二度なかず

二度でふたたびと読みます。お話を書く人になりたい、という欲求を捨てるのを諦めることにして生まれました。小説・エッセイ・感想文など何かしらを書きます。 登録してみたギフティ→https://giftee.com/u/futatabinidoto コメントはゆっくり返信しております

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私はずっとセーラームーンになりたかった(エッセイ)

 3日前に公開された映画を2日前に観てきたので、「セーラームーンと私」みたいなことを書く。  映画は本当に素晴らしい出来で、私の愛した彼女たちの姿だった。わずかなシーンのカットや新たな挿入箇所に、きっと今回の制作サイドの思惑やいま現在の武内直子先生の意図があるのだろうな、と思うが、それを語るにはもう2~3回見ておかねばいけない気がする。  それにしても原作との一致や相違が瞬時で判る自分に、観ながら、自分で少し引いた。私よりも、よっぽど『美少女戦士セーラームーン』というコンテ

    • お引越しします

       しばらく更新をお休みしておりましたが、心機一転はてなブログへ引っ越すこととしました。生きている限り悩みは尽きませんが、書くことはやめずに、というか、書くことこそがやりたいことなので書いていきたい気持ちです。  noteを離れるのは運営への不信感もありつつ、機能的な相性もありつつ、というところ。過去の記事は当面残しておきます。徐々に記事自体も移していくかもしれませんが、しばらくはこのままご覧いただけます。  細々とした短期間の更新でしたが、眠い目をこすりながらの毎朝更新は

      • しばらく長らく休んでおいてアレなのですが、cakesに掲載された同人誌転売に関連する記事が、信条のとても深いところの部分として決して看過できないため、運営への不信感からnoteをやめることを考えています。 過去の記事は残したままにするかもしれません。

        • 雑誌で見かけたトレンチコートのオレンジ色が忘れられない(エッセイ)

           集英社の雑誌『Seventeen』が月刊誌ではなくなるらしい。  まさか『Seventeen』も休刊か廃刊か、と思ったがそうではなく、ネット媒体に重きを置きつつ不定期の季刊誌的な発行になるとのこと。少しほっとした。  私は購読層ではなくなって久しいが、一時期でも愛読していた雑誌が姿を消すのは寂しいものだ。そもそも私が読んでいた時期は月2回刊行だったし、表記も『Seventeen』ではなく『SEVENTEEN』だった。  今はどうなのか分からないが、当時『SEVENTEEN

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          夏も終わらないうちに秋が来る(日記)

           日記3分だけ書く。  今朝はnote以外の書き物をしたので上出来だ。  この夏は不思議な天気だった。だった、といってもまだ終わらないはずなのだが、なんだかもう夏が終わったような心地がする。お盆がやたらと涼しくて秋口のような寒さだったせいだろう。  おかげで、盆休み明けから「そうは言ってもまだ八月の真ん中だ」ということを忘れて、服を選び誤り、たいへんな目に遭ってしまった。  暑いのは好まないけれど、暑さにウンウン唸りながら自室でアイスコーヒーを片手に、読むつもりだった本を

          夏も終わらないうちに秋が来る(日記)

          書きたいことはたくさんあるのに(日記)

           日記を書く。  「私はエヴァを観たタイミングがよかった」という話を書きたくて下書きに溜めてあるのだけれど、書き終わらないうちに劇場公開が終わってアマプラ配信が始まってしまった。ほかに書きたいものもあるのに人生の時間が足りない。  焦りだけが先走って無意味に睡眠時間を削ると、結局なにもできなくなって最近はやや体調を崩してもいた。焦らない焦らない。私は残りの推定50年くらいの人生を、やりたいことをやることに使おうと思ったのだから、焦って死んではいけない。健康が第一。誰にも三十

          書きたいことはたくさんあるのに(日記)

          それなら宇宙のほうこそ縮んで(日記)

           日記を書く。限りなく弱音に近いと思う。  宇宙規模で考えたらちっぽけな悩みだよって、そんなのが、なぐさめになったことがあるものですか。  広い空を見上げて、星の遠きに想いを馳せて、銀河の果てしのなさを考えるとき、わたしの悩みがとてもちっぽけに見えるっていうのなら、そんなの、宇宙のほうが縮んだらいい、と思います。  なにが消えても消えなくても、予定が取りやめになっても、先に延びても、わたしにとって他人の武勇よりはるかに大事な一冊の本がだれかに読まれる前に燃えたとしても、そ

          それなら宇宙のほうこそ縮んで(日記)

          着たい服だけを着ていたい(エッセイ)

           服を着るのはすきだ。  着ないでは生きてゆけない種族、社会的集団に属しているので、これで服を着るのが嫌いだったなら大変だとは思う。ともかく、どうせなら着たい服を着るのがすきだ。  とはいえ比較的、世間的には無難な服を選ぶタイプだと思う。  新しいアイテムの候補はまず黒かグレー、ネイビー、もしくはブラウン。なぜって手持ちの服のどれと合わせてもあまり喧嘩をしないから。数年前に買った春物のコートは珍しく薄いブルーで、だけどこれも色合いと模様がインナーの邪魔をしないから気に入って

          着たい服だけを着ていたい(エッセイ)

