今、アート界隈で何が起きているのか
一部の人間たちの問題を「アート界隈」で括るのは不適切かもしれないが、大槻香奈という画家の権力や影響力、(文字通りの)フォロワーの多さを考慮してあえてこう表記する。あと、こういう外野が勝手に書く文章は増田にでもアップすればいいのだろうけれど、これは公共性にかかわる問題かつ緊急事態なので、YouTubeや文学フリマなどで得た僅かながらの知名度をちょっと利用させてもらうために自分のnoteで書くことにした。関係者全員にとってこのような記事は迷惑となるはずだが、アートの未来のために必要な告発だと確信している。
今、アート界隈で極めてグロテスクな事件が起きている。今北産業の人のためにまとめると、「権力を持った有名画家が」「薄弱な根拠と思い込みで若手作家に"盗用"とレッテルを貼り」「少なくない人々がこれを支持している」のだ。ことの発端は以下のツイートだ。少し長いが、引用する。
現在ondo STAY&EXHIBITIONにて開催されている、庄司理子氏の個展にて、私の主に2010-2012年(震災前後の蛹的テーマ)の制作技法、スタイル、パターンをそのまま盗用した作品群を確認いたしました。引用の表記が見当たらなかったことを疑問に思い、1週間前にギャラリーに問い合わせをしましたが、
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 13, 2020
現在、それについての返答が得られないまま個展を終えようとしています。ギャラリーは後日、私と会って話がしたいとのことで、その約束もしておりますが、個展が終わってからでは、あまりにも遅すぎます。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 13, 2020
また、今回の作家のインタビュー動画では、完全に自分のイメージであると解釈できるコメントをしていたものも確認済みです。詳しくはまた書かせて頂きますが、ひとまず、この不誠実を、私の過去作品やコンセプトを知っていながら(私の図録も作っていながら)
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 13, 2020
無自覚にこの作家の企画を行った、主にギャラリーの問題として向き合っています。全てが落ち着きましたら、また改めて書かせて頂きます。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 13, 2020
参考に私の「震災前後の蛹的シリーズ」を、ほんの一部ですが、添付いたします。これを機に、自分の当時の作品コンセプト(絵画とイラストレーションの狭間について)や、技法の構造、時代背景や影響なども含め、改めてまた解説したいと思います。 pic.twitter.com/Mc892SnJQJ
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 13, 2020
ここで大槻香奈は「全てが落ち着きましたら、また改めて書かせて頂きます」と述べているが、この後も問題が解決しないまま賛同意見のRTや一方的な言及等の実質的な「攻撃指令」を絶えず続けている。大槻香奈の主張は「制作技法、スタイル、パターン」が庄司理子に盗用されているというものだ。大槻香奈は自身の作品を提示することで作品の類似性を主張しようとしているようだが、庄司理子の作品と比較してどの部分が盗用であるのかを明らかにすることは見たところ一度もしていない。自分の作品だけを見せ、具体的な指摘を避け、ホラ盗用でしょ、と仄めかすことしかしていないし、ツイート検索や大槻香奈のファボ欄で見つけられるような支持者たちも同様に根拠を提示せず「盗用だ」と騒いでいる悲惨な状況だ。少しツイート検索するだけで、「"盗用"の具体的な根拠を知りたい」と感じている人々の存在が確認できる。僕も同感だ。参考に庄司理子の作品を貼っておく。
【東京・清澄白河/@ondo_gallery】
— ondo gallery (@ondo_gallery) March 3, 2020
「朽ちゆく日々の名残」と題し、流れる時間や事象の儚さ、その意味と向き合い表現します。
日本画の技術をベースに。表現を広げる、庄司理子の世界をご覧下さい。
-
庄司理子 個展
「#朽ちゆく日々の名残」
3.5(木)〜15(日) ※月火休み
→https://t.co/ElHIqEek6b pic.twitter.com/miKlhA5Jsi
傾向としてタッチは似ているかもしれないし影響も一切無いわけではないかもしれないが、「近いジャンル」程度の類似度だ。これが大槻香奈のオリジナリティであるとするのは明らかに無理があるだろう。自意識過剰であると言うほかない。「カゲプロのパクリ」を彷彿とさせる。(ここで2ツイート中の画像に含まれる共通のモチーフとして「月」があるけれど、「日本画」でグーグル画像検索をして5段目に出てくる画像に月をモチーフにした似たタッチの別人の作品が出てくる。こういう作風は普通にある。両氏の画材はアクリルがメインだが。)
