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【 福祉 vs 経済 】お涙ちょうだいなんてクソくらえ!〜 共感を超える市場 つながりすぎない社会福祉とアート 〜


昔から24時間テレビが嫌いでした。

子どもの頃からなぜだか見てられなかったのです。

障がいを持っている人たちが「 かわいそう… 」って
全国民から言われているような

そんな気がして
すごく悲しい気持ちになってしまうのです。

それは、

福祉の考え方から

そして

経済の基本原理から

逸脱しているからなのかもしれません。


こんにちは!
ボランティアYouTuberのイタチです(^^)
私は普段ウーバーイーツでかせいでボランティアをするという
生活をしています。
なぜそんなことをしているのかはコチラの動画をご覧いただけると
うれしいです!


このブログでは人生の生き方や悩みなどについて、
本や私の経験から書かせてもらっております。
少しでも楽しんでいただけると幸せです(^^)

さて、みなさんは「 障がい者アート」という言葉をご存知ですか?

「 知らない」という方もいらっしゃると思います。

日本では基本的に、障がい者の方が施設で
絵画やその他アート作品を製作し、
福祉ショップや市役所で販売をするというものになっています。

しかし、海外では芸術作品として売買されており、
1作品400万円という高額なものまであります。

私は昔からこの障がい者の方の作る作品が好きで、
友達とよくその話をしたりしていました。

すみませんがここからは、
障がい者の方のことを" ギフテッド "と呼ばせてください。

たぶんちゃんとした定義では違うのでしょうが、
私はこの呼び方がポジティブな感じがして好きなのです(^^)


ギフテッドの方のアート作品は、
独特な色使いと絵のタッチが魅力です。

しかし、大半の人はこの魅力がわからないといいます。

というより
魅力が伝わる前にまず「 障がい者の作った作品 」という
フィルターが入ります。

前にも書いた通り、日本でギフテッドの方の作品を売っているのは
福祉ショップや市役所になります。

要は、そこに
「 弱い立場の人の作ったものをどうか買ってやってください 」
という ” お涙ちょうだい " が入り込んでいるのです。

これが私は昔からもやもやしていました。

かといって私自身、
「 ギフテッドの方の作った作品である、ということを抜きにして見ているか?」
と問われれば、どうしても頭の片隅に置いてしまいます。

これはギフテッド教育の進んでいるアメリカでも同じことで、
作品を買うとき「 ギフテッドの方の作った作品 」ということを
気にする人はまだいるといいます。

このもやもやがずっと心の中にあったのですが、
この本を見たとき
「 これを読んだら何かがわかるかもしれない!」
と思いました。

その作品がコチラ


『 共感を超える市場 つながりすぎない社会福祉とアート 』
             アトリエインカーブ著

このタイトルを見たとき「 コレだ!」と思いました。
共感を超える、そしてつながりすぎない
このワードが何かをヒントをくれるようなそんな気がしました。

そして、この表紙の絵
とんでもない力強さを感じます(^^)

ということで今回の目次です。

①アトリエインカーブ物語
②経済から見る福祉
まとめ
経済なき道徳は戯言であり、
道徳なき経済は犯罪である。 by 二宮尊徳


それでは早速、

①アトリエインカーブ物語

この本は
2017年9月24日に行われたアトリエインカーブという施設の
設立15周年記念シンポジウムの内容を収めたものになります。

アトリエインカーブとは、
大阪市平野区にある社会福祉法人素王会による通所型の施設です。

Webサイトはコチラ

まず、建物めっちゃおしゃれですよね!
ロゴもおしゃれです(^^)

まさか施設だとは思わないですよね^^;

アトリエインカーブは代表の今中さんが
2002年に設立しました。

いまは展覧会を開くだけではなく、
都内やアメリカのアートフェアに出店するなど
目覚ましい活動を行っています。

そこに在籍しているアーティストの中には
先程も言ったような1作品で400万を売り上げる方もいます。

そんなアトリエインカーブの取り組みから
福祉と経済のジレンマについて考えていく
というのがこの本のテーマになっております。

アトリエインカーブは普通の福祉施設ではありません。

例えば、アーティストは絵を描きたいときに描きます。

「 普通じゃない?」と思われるかもしれませんが、
普通の施設では時間が決まっているんです。

作品を作る時間、片付けをする時間、ご飯を食べる時間…

1日の予定が決まっているんです。

でも、インカーブは決まっていません。

それどころか、描きたくなければ描かなくてもいいのです。

1〜2年作品を全く書かないアーティストもいるそうです。

これを聞いてみなさんどう思うでしょうか?

