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ものかきのおかしみと哀しみ

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すれ違った人たち
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2020年12月の記事一覧

もうひとりを感じられる人は、書ける人になる

もうひとりを感じられる人は、書ける人になる

基本的に書き手は孤独なもの。書いてるときは自分と向き合いながらだし、自分と向き合わないと何も始まらない。

もちろん、その暗闇みたいな孤独の中から自分の手で「何か」をつかむことは大事で、そこをお手軽にすっ飛ばして「他の誰か」がつかんだものの「一部分」とかを持って来て書くだけでは「自分の文章」は書けない。

方法論的、技術的にはそうやって誰かの一部を使ってちゃんと自分の文章を書くこともできるのだけど

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恋人がサンタクロースは5人いた話

恋人がサンタクロースは5人いた話

『恋人がサンタクロース』という有名な楽曲がある。ユーミンさんの。

有名ですよね? あまり自信はない。まあでも、このシーズンになるとどこからともなくよく流れてくるので聞いたことある人は多いと思う。

ユーミンさんの自伝的要素も成分に入ってるというのを昔何かで読んだことある。

で、別に楽曲そのものにはとくに思い入れはないのだけど、いつも気になってしまうことがあって。

それは楽曲のタイトル。

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なぜ書き続けるのか

なぜ書き続けるのか

師走ですね。あるいは年末。あと、最近、以前よりクリスマス云々あまり言わない気がする。個人レベルでもメディアでも。

あ、でも気のせいかもしれない。自分の周りが静かなだけでめっちゃクリスマス盛り上がってる人もいるかもしれない。

まあ、もともと日本の場合、クリスマスのポジションというか建て付けが独特だったから(もちろん宗教的意義においては別)、とくに何もないでも問題ないのだけど。

それはともかく、

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池袋サウスゲートの愛憎

池袋サウスゲートの愛憎

JR池袋駅の南改札を出ると、構内を圧迫する煤けたクリーム色の円柱が目につく。

円柱の前には待ち合わせする人。立ち止まってスマホの画面を追う人。デパートの買い物袋を抱えた人。

一か所だけ人の流れが淀んだ円柱の前には、三人の警察官に押さえ込まれて足を投げやりに放り出した作業服の少年。

警察官の後ろには棒立ちする無表情な警備員。

その前をエクレア3個入りみたいなファッションの女の子たちが笑いなが

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遅れてきた愚痴フェチ二日酔いnote

遅れてきた愚痴フェチ二日酔いnote

なんだか調子が出ない。いつもと違う。果てしなく知らんがなだけど。

昨日は #呑みながら書きました の日で、通常ならみんなの酔いnoteの、文字通り余韻が抜けない感じで「二日酔いnote」まで書くのがセットになってる。

あ、僕が勝手に自分でそうしてるだけで公式(?)ではない。

のだけど、今回は余韻よりべつのものが強く出てる。べつに「呑み書き」で疲れたとかではなく、もともといい感じじゃないのだ。

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夜の会議室で #呑みながら書きました

夜の会議室で #呑みながら書きました

ねぇ、ちょっと愚痴きいてくれる? いい府に気、雰囲気の場所で行如何にj、いい感じにそんなこと言われたことあったっけ?

自分の記憶をでぃぐってみる。なんでそんなことするかっていえば、それはもうこれだから。

もうっさすがになんでこんな誤字脱字だらけの能登を堂々と開陳してるか説明しなくてもいいよね。今日だけは許される呑み書きの日。念のため。

しかも店主マリーナが「愚痴フェチ」っていう、今年最大級に

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最近起こりがちなことは

最近起こりがちなことは

これはまったく個人の見解。とくに何か意図したものではないです。戯言。

誰かが声をあげる。おかしいんじゃない? 許されない。まあ声のあげ方はいろいろある。

そのうち、その声が増幅していく。

増幅された声はそれ自体が運動体になって、何かの対象を求めてさらに勢いを増す。運動体だからそのエネルギーが吸収されるか、何かを破壊して相殺されるまで止められない。

最初は声だったものが違うかたちに変質してし

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読みたくなる文章を書いてる人は何を着てるのか

読みたくなる文章を書いてる人は何を着てるのか

文章依存かもしれない。こういう言葉は使わないほうがいいのかもしれないけど。

じゃあなんて言えばいいんだろう。テキストジャンキー? 違うな。ビブリオフィリア? 少し高尚な気配を漂わせてみた。

まあなんでもいいのだけど、とにかく一日中、文章に触れてるのに、それでもまだ何か読みたくなる。

何を読みたくなるかは、そのときによって違うのだけど(朝昼夜とか時間帯によっても違う)、基本的に変わらないのは「

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君のシチューは僕を襲う

君のシチューは僕を襲う

冬の夜。

家路を急いでると、どこからともなく鼻孔をくすぐられる匂いがつきまとってくる。ひとさじの希望。しんとした空に昇っていくやわらかな気配。

シチューだ。

僕が考えるよりも早く、僕の中の誰かが声をあげる。
  
とくにシチューだけが好きというわけでもないのに、冬の家路のシチューは僕を襲う。

僕はなるべくシチューのことなんて考えずに、自分の部屋を目指そうとする。だけど、シチュー。
  

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