- 運営しているクリエイター
#オリジナル小説
土の遺跡〜巡礼の道〜
前作:『土の遺跡〜花園の騎士(後)〜』
ニル・エアルスは灼熱の砂漠を愛馬の背に乗って進んでいる。彼は土の遺跡のある楽園に住まう妖精であったが、人の頃愛した魔法使いと死の都で別れを済ませ、水の遺跡へ向かっていた。愛馬アウステルも精霊ゆえ飲み食いせずとも数日は平気なのだが、こう暑いと流石に辛いだろうなとニルは相棒を心配していた。
「泉か、井戸でもあると良いのだが」
前方に広がるのは果てしない砂の海
土の遺跡〜花園の騎士(中)〜
前作:『土の遺跡〜花園の騎士(前)〜』
=====
コンスタンは慌ててニルの寝床に顔を出す。彼はいなかったが消えた訳ではない。庭で柔軟をしているニルを見つけコンスタンは胸を撫で下ろす。
「おや、おはようございます」
「……おはようございますニル殿」
草原の上でゆっくり柔軟をしているニルの近くにコンスタンは腰を下ろす。
「貴方の夢を見ました」
「私のですか?」
「騎士だった頃の貴方の夢です」
土の遺跡〜花園の騎士(前)〜
前作:『土の遺跡・深』
=====
ニルは釣り糸の先を見つめている。楽園は今日も平和そのもの。リアム、サミーと共に湖で釣りをしている。楽園の湖には小魚しかいないので、釣ったところですぐ放してしまうのだが。それにしても此処数日は全く魚が引っかからないのでニルはとうとう飽きてしまった。
「釣れんな」
「釣れないねえ」
「釣れなくても釣りなのさ」
ようやくニルの釣り糸が揺れ、彼は竿を引く。しかし掛