【プログラミング教室×海のSDGs】小学生に伝える"綺麗な海を守るためにできること"
「夏休み中の小学生対象にしたプログラミングで海のSDGsを学べるワークショップがあるんですが、見にきませんか?」という案内がnote担当のところに届きました。
「え、夏休みって子供たちはプールに行ったり、山で虫捕まえたりするもんじゃないの?」なんてアップデートされていない私の夏休みイメージとあまりにかけ離れていて、思わず「令和の夏休みすごいな!」と声に出てしまいました。
ということで、興味津々で見学させてもらうことにしました。
恐るべし小学生のプログラミング教室
参加させていただいたイベントは「プログラミングで海のSDGs!」
神戸マリンピア内にある「さかなの学校」にて開催されました。
イベントは前半・後半の2部制で、前半はさかなの学校 校長・大鹿達弥さん&教頭・安室春彦さんによるSDGs講演会「海の豊かさを守るためにわたしたちができること」。
後半は海洋プラスチックごみ調査船の操作プログラムをプログラミングする講義。
海のSDGs問題とプログラミングが一気に学べる盛りだくさんな企画です。
「プログラミングは最近子供の習い事としても流行っているなー・・・」とニュースなどで知っていたものの、実際にその内容に触れるのは始めてでした。
今回の講義ではmicro:bitを使ってプログラミングを行います。
「MakeCodeエディター」と呼ばれる画面上のスペースにさまざまな役割をもったブロックを並べることでプログラミングしていきます。
制作するのは海洋プラスチックごみ調査船の操作プログラム。
船を動かすプログラミングということで、「船を前に進める」「船の向きを変える」「船の速度を決める」などのブロックを選んでエディター内に配置する作業から始まります。
「簡単だな、まぁ小学生向きだもんな」なんて大人気なくも思っていました。しかし、その後たちまちそのセリフを撤回する展開となります。
ブロックを並べ、基本的な操作プログラムをmicro:bitに書きこんだら早速デモンストレーションが行われます。
micro:bitに配置されたボタンを押し、船をコントロールする子供たちですが、制限時間があり最初のデモではほとんどゴミを集めることができません。
どうすればもっとゴミを集められる?という講師の問いに船を早く動かす!と回答する子供たち。そしてここからプログラミング講座のレベルが高くなっていきます。
講師「もっと船を早く動かしたいですよね。でも毎回速度を設定しなおすのは大変です。ここで「変数」を用意します。」
え、変数?変数って小学生で学ぶものだっけ??
講師「さて、変数ができたので、船の速度を自由に変えることができるようになりました。速度を速くしたり、遅くしたいしたいですね。
だけどブロックには「数字分だけ速くする」しかありません。遅くしたい場合はどうしますか?」
小学生たち「数字にマイナスを入れるー!」
あれ、マイナスは私は中学生で初めて学んだような、、、
と混乱する私を置いてワークショップは進みます。
その後もハイレベルな講義は続き、「もしAがBだったらどうするか?」などif文分岐なども取り入れてられていました。
恐るべし小学生のプログラミング教室。
「デジタルネイティブ世代が社会に出てくる」などと言われていますが、将来プログラミングができるのが当たり前の世代が台頭する時代が来るでしょう。彼らの時代、どんなイノベイティブな社会になるか、少しワクワクしました。
さかなの学校・大鹿校長に聞く
前半のSDGs講演会「海の豊かさを守るためにわたしたちができること」でもお話されたさかなの学校 校長・大鹿達弥さんにイベント後お話を伺いました。
まず、「さかなの学校」についてお聞きしました。
大鹿校長「この"さかなの学校"は正式名は水産体験学習館ということで、生き物や水産業の啓蒙活動、認知度を広めようっていう施設ですね。ただ水産なんてものは一般の方からすると近いものじゃないので、"さかな"というキーワードでまずは親しみを感じてもらえたらと思っています。」
2021年の就任後、館内に水族館もプロデュースされたそうですね。
大鹿校長「水族館については私が水族館屋ということもありますし、お客さんに来てもらえるようにするには何がいいかなと考えたときにまずは水族館を作ろうと。2,3人くらいで必死のパッチで作りました。
そこに地元の魚半分、一般的な水族館でも人気のある展示半分、あとは知り合いや他の水族館からいただいたものを展示という感じですね。」
さかなの学校の水族館はなんと無料。
随所に校長のこだわりを感じることができる。
海のSDGs問題、小学生にできることは・・・
今日は子供たちに海のSDGsについての講義でしたね。
どのような想いでお話されていますか。
大鹿校長「正直SDGsについて話すのはおこがましいんですけどね。ただ今、SDGsの理念を教える人はいても、"じゃあ具体的に何をしたら良いのか?"という話ができる人は正直多くはいらっしゃいません。
なので水族館を絡めてSDGsについて話をすること、そのものが僕らのSDGsかなと思っています。そして話を聞いてくれた方々にもできる具体的な行動例を示したいなと考えていますね。」
講義の中でも参加者に伝えたことは具体的な行動でしたね。
大鹿校長「そうですね。例えば海洋プラスティック問題を解決するために直接小学生の君たちができることは"そないない"ということに結構想いを込めていたかもしれません。
その話をした上で、陸でポイ捨てしたゴミというのは8割方海に流れ着く。それが海洋プラスティックになってしまう。
だからゴミを管理する・適切に処理することが大事だし、それは小学生の君たちでもできることだということを一番伝えたかったですね。」
どんな勉強をしていても海には関われる
大鹿校長「今日のプログラミングの勉強なんていうのもいいですよね。今やどこでもプログラミングの知識は役に立ちますから。
水族館は人気がある業種ですが、今や生物屋さんだけが集まっている業種ではないです。水槽設備を作ったり、水族館を広報したりと水族館には色んな職種の人が集まっている。最近ではIT技術を導入しようという流れもあります。
さかなの学校は特に自由で色んなことができるので、魚好きの色んな方が集う場所になればいいなと思っていますし、業界とそういう人たちの架け橋になればいいなと思っています。」
大鹿校長に「大人になったらできることが増えてくるはずなので、子供のうちにいろんなことを勉強して、知識や経験をつけて賢くなっておこうぜ!というのが私から子供たちへのメッセージです。
そうすれば将来どんな形であれ、自分の好きに関連したことに取り組むことができますから。」
海好き、魚好きな子供たちが集まり、海洋プラスティックゴミ問題という難問に取り組むこのワークショップ。
プログラミング教室の内容は興味深く、最近のトレンドに触れられた気がして、私の中の夏休みが令和までアップデートされたように思います。
改めて初等教育からプログラミングに親しんでいる子供たちは将来どんな働き方をするのか、期待が高まりますね。
そして、海洋プラスティックゴミ問題。
私自身も「魚群探知機を・・・・」とか「船にこんな機械を・・・・」などついつい会社を関連させて考えてしまいがちですが、まずは自分一人でできることを実践していくことも大切だなと再認識しました。
ゴミの管理、分別、あと道端のゴミに気づいたらそっと拾ってゴミ箱へ。
小学生の彼らができることは私たち大人も当然できますよね。
FURUNOも海を愛する人が沢山所属している企業、まずは自社内でそんな動きを活発化させよう。
大鹿校長のお話に真剣な眼差しで頷く子供たちをみて、身の回りのSDGsに気づいたように思います。
執筆・撮影 高津 みなと