大雪の輪舞曲
空き地。
小学5年生の男の子。
「朝からダルいなぁ…
雪かき手伝ったから、
ちょっと…疲れた。
父さん疲れた疲れたって、
すぐ休むし…。
もう~今日、
体育の授業あるんだけど…」
小学1年生の男の子。
「おはよ~」
「おはよう」
小学3年生の女の子。
「おはよう」
「おはよう」 「おはよ~」
「よし、みんな揃ったから行くよ」
「は~い」 「は~い」
除雪された道を集団登校。
「雪、雪、雪、雪♪
まっしろけぇ~♪」
「ちょっと!
雪、蹴飛ばさないでぇ!」
「雪、雪、雪、雪♪
エイ!エイ!エイッ!」
「やめてって、言ってるでしょ!」
「エイ!エイ!エイッ!」
「やったな~!
エイ!エイ!エイッ!」
(2人とも…朝から元気だな~)
「エイ!エイ!エイ!エイッ!」
「エイ!エイッ!エエイエイッ!」
「ほら、2人とも遅刻するよ」
「ふぁ~い」
「は~い」
再び歩き出す3人。
ボフッ!
「ぐえっ」
「クスクスクスクス」
「いま、雪玉投げたわね!」
「知らないよ~」
「絶対、投げたでしょ!」
「知らな~い」
「雪玉、当てないでぇ!」
「知らないよ~だ」
また歩き出す3人。
ボゴッ!
「投げないでって、言ったでしょ!
この!この~!」
「投げてないよ~!
この!この!この~!」
「この~!このこの~!」
「のこのこ!このこの~!」
(ちょっと2人とも…
ボクを挟んで、
雪玉投げ合うのやめてよ…)
「優くん、じゃま~!」
「優くん、よけちゃダメ~!」
「ほ~ら。
うちら、みんなに抜かれて最後だよ。
早く行かないと、
先生に怒られちゃうよ」
「ふぇ~い」
「はぁ~い」
少し急ぎ足で歩き出す3人。
ドンッ!
「あ~いま、ボクのこと押した~」
「押してませ~ん」
「ぜったい押したよ~。
優くん、見てたでしょ~」
「ごめん、見てなかった…」
「ほら~押してませ~ん。
証拠がありませ~ん」
「うううう~~」
また歩き出す3人。
ドゴッ!
ドサッ!
道端の新雪に倒れ込む2人。
「アハハハハ!
まっしろ~!」
「ちょっと~何するのよ~!」
「ボク、つまづいたんだもん!
そしたら、
ぶつかちゃっただけだもん!」
「絶対、ちがうでしょ!
わざとだぁ!
さっきの仕返しでしょ!」
「ほら、やっぱり!
さっき、押したんだ~!」
(おいおい…またやるのぉ…
何でそんなに元気なのぉ…)
「うるさ~い!」
「わ~~にげろ~~!」
男の子の周りを、
グルグル追いかけっこする2人。
呆れ顔の男の子。
「待ちなさ~い!」
「待つわけないじゃ~ん!
アハハハハ!」
「止まりなさ~い!」
「ボクは急に止まれませ~ん!」
(はあぁぁぁ……)
ドッスーン!
気付くと…
男の子は顔中、雪まみれ。
体はすっぽりと、
深い雪の中に埋まってた。
「アハハハハ!」
「キャハハハ!」
「ま~っしろ!
大成功~!」
「まっしろしろすけ~!」
「こらぁぁぁぁ…
2人ともぉおぉぉぉお!!」
「にげろにげろ~~!!」
「にげるにげる~~!!」
「待て待てぇぇぇぇ~~~~!!」
………
………
………
この日…
3人は学校一番乗りでしたとさ。
お疲れ様でした。