「 偏りすぎじゃない?」
「 自立を促していくことも必要なんじゃない?」

そう思われる方もいらっしゃると思います。

でも、そもそもアーティストってそうじゃないですか?

常に描いているアーティストさんもいらっしゃるでしょうが、
たまに描いて作品が評価されるアーティストさんもいらっしゃいます。

常に描いている方の中には、
家のことができず生活がめちゃくちゃになってしまう人もいます。

HUNTER✕HUNTERの富樫さんも休載が多いですが
作品はヒットし続けています。
(ちなみに富樫さんは休載中、全キャラクターの物語を
時系列にしているので時間がかかっているという話もあります!)

アーティストは少なからずそのような一面を持っています。
ギフテッドの方も例外ではありません。

また、インカーブではそこで働く職員の方も他の施設とは違います。

代表の今中さんは、
職員に求める1番の素質は
「 待つ能力 」であるといいます。

普通の施設であれば絵を描かなければ描くように促します。

でも、インカーブではそれをしません。

「 楽してるだけじゃない?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
それが平気な人はいったいどのくらいいるでしょうか?

人間は元来、じっとしているのが苦手な生き物です。

たぶんほとんどの人が平気ではいられないと思います。
作品を作るよう促したり、声をかけたりすると思います。

【 待つ能力 】

モンテッソーリ教育でも書かれていましたが、


モンテッソーリ教育を実践しているある園では
遠足でお弁当を食べていて、1人だけまだ食べ終わらなかったら
その子を責めることなく
みんなでその子が食べ終わるのを待つそうです。

その園の先生は、
「 その子を待てることのほうが大切です。」
と言っていたそうです。

これからは個々の時代です。

それを「さみしい」という人もいますが、
私はそれぞれが他人に依存することなく自立していく
素敵な時代だと思います。

そんな流れの中、
【 待てる能力 】は
これからの時代とても重宝されるのではないでしょうか?

むしろ、能力の高い人ほどこの能力を兼ね備えている気がします。

事実、インカーブの職員さんたちは
社会福祉士と学芸員の2つの資格を有しているそうです。

想像できますか?汗

私は社会福祉士の資格を持っているのですが、
試験勉強中何度もノイローゼになりかけました^^;

一度、落ちて2回目でやっと受かりました。

合格率が私の時は19パーセントという大変難しい国家試験です。

友達の中にもトラウマになっている人がたくさんいるという
もう絶対経験したくない試験です^^;

そんな社会福祉士だけでなく学芸員の資格も有しているなんて…
めちゃめちゃ優秀な人たちです!

そんな人たちがインカーブで働いているんです。

いままでの施設のイメージとだいぶ違いますよね。

この施設では 「 馴れ合うこと 」 をしません。

アーティストと職員の関係はまさに対等、
Win-Winの関係なんです。

アーティストは作品づくりに集中することができる。
職員はその生活をバックアップし、
作品を世に出すための支援をする。

アーティストは職員がいないと生活がままならないし、
職員もアーティストが作品を作り出してくれないと給料がもらえない。

お互いの利害が一致しています。

そこに「 かわいそう 」という感情の入り込むスキはありません。

ということで、

②経済から見る福祉

とはいえ社会福祉法人です。
アーティストも常に売上があるわけではないので、
当然、国の支援がなければ成立はしません。

福祉の要素ももちろんあるわけです。

ではここから経済の観点から見た福祉について考えてみたいと思います。

そもそも、「 経済 」という言葉は
中国語の「 経国済民 」が語源だそうです。

「 経国済民 」・・・ 民を救済して、国を治める。

という意味です。

これって…

「 福祉 」じゃないですか?!

経済というとどうしても「 お金を稼ぐ 」というイメージが強いですが、
もともとは福祉と同じような意味合いだったのです。

また、「国富論」でおなじみの経済学者 アダム・スミスさん

はこんな言葉を残しておリます。

「 われわれが酒や肉やパンを食べられるのは、
   酒屋や肉屋やパン屋の慈悲心ではなく
      自己愛によってである。」

市場の本質をついた有名な言葉です。

福祉と聞くとよく「 慈悲心 」とか「 やさしい 」というイメージがあります。

私もよく友達から
「 イタチはやさしいから福祉の仕事が合っている。」と言われますが、
なんかしっくりきません。

「 おれはこれが得意だからやってるだけなんだけど… 」
といった感じでむしろ、
「 バカにしてんの?」
って思うこともあります。
ダメですねー、ひねくれものでして^^;

