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小説に近いもの

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書いたもののうち、小説だと思うもの
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#毎日更新

くつ屋のペンキぬり-12(小説)

 聞きつけた場所まで行ってみますと、明るいうちから薄暗い、洞穴のような酒場でした。これは…

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くつ屋のペンキぬり-09(小説)

 室内に入るとすぐ、古い書物独特のつんとしたにおいが鼻を突きます。太陽のぎらぎらとした国…

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くつ屋のペンキぬり-08(小説)

 大きな建物のわりに、窓はずいぶんと小さく、太くて高い塔の上の方にばかり空いています。古…

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くつ屋のペンキぬり-07(小説)

 男は繁華街の真ん中を通って、時折脇道へひょいと逸れてみては、また真ん中の道へ戻ってを繰…

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くつ屋のペンキぬり-06(日記)

 その日はからりとよく晴れた、とびきり天気の良い日でした。この国はいつだって太陽がとても…

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くつ屋のペンキぬり-05(小説)

 それから三日か四日か、男は不要な持ち物を売っては今の住処に必要なものを調達して過ごしま…

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くつ屋のペンキぬり-04(小説)

 さあさあ、太陽の近くこの町で新しい暮らしの幕開けです。  とは言いましても、このとおり男はペンキぬりの弟子入りのあてが外れてしまいましたから、仕事がありません。本当は最初の半月だけでも、下宿に入る決まりとして家賃を先に払うところなのですが、だいたいの事情を聞いていた女主人からは「半月だけですよ」と言って支払いを待ってくれました。彼女のやや落ちくぼんだ鋭い目からは、言外に「その代わり半月を過ぎたら必ず追い出しますからね」と伝わってくるようでした。どうあっても半月で、当面の食い

くつ屋のペンキぬり-03(小説)

 紹介された下宿は繁華街から少し北に外れて、ごつごつとした岩場の上にありました。高台にな…

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くつ屋のペンキぬり-02(小説)

 男は大きな街へ着くや否や、さっそくその足で屋根づくりの職人を訪ねました。家々の丸屋根に…

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くつ屋のペンキぬり-01(小説)

 ある男が、砂漠近くの暖かい国へやってきました。身にまとう衣服を少なく、少なくしながらや…

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白い女・黒い女-04(小説)

***  早央里の生まれた町はひどく寒くて雪深い土地だったから、昇降口で防寒ブーツを履い…

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素面-10(小説)

 綾下と行くといつも飯が美味くて、と斉藤は笑う。  いつも、美味い飯と美味い酒を用意して…

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