複素 数太郎

インターネットの神様

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記事一覧

「「マイナス内包」としての性自認の構成」感想

 直接渡されたわけではないので本文を読まない状態で以下の記事が公開される前にホリィセンと「「マイナス内包」としての性自認の構成」について議論はしていたが、ようや…

複素 数太郎
6か月前
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東京日記『まず、これを愛とします。』を読みました

扶桑社さんから『まず、これを愛とします。』を御恵投いただきました。もらえるものはもらっておけということで受け取ったはいいものの、どうやらバズっているらしいことと…

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「A は批判するのに B は批判していない」ことの指摘について

 「A は批判するのに B は批判していない」という指摘は便利だ。言われた相手は、少なくとも表面上は「一貫性がない」ように見えてしまうし、場合によっては本来触れる気…

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「今の価値観で昔の作品を裁くな」という必殺技について

「今の価値観で昔の作品を裁くな」という必殺技 いったいいつから使われはじめたのかわからないが、この頃はかなり頻繁に「今の価値観で昔の作品を裁くな」という必殺技を…

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小型特殊免許を取った

 1週間ほど前に無効マイナンバーカード再発行の手続きをしたのだが、これが受け取りまで1ヶ月以上かかるという。何度か引っ越ししたときに更新しなかったのが悪いとはいえ…

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人生

 一九九五年三月の大阪で、手品師の父と音楽マニアの母の間に、後に「複素 数太郎」と名乗ることになる子供が生まれた。父親の誕生日の翌日午前三時頃という、ほとんど誕…

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あれは鴨川だったのか?

 この記事は、サークルクラッシュ同好会アドベントカレンダー23日目の記事です。今年も「自分語り」がテーマですがもう過去の記事や会誌で散々書いているので川のことを書…

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統計学の「主義」批判に渡辺ベイズは一切必要なく、そこには一般的な記号操作におけるリテラシーの問題しかないのではないか

 ツイッター上で統計学の「主義」論争が先月からずっと続いているが、なぜか「主義」擁護側は批判者に対して「渡辺ベイズ主義」とレッテルを貼っているらしい。例えば僕な…

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「ベイズ統計は主観確率を扱っている」というあまりにも無意味すぎる主張について

 統計学について数学を専門とする者以外の人間が何か強い主張をしていたら最大限に警戒すべきだということは多くの人が経験的に知っているはずだが、ちょっと見ていられな…

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「データサイエンティスト」という言葉の濫用について

 データサイエンティスト協会が『データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説』とやらを公開したらしいので読んでみたが、これが本当に酷い。…

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今、アート界隈で何が起きているのか

 一部の人間たちの問題を「アート界隈」で括るのは不適切かもしれないが、大槻香奈という画家の権力や影響力、(文字通りの)フォロワーの多さを考慮してあえてこう表記す…

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それでも生活はほんとうに続いていくんだ、ほんとうに。いままで長いこと見てきただろう。来るかもしれないいつかにおびえているのは怖いことがたくさんあったからだ。そう…

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冬の出口

ㅤああ、なんと恐ろしいことか!ㅤまるで僕を苦しませておこうと誓いでも立てたかのような世界がたしかにそこにあると、この出口の光を見間違えるたびに世界は何度でもわか…

8

今までのこと、そしてきっと永遠に続く夏

 これはサークルクラッシュ同好会アドベントカレンダー2019の23日目の記事です。複素 数太郎(@Fukuso_Sutaro)が書いています。  もうすぐ2019年が終わる、すなわちテ…

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勇気と救済

やあやあ神様、あるいは誰でもいいから答えておくれ! 愛する者に愛されない人間の苦悩は、いったいこの世界でどうやって解消されるというんだい? 「お答えしましょう人…

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月が降った街

眼鏡を外せ 景色を見るな ぼやけた本物の世界を走れ 同じ度数を挟んで月が見下ろしてる 中身の詰まった月が膨らんでる 神様になったつもりのお前は きっと運命に遊び…

