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ゆくすえ(小説)最終
ていねいに磨き上げられた食器を、陽の光に透かした。海の底のような深い色をしたそれは、以前から気に入っていたものだった。恩田と暮らし始めたばかりのころ、工房を何軒もまわったのちに買ったものだ。秋の光が穏やかに射して、めるろのこめかみを照らした。窓の外に視線を向ける。きらきらと輝く河川が、遠くまでいちめんに広がっているのが見える。
新しい部屋には、何もなかった。たいていのものは以前の家で処分を
ていねいに磨き上げられた食器を、陽の光に透かした。海の底のような深い色をしたそれは、以前から気に入っていたものだった。恩田と暮らし始めたばかりのころ、工房を何軒もまわったのちに買ったものだ。秋の光が穏やかに射して、めるろのこめかみを照らした。窓の外に視線を向ける。きらきらと輝く河川が、遠くまでいちめんに広がっているのが見える。
新しい部屋には、何もなかった。たいていのものは以前の家で処分を