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小型特殊免許を取った

 1週間ほど前に無効マイナンバーカード再発行の手続きをしたのだが、これが受け取りまで1ヶ月以上かかるという。何度か引っ越ししたときに更新しなかったのが悪いとはいえ、引っ越し程度のことで使えなくなるのは国民管理ツールとしてどうなのか。もっと真剣にビッグブラザーしてほしい。

 早急に身分証明をする必要のあるイベントが発生しているため、即日発行できる小型特殊免許を取得した。小型特殊免許というのは原付免許以外の運転免許の下位資格なのだが、農耕用トラクターなどの特殊な車は運転できるが普通自動車はもちろん原付すら乗れないという使いどころのわからない免許である。大抵の人間は普通免許を取得することでトラクター等の運転を可能にするのだが、ピンポイントで小型特殊免許を取得するやつはほとんどいないらしい。免許センターで小型特殊を受けると言うと何人にも困惑された。僕のように簡易な顔写真付き身分証として欲している者も大勢いるのかと思っていたが、反応を見る限りどうやらそんなことはないようだ。

 準備するものは以下の4つだ。

- 1500円分の収入証紙(銀行などで事前に購入  ※免許センターでも買えるが受付時間の関係上別の場所で買ってこないと試験に間に合わない場合もある)

- 本籍地入り住民票

- 本人確認書類(保険証など)

- 申込用の顔写真(縦3×横2.4  ※免許証用の写真は合格後改めて撮影する)

 顔写真は前日夜に、収入証紙は当日朝に購入した。顔写真は事前に切り取っておくこと。これをしていなかったためにコンビニで400円のハサミを買う羽目になった。身分証が欲しいというのに本人確認書類を要求されるのも少し困るが、そっちの方は幸い保険証でも年金手帳でも学生証でもだいたいなんでも用意できた。これすらすぐに用意できないという人は(保険証は別のところで既にだいぶ困っているだろうけど)一日で顔写真付き身分証ゲットチャレンジは厳しいかもしれない。住民票はよほど役所が近くない限り事前に用意する必要があるので、厳密には一日ではないが。

 勉強にはまず以下の書籍の前半部分を利用した。試験前日の夜に2~3時間ほど使えば大まかな内容は理解することができる。

 内容を頭にすべて詰め込むのではなく、法律がどのような考えに基づいて作られ、運用されているのかを曖昧に理解しておけばよい。あとは問題の文構造と解答が紐づいているケースがかなり多い。このような聞き方をされているのだからおそらく「正」だろう、「誤」だろう、と実際のルールを知らなくともかなりの問題に正答することができる。これは正しく安全に運転できるかを問う試験ではなく、「運転免許学科試験」というリズムゲームなのである。「必ず」「と思ったので」と出たらすかさず「誤」にマークすればよい、とかそういう要素が合否を分ける(単純化しているので真に受けてこのように回答しないこと!)。

 学科試験を解くにあたって最も困難なことは、いわゆる「学科試験論理学」というやつであろう。「A の場合は B でなければならない」という問いには、実際にそのような事実があったとしても「C の場合も B でなければならないので誤り」というとても素面で書いたとは思えない解答が用意されている(当然のことながら、実際に A⇒B であれば他にどんなことが成り立とうが A⇒B であることは揺るがない)。これはもうどうしようもないので、こんな意味不明な問題になぜ大事な試験の結果を左右されなければならないのだという怒りはなるべく抑え、諦めて運に任せたり学科試験論理学に適応するしかない。ややこしいのは、学科試験論理学が適用されない問題もあるということだ。他に成り立つ条件があっても素直に「A の場合は B でなければならない」でよい場合もある。まともな人間ならこの矛盾に気がついてどちらかを訂正するはずだが、学科試験の作問をしている人物はまともではないのだから仕方がない。僕は運に任せるという選択肢を取ることにした。

 試験当日の朝にはスマホ向けアプリでとにかく数をこなした。なんでもよいから学科試験対策用のアプリを入れて、家を出る前やバス・タクシーなどの交通機関利用時にポチポチと回答していけばよい。免許センターの待ち時間で解いたものも含めて330問。間違えたら5問ずつ同じ箇所をやり直していたので実際には400回ほど回答したと思われる。じっくり誤答を見直しながらやれば2時間ほどだろうか。これくらいの準備で合格することができた。試験直後に確認したら間違っている回答をひとつ発見したので満点ではないことは確かだが、合格ラインの9割には達していたらしい。住民票さえ手元にあれば前日に思い立ってもどうにかなるというスピード感だ。よく言われている小型特殊特有の問題は出なかった。「小型特殊」という文字列の含まれる問題はあったが、他の種類の免許でも問われるような内容だった。イラスト問題が二輪のものだったこともあり問題用紙が間違えているのではないかと表紙を確認したものの、そこにはしっかりと「小特」と書かれていた。

 合格後は簡単な視力検査と色覚異常のチェックをして、免許センター窓口で2050円の収入証紙を購入し、顔写真を撮影する。そうして2時間ほど待てばようやく免許証とご対面というわけだ。運転スキルなど何も身についていないのに免許証を持っていると、不思議な感覚を味わえる。これでめでたく顔写真付き身分証が手に入った。都市部から離れがちな免許センターへのタクシー代を含めると全体で2~3万ほどかかってしまったが、社会勉強だと思ってこれも諦めることにした。マイナンバーカードができるまでの1~2ヶ月間という短い期間しか有り難みはないが、これで身分証起因の困りごとは潰すことができた。

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