上記ツイートに対する庄司理子の返答は以下の通り。影響を受けた可能性はあるが"盗用"はしていないという至極真っ当な主張だ。
大槻香奈が"盗用"の根拠として挙げているのは以下のものだ。
まずは、盗用を認めるか、認めないのかについての返答をありがとうございます。盗用の意思はない、とのことですが、私自身は納得していないことを表明いたします。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
ここで、何故私が「盗用」という表現を使ったか、以下にすこし書かせていただきます。 https://t.co/AeaaHgWBxT
まずは、盗用を認めるか、認めないのかについての返答をありがとうございます。盗用の意思はない、とのことですが、私自身は納得していないことを表明いたします。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
ここで、何故私が「盗用」という表現を使ったか、以下にすこし書かせていただきます。 https://t.co/AeaaHgWBxT
まず、私が1週間ほど前ギャラリーに問い合わせた際「これは大槻香奈の引用と思うが明記がない。実際のところどうか」という質問に対して、即座に返答がなく、かわりに「彼女はまだ駆け出しの作家、大事にしたい、この件に関しては慎重にいきたい」と、要約するとそのようなコメントをもらいました。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
私が彼女に対して言及すると彼女の作家生命が危ない(傷付く)かもしれない、だから配慮してほしい(大槻さんは立場が上だから)と、私はそのように意思を受け取りました。これは誠実な返答ではなく、ひとりの作家として全く容認できるものではありません。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
通常、美術作品を取り扱うギャラリーであれば、たとえば「これは彼女が意図して引用したものであり、◯◯のコンセプトをこういった形で乗り越えようとしたものである」といったような、引用元のリスペクトがあり、更に、
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
「美術的な意味で、ひとりの作家として、こういった方法で自立しようとしている」と、作家の唯一性がどこにあるのかということを、ギャラリーは主張してくるはずです。(これは普通のことで、最も誠実な対応です。そして誠実な引用であれば、当たり前に、私はまったく問題に思いません)
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
しかし、今回の件を「引用ではない」とするならば、それに向ける目は厳しくなります。今回すぐに返答を頂けなかったということは、これは現在、大槻香奈がまったく存在しなかった世界線で、庄司理子がいちから生み出した表現ということになり、
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
しかしそれは事実ではないので(大槻香奈は存在しているし、更に作家が影響を認めている)以上の理由から「盗用」の扱いとしたわけです。日頃美術館や現代美術ギャラリーに足を運び、美術の成り立ちや歴史について知る姿勢があるのならば、このリテラシーは当たり前に解ることだと思います。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
今回のようなことが、例えば、レンタルギャラリーでの出来事で、作家がまだ美術を学び始めたような学生であれば、表面的には問題なく、スルーされて終わることがあるでしょう。しかし今回とくに厳しい眼差しを向けたのは、仮にも美術作家を取り扱うギャラリーで(イラストレーターの方も多いですが)、
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
そのうえ企画ギャラリーで、更に影響元の作家(大槻香奈)と同じ場所で起こった出来事だったので、私としては自身の作家としての、今後の信頼度に関わることなので、意思を表明しなければならないと考え、ここに書かせていただきました。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
庄司さんは盗作の認識ではない、あくまで影響という姿勢ですが、以上の理由から、私は再度、盗用だと考える意思を、改めて表明いたします。これにて、説明を終わります。
— 大槻香奈 (@KanaOhtsuki) March 14, 2020