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「「マイナス内包」としての性自認の構成」感想

 直接渡されたわけではないので本文を読まない状態で以下の記事が公開される前にホリィセンと「「マイナス内包」としての性自認の構成」について議論はしていたが、ようやく当該論文が掲載された『情況』が手に入ったので読みつつ感想を書いた。哲学パートはそこまで不自然と感じる議論がなかったので、哲学パート以外の感想が主になってしまった。

第1節 はじめに(p.75〜) まず、この論文では「自分のことを女性(男

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東京日記『まず、これを愛とします。』を読みました

扶桑社さんから『まず、これを愛とします。』を御恵投いただきました。もらえるものはもらっておけということで受け取ったはいいものの、どうやらバズっているらしいことと「まず、これを愛とします。」という一文を文末に添えたツイートをたくさんの人がしているということしかわからず、完全に流れを把握できていないオタク君になってしまっているのでとりあえず感想を書きます。どう書こうかずいぶん悩んでしまったせいで、読み

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「A は批判するのに B は批判していない」ことの指摘について

 「A は批判するのに B は批判していない」という指摘は便利だ。言われた相手は、少なくとも表面上は「一貫性がない」ように見えてしまうし、場合によっては本来触れる気もなかった B の批判にエネルギーを消耗させられることもある。
 もしも言われた側が「A は批判するのに(まったく同じ理由で批判することのできる)B を称賛している」ような状況であれば、この指摘は致命的である。こういう場合は本当に一貫性

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「今の価値観で昔の作品を裁くな」という必殺技について

「今の価値観で昔の作品を裁くな」という必殺技 いったいいつから使われはじめたのかわからないが、この頃はかなり頻繁に「今の価値観で昔の作品を裁くな」という必殺技を目にすることが多い。必殺技と表現したのは、それを使う人々は多くの場合で個別の状況や内実などまったく考慮せずにどんなケースでもとりあえずそう言っておけばよいと考えているように見えるからだ。
 もちろん、ここ数十年における情報通信の発達や医学的

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小型特殊免許を取った

小型特殊免許を取った

 1週間ほど前に無効マイナンバーカード再発行の手続きをしたのだが、これが受け取りまで1ヶ月以上かかるという。何度か引っ越ししたときに更新しなかったのが悪いとはいえ、引っ越し程度のことで使えなくなるのは国民管理ツールとしてどうなのか。もっと真剣にビッグブラザーしてほしい。

 早急に身分証明をする必要のあるイベントが発生しているため、即日発行できる小型特殊免許を取得した。小型特殊免許というのは原付免

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人生

 一九九五年三月の大阪で、手品師の父と音楽マニアの母の間に、後に「複素 数太郎」と名乗ることになる子供が生まれた。父親の誕生日の翌日午前三時頃という、ほとんど誕生日プレゼントのような形だった。父親は息子を手品師にしたかったのか、ある時まで手品を教えていたが、数太郎は練習というものがあまり得意ではなかったために、十分にそれらを習得することができなかった。

 数太郎の自我が強くなり始めたのは三歳の頃

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あれは鴨川だったのか?

 この記事は、サークルクラッシュ同好会アドベントカレンダー23日目の記事です。今年も「自分語り」がテーマですがもう過去の記事や会誌で散々書いているので川のことを書きます。

 先月、友人のホリィ・センがニセNFをやっていたので京都に行っていました。サークルクラッシュ同好会関係者と久々に会って話して、フロントラインにも遊びに行って「あー、楽しかったなあ、やっぱり京都は良いなあ」と思ってたんですけど、

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統計学の「主義」批判に渡辺ベイズは一切必要なく、そこには一般的な記号操作におけるリテラシーの問題しかないのではないか

 ツイッター上で統計学の「主義」論争が先月からずっと続いているが、なぜか「主義」擁護側は批判者に対して「渡辺ベイズ主義」とレッテルを貼っているらしい。例えば僕なんかは渡辺ベイズの結果を一切使わず「主義」批判をしているし、統計学の「主義」がおかしなものであると指摘するにはこの立場で十分過ぎるだろう。情報量規準("基準"ではない!)がどうとか真の分布がどうとかなんて本質的でない話を持ち出す必要は全く無