でもなんかしっくりこないんです。

「 慈悲心 」というイメージがどうしても邪魔をしているような気がします。

慈悲心とは「 困っている人に手を差し伸べる心 」という意味です。

これと正反対のイメージにあるのが「 自立心 」です。

自立している人はなさけを受ける必要がありません。

でもこの本の中では、自立について
「 頼れるところがたくさんあるというのが本当の自立 」
であるといいます。

例えば、宮沢賢治「なめとこ山の熊」という物語で
猟師が町の荒物屋に毛皮を持っていくのですが安い金額で買い取られてしまう、
という描写があります。

ここで猟師は頼るところがこの荒物屋しかなく、
生活を支配されています。

これは「 自立 」とはちょっと違う気がしますよね。

他の町の荒物屋に行ったら高く買ってくれるかもしれません。
そういった荒物屋を他にも知っていたら
猟師はひもじい思いをしなくても済むでしょう。

そういった選択肢を持つということが「 自立 」なのではないでしょうか?

このインカーブのケースでいけば、
アーティストの方もとい、ギフテッドの方は施設に
あるいは国に頼ることができ
そういった場があることによって職員の方も能力を存分に発揮できる。
そして、アート作品が売れる。

という循環が生まれているのです。

頼る、という行為から経済がまわりはじめるのです。

これは慈悲心とかそういうことじゃなく、
立派な経済循環です。

ということで

まとめ
経済なき道徳は戯言であり、
道徳なき経済は犯罪である。 by 二宮尊徳

要は「 使えるものは使おう!」
という言葉の方が
福祉という言葉にしっくりくると私は感じます。

生きる選択肢が増える。

最近流行りのひろゆきさんも著書「 1%の努力 」の中で、


「 選択肢は多くしておいた方がいい。」

と言っています。

これは障がいのあるなしに関わらず、
すべての人に同じように言えるのではないでしょうか。

私たちのような一般に「 普通 」と呼ばれる人たちは
ある分野では障がいのある方と比較して「 定形発達 」と呼ばれています。

ただ枠にはまった成長をしている

それだけなんです。

ギフテッドの方だけでなく世の中にはいろんな人がいます。

レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー…

立場的に弱いと思われている人がいますが、
そもそも強い必要なんてないと思います。

いろんなところに頼ったっていい。

そこで生まれるものもあるんです。

インカーブの活動の中には、
美大での講義なんかもあったようです。

インカーブのアーティストの方が美大生の前で
ただ黙って作品を作るという内容の講義です。

一見、意味のないこの講義。

しかし、多くの美大生たちはこの講義に感動したそうです。

「 ただ好きだから作る。」

この気持ちを思い出させてもらったという感想が後を立たなかったそうです。

私はこのエピソードを聞いたとき、
いまAmazonプライムで見ている「 王様ランキング 」を思いだしました。


この主人公のボッチもギフテッドです。
耳が聞こえず、言葉も話せません。

しかし、そんな中懸命にそして純粋にがんばるボッチの姿に心打たれます。

だれでも与えられるものがあるのです。
できることがあるのです。

インカーブアーティストの講義や王様ランキングは
ギフテッドだから心を打つのです。

それは私たちにできることではありません。

私はギフテッドの方を「 一般の人と同じように 」とは思いません。

いろんな人がいるんだから、その人にしかできないことがある。

そういったマインドが
これからの福祉、そして経済活動を支えていくのではないのでしょうか。

最後に
この本で出てきた言葉ですごくニヒルでいい言葉があるので、
お伝えさせていただきます。

この言葉を残したのはまさかの
あの勤勉で有名な二宮尊徳さんです。


そんな二宮尊徳さんからまさかの一言が飛び出します。
しかし、これこそ真意をついてるなと思う言葉なので、
この言葉を今回のシメとさせていただきます。



いかがでしたでしょうか?

このブログではこのような人生の考え方や悩みについて、
本や私の経験から書かせていただいております(^^)

また、
ブログの内容を動画でお伝えするYou Tubeチャンネル


絵本を紹介するYou Tubeチャンネル


今回出てきたモンテッソーリ教育についての記事


ギフテッドに関する記事


もございますのでご覧いただけると幸せです(^^)♫

コロナの感染が広まっております。
最近、めっきり寒くなり免疫力も落ちやすいので
お忙しいかもしれませんが、しっかり休んでこの局面を乗り切りましょう!

それでは!

『 いつだって答えはSimple! 』

ばいばい(^^)♫

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