩は、第4段階で外(他人)に偏った価値基準を内(自分)へシフトさせること。ここから創造のプロセスへと移行することができます。

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マズローの欲求段階説には第5の上の階層があった

マズローの図は5段階目の欲求までが知られていますが、実はその上の6段階目があるのがご存知ですか?先ほどの砂時計型の図にもしれっと登場しているのですが、これは自己超越欲求(Transcendence)です。

"トランスセンデンス" と言えば

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この映画を思い出す人もいるかもしれません。

テクノロジー視点から考えれば、この映画のように人間がインターネットに接続した状態が "自己超越" と言えるでしょう。


“Transcendence refers the very highest and most inclusive or holistic levels of human consciousness, to oneself, to significant others, to human beings in general, to other species, to nature, and to the cosmos" (トランスセンデンスは、自分自身、大切な人、人類、他の種族、自然、宇宙をに対する高次の包括的な人間の意識レベルをさします)
“Transcendence of self—living at the level of Being—is assumed to be most possible for the person with a strong and free identity, i.e., for the self-actualizing person.”(自己の超越はただいるということ、強く、自由なアイデンティティをもつ、自己実現した人が最も辿り着きやすい境地です)

6段階の自己超越は瞑想状態。創造活動=瞑想になる

マズローが晩年に発見したと言われるこの6段階目は解釈が諸説ありますが、今回は私なりの解釈でお伝えしたいと思います。

自己確立が完了した第5段階にいる "強いアイデンティティ" を持った人間がこの6段階目にもっとも近いとマズローは述べています。自分という大海に潜り込み、探求し、その要素をひとつずつすくいとり、より純粋な自分へとアクセスした者は、人生の時間を消費から創造へとシフトさせ、そのうち個を超える大きな叡智に触れるようになる。

つまり今後人間は "自分とは何か" という問いをたて、今よりも人と関わる時間、消費する時間を減らしていき、その代わりに自己探求に時間を費やすようになる。そして、創造をしながらさらに自己探求(=瞑想)をするというフェーズに入っていくのではないかと考えています。

自己超越欲求については、海外のサイトで特集されていた記事を下記にまとめているので、こちらも参照ください。


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