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「ベイズ統計は主観確率を扱っている」というあまりにも無意味すぎる主張について

 統計学について数学を専門とする者以外の人間が何か強い主張をしていたら最大限に警戒すべきだということは多くの人が経験的に知っているはずだが、ちょっと見ていられないような酷いツイートがあったので言及しようと思う(計量経済学の論文には数学的誤りのノルマでもあるのだろうかと思ってしまうくらいに酷いものばかり読んできたので、経済学者に対する個人的な偏見や悪印象もかなり手伝ってしまっているが)。これはデマで

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「データサイエンティスト」という言葉の濫用について

 データサイエンティスト協会が『データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説』とやらを公開したらしいので読んでみたが、これが本当に酷い。何が酷いかといえば「データサイエンティスト」という言葉が濫用されていることなのだけれども、これは当該リストの存在を知る前から気になっていたことなので、ここで記事にしてみる。結論を先に述べておくと、「言葉を大切に扱いましょう」が僕の言いたいこ

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今、アート界隈で何が起きているのか

 一部の人間たちの問題を「アート界隈」で括るのは不適切かもしれないが、大槻香奈という画家の権力や影響力、(文字通りの)フォロワーの多さを考慮してあえてこう表記する。あと、こういう外野が勝手に書く文章は増田にでもアップすればいいのだろうけれど、これは公共性にかかわる問題かつ緊急事態なので、YouTubeや文学フリマなどで得た僅かながらの知名度をちょっと利用させてもらうために自分のnoteで書くことに

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それでも生活はほんとうに続いていくんだ、ほんとうに。いままで長いこと見てきただろう。来るかもしれないいつかにおびえているのは怖いことがたくさんあったからだ。そういう悪いこととそれに少し似たことや似ていないことで次こそ見えないライフゲージがきっとゼロになってしまうだろうから。そしたら人が死ぬところを見せてあげよう。きっと見せてあげよう。揺らいだ言葉がまた嘘の顔を覗かせ由来を隠して僕のうしろをついてく

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冬の出口

ㅤああ、なんと恐ろしいことか!ㅤまるで僕を苦しませておこうと誓いでも立てたかのような世界がたしかにそこにあると、この出口の光を見間違えるたびに世界は何度でもわからせようとしてくるのです。ほかならぬ希死念慮に疲憊しているただその時間だけが、僕に生きていることをわからせてくれる。そのことは、もちろんずっと前から鮮明に理解していました。幼い頃からわかっていました。しかし、愚かな僕は、まだ見間違えた一筋の

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今までのこと、そしてきっと永遠に続く夏

 これはサークルクラッシュ同好会アドベントカレンダー2019の23日目の記事です。複素 数太郎(@Fukuso_Sutaro)が書いています。

 もうすぐ2019年が終わる、すなわちテン年代が終わってしまうなどという悪質な2ちゃんニュー速のデマが巷で溢れかえっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕の小中学生時代をなんとか生存に傾かせたニコニコ動画とYouTubeの生まれたゼロ年代は残念なが

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勇気と救済

やあやあ神様、あるいは誰でもいいから答えておくれ! 愛する者に愛されない人間の苦悩は、いったいこの世界でどうやって解消されるというんだい?

「お答えしましょう人間様! ワタシはあなたの病気が見せる幻覚でございます。神様なんかのように高尚な存在じゃあございませんが、どうぞなんでもご相談くださいな」

なに、幻覚だって? そんなもんに聞いてどうするんだ! それに、ならば君は私の頭の中にいるってんだろ

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月が降った街

眼鏡を外せ 景色を見るな

ぼやけた本物の世界を走れ

同じ度数を挟んで月が見下ろしてる

中身の詰まった月が膨らんでる

神様になったつもりのお前は

きっと運命に遊び遊ばれているだけ

一瞬の永遠にすべてを放て

千キロを跨いで日食と日食の間を駆けろ

飲めない酒を啜り尽くして

ずぞぞとたてた音がお前の生きる音

これからのことは金色の手記にすべて書いてある

世界を憎む金色の手記に

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