とんだ配役
二人組。
「どうも~よろしくお願いします」
「もう9月ですよ」
「早いですね。
もう1年の四分の三、
来ちゃいましたね」
「早いですね。
仕事仕事の毎日で、
あれ?仕事以外で何かしたっけ…
って、思う時ありませんか?」
「それは、ありますね~。
家族と過ごす以外は、
ほぼ仕事ですから」
「それにこの仕事してると、
ゆっくりテレビを見てる時間って、
なくないですか?」
「まあ確かにね。
うちは子供もいますので、
ゆっくりしてる時間もないですよ」
「じゃあ、あれは?
NHKの大河とか?」
「見たいんですけどね~。
見れてないですね~。
それにあれには、
前から言ってますけど、
出たいです、はい」
「まだ、出てないんだっけ?」
「知ってるよね!
相方、大河出てないかは!
出るってなったら、
大々的にニュースになるでしょ!」
「あれ?
記者会見に、いなかった?」
「それは俺に似た、丸刈りの芸人な!
どうやら芸人の丸刈り枠は、
世間的には、あいつらしいな!」
「あ~そうかそうか。
で、どうする家康」
「あれ~澤◯さん。
今日は見学ですか?
え?!平岩親吉役で出たい?
いやいや、それは無理でしょ。
いくらフォルムが似てるからって、
代役は無理がありますって。
鳥居強右衛門か、
織田信雄でもいいって?
岡崎◯育さんか、
浜野◯太さんの代役?
澤◯さん、すいませんけど、
お二人共、ミュージシャンなんです。
お笑い芸人さんじゃないので…
つってね」
「どうする円安」
「お使いお使いっと。
え~と、玉子…玉子…は、あった!
あ~れ?
ちょっと、これどうしよ…。
お婆ちゃんに連絡しないと…。
あっ!お婆ちゃん!
これ、玉子買えないよ!
うん。卵300円!
そう!
何で、105円だと思ったの?
私の時代は、
その値段だった?って、
お婆ちゃんそれいつの話?
しかも消費税、今は10%だし!
…つってね」
「どうする婚活」
「あの~アプリに登録したものですけど。
私、始めてもう3ヶ月になりますが、
まだ一度もマッチングしないんですけど。
はい、はい。
写真ですか?
写真はこれです。
はい、トム・クルーズにしてます。
まず…それを直せと…
はい、わかりました。
プロフィールですか?
それは問題ないです。
私、資格20個持ってますから。
え?!
そこじゃない?
年収?
年収はゼロですよ。ええ。
まず、その資格で…
就職しろ?
あ~なるほど…つってね」
「どうするトム・クルーズ」
「これ行きます?
スカイツリーの天辺から?
飛ぶの?
ど~しても?
それで地面スレスレで、
ピタッと止まるぅ?
無理ですって!
危ないから!
止めた方が、いいですって!
じゃあ、止める?
決断、はやっ!
でも良かったぁ。
無茶しないで下さいよ…
え?!
代わりに?
東京タワー?!
なぜ、タワーに拘る?!
いや、高さの問題じゃなくて…。
え?!
どうせ、ロープを…
332.5mにすればいいんだろって?
いや、あんた絶対事故るって!
そんな単純計算なわけないでしょ!
そんな長いロープ、
どうやって準備するんですか?
せめて、鳥取の夢みなとタワーで、
勘弁して下さいよ~…つってね」
「どうするジャッキー・チェン」
「あなたも飛びたい?
失礼ですけど…
何回か怪我されてますよね?
それでも飛びたい?
どこから?
スカイツリー?
また?!
な~んで?
なんで飛びたいの~?
そこに建物があるから?
山みたいな言い回ししない!
633.5mのロープでいいんだろって?
あんたもかい!
もっと別の場所に、
してもらっていいですか?
いいの?
どこ?
北海道…の?
札幌?
時計台?
あ~、時計台ね!
経験済みですもね~つってね」
「どうするヴィン・ディーゼル」
「あんたも?!
しかも車で?
一緒に飛ぶの?
ん、誰?!
肩叩いてんの…誰?
トム?!
どした~?
え?!
自分も一緒に飛びたい?!
助手席でも良いって?
いや、な~んで?
何でみんなそんなに飛びたいの!
散々、映画の度に、
あなたたち飛んでるでしょ!
それにあなたたちの乗る車、
20分保たないでしょ?
どうせギリギリで、車捨てるよね!
車は飛ぶけど、
ヤバい時は自分、脱出するでしょ?!
な~んで?!
なぜ、二人とも目を逸らす?!
お察しの通りって、
顔するんじゃないよ!…つってね」
「どうするスピルバーグ」
「このメンバーで…映画を撮りたい?
しかもラブロマンスゥ?
な~んで?!
こんなに筋肉自慢がいるのに?
アクション映画じゃなくて?
それは当たり前すぎる?
まあ確かにこのメンツは、
エクスペンダブルズの続編ですもね。
え?!
もうタイトルは決まってる?
ジェラシーパーク…
お客さんの8割は、
ラブロマンスと思いませんね…つってね」
「どうするジェラシーパーク2」
「いや、もう関係なくなっちゃった!
序盤から大河じゃなくなっちゃたよ!
しかも、
ジェラシーパーク2って何!
作ってもない作品の続編!
お前が大河の話を、
振ってきたんだろうが!
話めちゃくちゃにしやがって!
お前、本当に大河に興味あんの!」
「いや、実は一度も見たことない」
「いい加減にしろ!
ありがとうございました」