失せた望み

窓からのぞむ稜線と青い雲と
崇高な時は止まったまま
虫の声だけが移ろう

望んでいたはずの光が
黄色い尾を曳いて
ぼくの視野から飛び去った

含み笑いを浮かべ
角の方から崩れていく
若さはまさにまぼろしだ

蜩が鳴いている
思い出がこれ以上
澄むことはない

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