一般的な国語教育を受けた人間ならゼロ秒でわかる通り、上記ツイートで述べられていることは"盗用"の根拠ではない。「私は集団ストーカーから攻撃を受けているが、警察は取り合ってくれない。警察が不審な対応をするから、やはり私は集団ストーカーから攻撃を受けている」みたいなことを言っている。ここで示さなければならないのは、集団ストーカーから攻撃を受けているという物的証拠であって、「警察が不審な対応をする」という主観ではない。ギャラリーと会話した結果、「私はそのように意思を受け取りました」と思い込みを増幅させ、弁明の余地を与えられていない特定個人を名指しで晒し上げるという行為には正当性の欠片もない。この時点で、今後どれほど作品間の類似性を指摘したところで大槻香奈の行為が正当化されることはなくなった。また、リテラシー云々と言っているが、ある美術史家の見解は以下の通りである。(そもそも、「真似」であるかすら疑わしい段階なのだけれど。)
アイディアや技法や形式や様式はいくら真似しても盗作ではない。
— 松下哲也 (@pinetree1981) March 14, 2020
大槻香奈の最も悪質な点は、「自分は攻撃をする意図はない」と言いつつ、支持者に対する実質的な攻撃指令を発信し続けるという"政治"を続けていることだ。大槻香奈が「勇気を出して声をあげたヒーロー」として持て囃されている様子はあまりにも不気味だ。「落ち着いたら」と言いつつ批判的な言動を繰り返し、被害者ムーブを多数の美術関係者に披露し、自身を支持するツイートをRTし続けている。彼女の影響力・権力であれば、その真偽がどうあれ心ない中傷が相手に飛び、著しく名誉が毀損されることは小学生でも想像できるだろう。これが意図的な攻撃指令でないと考えることは難しい。少なくとも大学教員としてのまともな態度ではないし、謝罪のうえ一定の社会的制裁を受けるべきであるとすら感じる。今回大槻香奈にbetした人々についても、名前をしっかり覚えておいて今後かかわらないようにするのが得策だ。
もう一度今北産業でまとめよう。「権力を持った有名画家が」「薄弱な根拠と思い込みで若手作家に"盗用"とレッテルを貼り」「少なくない人々がこれを支持している」のだ。このようなことは絶対に許してはならないし、二度と起こしてはならない。それは、罪のない作家が理不尽に萎縮し、アートの貧困を招くことに繋がるだろう。
[追記]
"盗用"と"盗作"は違う、などという妄言で論点をずらそうとしている人間がちらほら発生していて、大槻香奈自身もそれを肯定的にRTしているけれど、そんな馬鹿げた主張は無視してよい。いきなり独自定義の概念を持ち出して「だからお前らはわかっていない」などという態度は、一部の自我のない人間にとっては有効な反撃に見えてしまうものである。人はなぜ……。
以下のツイートが的確であると思う。
話変わって、盗用という言葉はふつう著作物に対して使うときは盗作とか剽窃といった意味なので(庭に置いたバケツじゃあるまいし)、根拠も示さずにそんな強い言葉を使うことはできないし、そういう人は信用できないです。
— 松下哲也 (@pinetree1981) March 15, 2020
それにしても大槻香奈がRTしているこのツイート、本当に「カゲプロのパクリ」だったのでちょっと笑ってしまった。
例えばこの絵(←大槻香奈 →庄司理子)正面に月、山、花、人物、リボン、右下の白い動物、細部に至る技法やテクスチャー等、この絵はモチーフの再構成になっている。美術はコンセプトが重要なのと、歴史の更新なので、引用するなら元の絵を更新した上明記しなければならないという話。 pic.twitter.com/golLWLUEWz
— 中村 至宏 | Yukihiro Nakamura (@yukihiro_n) March 15, 2020
「月、山、花、人物、リボン、右下の白い動物」なんてあまりにも抽象度を自由自在に操作し過ぎておいて、意味のある指摘になっていると本気で思っているのだろうか。このタイミングで「月、山、花、人物、リボン、右下の白い動物」をモチーフとした絵を集める企画を立ち上げたら盛り上がりそう。
[追記2]
事実を羅列したものの方が客観ではなく個人叩きに見えてしまって明らかに理不尽な個人叩きに疑問を感じないの、たぶんEM菌とかマコモ風呂とかと同じで理性的な説得ではなく共感でしか動かない層がいるという話で、ここらへんに理解させるのってどうしたらいいのかなあと悩んでいる。
自分も多くこれは自分からインスピレーション受けてるだろうなという若い子の作品とか展示の仕方とか見てきたしなんなら酷似してる作品を公募展に出してる作家さんに対してギャラリーに問い合わせてくれたファンの方とかもいたけど、大槻さんのこの一線を行動する力って凄い事だと思うので応援してる
— ゆの (@_emakaw) March 14, 2020
アートという広く大きい単語を使った題であたかも客観視したように見せて個人を叩きまくってるブログが流れてきて、う〜んインターネット^ってなったので早く森に入り込みたい
— ゆの (@_emakaw) March 15, 2020
人は「お気持ちツイート」を批判しているツイートの2時間後にお気持ちツイートをしてしまう。悲しい生き物だ。
まじであの件理解せずにお気持ちツイートしてる人多くて全部ちゃんと読めな…って思う
— ゆの (@_emakaw) March 15, 2020
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