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lain全話レビュー
Layer:01 WEIRD
『Serial experiments lain』について語ることはぼくの詩的来歴について語ることと等しい。あるいはまったく無関係である。さて第一話。まずは電気を消すことからはじめよう。このアニメは暗い部屋のなかでしか楽しむことができない。暗い部屋をもたないものは、どんな鋭敏な感性をもっていても詩を書くことはできない。目を病むことなど些細な問題である。アニメとは、暗い
コミティア参加失敗記
コミティアに行こうと思った。
ぼくは睡眠時間と起床時間が毎日1時間ずつ後ろにずれていくという奇怪な生活リズムを有しているため、何か催し物があっても、昼夜逆転していて参加できないことが間々ある。
だが奇跡的に、今日は朝6時に起床することに成功した。
ぼくは朝食を摂り、シャワーを浴びて髭を剃ると、午前中一杯を読書に費やした。そして12時に家を出た。
地下鉄で新宿へと向かう途中、目ぼしいサークルをチ
いつか来る場所/行った場所
「おい、あんた。さっきからそこで何してるんだ?」
「流れをね、見ていたんですよ」
「流れっていうと、この……」
「ツイートです。ツイートって言うんです」
「ツイート?」
「そうです。ずっと昔から、私やあなたが生まれる、そのはるか昔から、ツイートはここにありました。そうして絶えず、流れているんです」
「どういう意味なんだ、ツイートって」
「意味はもう、だれにも分かりません。たいへんに古
『透明だった最後の日々へ』試し読み
1月18日発売の新作小説『透明だった最後の日々へ』(星海社FICTIONS)の試し読みとして、本編冒頭の1章を公開いたします。
あらすじ
第一部1
子供のころ、死体ごっこが好きだった。暗い寝室のベッドの上に立って、ぼくは前のめりにゆっくりと倒れ込む。視野がふさがって、甘くしめっぽい匂いが鼻孔を圧迫する。ぼくは息を吸う力を弱め、できるだけ脱力して、自分がいま、まさに、誰かにやっつけられ、息
思い出インターネット
はるしにゃんのTwitterアカウントが凍結されたらしく、そのことについてつらつらと考えていた。
はるしにゃんというのは2010年代前半にTwitterで活躍していた批評家で、ブログや同人誌などを舞台に旺盛な批評活動を展開していた。彼は2015年に亡くなっており、単著を残しているわけでも、商業誌で執筆していたわけでもないので、今では知らない人の方が多いかもしれない。
はるしにゃんは当時「メンヘ