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ものかきのおかしみと哀しみ

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すれ違った人たち
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#地方暮らし

持続可能なレタスと原稿

持続可能なレタスと原稿

原稿の畑と野菜の畑を行ったり来たりしている。

といっても梅雨が明けて真夏の太陽が降り注ぐと、畑で作業できる時間は限られてくる。早朝か陽が沈んだ夕方だ。昼間に畑に出るとそれなりの灼熱で溶けるし、野菜たちにもよくない。

まあ、それ以前に原稿畑の作業が忙しいのでほとんどそっちにいないといけない。

夏野菜もこの時期になると放任してもほぼほぼ大丈夫なのが多い。そんなに手が掛からないのだけど収穫は適宜し

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軽トラ先輩との別れ

軽トラ先輩との別れ

これもずっと書けなかった。

3月終わりの大雪でうちの果樹たちが倒木でやられたのだけど、実はあのとき、大事な相棒だった軽トラも倒木の下敷きになった。

軽トラって言ってわからない人もいるかもしれない。軽トラックのこと。田舎でよく見かける白い(白じゃないのもあるけど圧倒的に白が多い)軽自動車カテゴリの小さなトラック。

軽と分類されてても実は超タフにつくられてるので(軽トラの設計思想っておもしろいん

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イノシシが遊びに来た話

イノシシが遊びに来た話

最初に気づいたのは妻だった。

「うちにイノシシが来てる!」

真昼間である。いくら里山だとはいえ、人間の活動してる昼間にそれも家にイノシシが来訪する想定はしていない。

だからなのか、「イノシシが来てる」が現在進行形なのか過去形なのか一瞬よく分からなかった。

「え、イノシシって?」
仕事の手を止めて、妻のほうを見ると外を見ている。

一応、キッチンガーデンと名付けた(実際はそんなオシャンティな

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金網にランチを入れた日

金網にランチを入れた日

里山暮らしをしていると、機会が減るものがある。平日ランチもそのひとつ。

まあフリーランスなので、そもそも平日も休日もあるようでないのだけど、世間は「平日は平日」として動いてるので便宜上、意識はする。それでもたまに忘れるときがある。この前も10月22日が祝日だと過ぎてから思い出した。

で、里山には平日ランチのお店はなかなかない。いや、いくつかあるんだけど本気の隠れ家的な店で、どこも変に知り合いだ

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動物の賢さと人間の賢さは違う

動物の賢さと人間の賢さは違う

動物って賢い。わかってる人にはわかってることで、いまさらなんだけど。ただ、その「賢さ」が人間のそれとはちょっと違う。

なんだろう。人間の賢さって、ときどきどうでもいい方面にまで発揮されて困惑することもあるけど、動物の賢さはそういうのじゃない。とにかく生存するための賢さなのだ。

動物学者でもないのに何言ってんだって話だけど、わりと動物の近くの里山で暮らしてると「君ら、賢いな」と思うことがたびたび

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わかりにくい田舎暮らし

わかりにくい田舎暮らし

東京から信州に移り住んで3年が経った。思ってた以上のこともあれば、思ってたそのままなこともあるし、思ってもなかったこともある。うれしいことも、びっくりなことも含めて。

まあでも、そんなのどこからどこに移り住んだってあると思う。

のだけど、周りからみれば「憧れの田舎暮らしどうなの」とか「YOUは何しに田舎へ?」といった興味というか疑問はいまだに持たれる。

そんなのみんな自分の人生を生きるのに忙

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『サマーウォーズ』の里で暮らしてわかった大事なことば

『サマーウォーズ』の里で暮らしてわかった大事なことば

この夏、10年の時を超えて映画『サマーウォーズ』の仮想世界『OZ』が現実になり「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」てなってるけど、そっちは公式さんにお任せして。

あれからもう10年なのか、まだ10年なのか。時間軸がよくわからない。

2009年の初夏。半蔵門のTOKYO FMホールの試写会で『サマーウォーズ』を観たときは、まさか自分が10年後、映画の舞台、信州上田のお隣で暮らすことになってるとは

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梅雨の思い出

梅雨の思い出

何のひねりもないタイトルをつけてしまったことを、ちょっとだけ後悔している。

いやいや、そんなの変えればいいんじゃないか。誰にOKをもらわないといけないものでもないんだし。それはわかってる。でも変えないのは、そもそも「梅雨の思い出」なんてないからだ。

いま、前提が音を立てて崩壊した。その音を聞いた南米ペルーのアンデスを望むウニオン峠を行く荷運びのロバが足を滑らせそうになった。申し訳ない。

梅雨

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