          祖母は戦争の話をしたがらなかった(エッセイ)

           死んだ祖母は大正の初めの生まれで、戦争の話はあまりしたがらない人だった。今にして思えば、三月になるたび、地震の話にどんなを顔すればいいのか分からない私と似ている。私は祖母が嫌いである。  祖母から出てくる“戦争の頃に近い話”は、覚えている限りで一つしかない。  戦時下、ないし戦後すぐのことである。(うろ覚えなのは、実家のダイニングで向かいの席からさんざ聞かされたおかげで、晩年には聞く気が失せてしまったからだ。)  その頃の祖母は、叔母か叔父の出産(これもどちらなのか曖昧)

          祖母は戦争の話をしたがらなかった(エッセイ)

          盆とはこんなものかしら(日記)

           休日ダイヤの電車に乗る。  と言ったって、普段乗っている電車(始業時間ぴったり五分前に職場の自席へ滑り込むための)の前と後ろが一本ずつ少ないのであって、私の生活ルーティンは変わらない。厳密には、僅かばかり早く家を出たのだけれど、僅かすぎたために、二本前の電車に乗れるほどではなかったのだ。雨も降っていたし。  そう、雨。  しとしと、しと、ひたり、と幾日か分の日中夜、ひっきりなし続いている真夏の雨である。  およそ、入道雲からびたびたと降り注ぐ、バケツをひっくり返したような豪

          盆とはこんなものかしら(日記)

          戦争の得意な男がモテるからいつまでも戦争が終わらない(閃光のハサウェイ感想)

           とてもすごく前略、友人に勧められて映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を観てきた。友人への返礼として感想を書いておく。  先に私のガンダム知識の前提を述べておく。  私の履修記録は『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』『同2ndシーズン』『同劇場版』、以上である。  『00』が西暦ベースの作品で、他作品の多くがいわゆる「宇宙世紀」なる暦で展開されていることだけは知識として知っている。  『00』は世代的なタイミングでたまたまきちんと放映当時に観たのだが、しっかり一

          戦争の得意な男がモテるからいつまでも戦争が終わらない(閃光のハサウェイ感想)

          嫌いな分には構わなくても(日記)

           納豆が苦手だ。  苦手だけれど、家族で納豆を苦手なのはわたしだけだったから、実家では毎朝の食卓に並んでいた。隣の弟も、向かい合った祖母も、両親もみんな納豆を食べる。それが当たり前だと思っているから、自分の好まないものを誰かが好んでいたところで、顔を顰めたり不快感を表明したりはしないし、そもそも、不快には思わない。  給食に出れば級友も皆食べる。教室が納豆の匂いに満たされていたって、そういうものだし、わたしの分の小粒納豆のパックは隣の席の子にあげればwin-winの関係という

          嫌いな分には構わなくても(日記)

          かみなりさまの喉(日記)

           かみなりさまが大きな喉を頭上でごろごろ鳴らしている。  見上げた毛並みは薄墨のような灰色で、けれど墨のようには濃淡がない。一様に淡く、のっぺりと同じ方へ撫で付けられており、高いも低いも、奥行きが判らないのでまるで自分の座標が狂って感じられた。  ぶ厚い空気のかたまりの前脚で、町ひとつをぎゅむ、とつかまえて、太く伸びやかな喉をぐんっと反らしているかのようだ。  ごろごろ、ごろごろ、しきりに鳴る喉元を見上げながら、私はよく冷えた巣穴へ逃げ込む。窓の外に大きな目の瞳孔がぴしゃりと

          かみなりさまの喉(日記)

          眠れば明日になってしまうから眠ることはきらいだけれど、眠る限りは明日にならないから、いつまでも眠りたい。

          眠れば明日になってしまうから眠ることはきらいだけれど、眠る限りは明日にならないから、いつまでも眠りたい。

          カステラみたいにまるく(日記)

           いい夜だった。  真夏の真昼の真正面からじりじりと人間を溶かし尽くすような、湿気と熱気はようやっと鳴りを潜めて、ほんのわずかな友人たちとほんの少し、今日までの暮らし、今日の成果を労った。本当は呑んだくれて三次会まで雪崩れ込んだり、空が白むのを眺めつつファストフード店の窓辺で始発を待ったり、したいものだけれど。そうもいかないのは時世もあれば身体疲労もある。  だからほんの少しの時間を一緒に食事して別れただけなのだけれど、帰りの坂道で見上げたら月のまるいこと、まるいこと。子ども

          カステラみたいにまるく(日記)

          不織布をずらす夏の坂(日記)

           最寄りの駅を出てしまえばひと気はない。北に消えていく電車を見送り、自宅までの坂を上る。退勤後の身体は重くとも帰宅と思えば心はいささか軽く、実家から送られてきたスニーカーは足に馴染む。曰く、母にはサイズが合わなかったと。坂の中ほどまで来たところで、わたしは注意深く辺りを見回して、ほかに人影のないことをもう一度確かめる。鼻頭から顎の先までを覆っていた不織布を少しずらして、鼻腔が外気へ晒されるようにした。むわり、と草の、湿ったにおいに、鼻から目元から脳にかけてまで燻されるような心

          不織布をずらす夏の坂(日記)