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金利が上がると、40円円高になる!?~投資信託の注意点~

投資信託の残高が伸び続けています。

投資信託協会の発表によると、2025年5月の公募投信全体の純資産総額は、過去最高の229兆円。1ヵ月で2兆2,470億円増加しました。

牽引したのは、
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)
の2つのファンド。

なんとこの2ファンドだけで、5,346億円(全体の23.8%)も増加しました。

新NISAで人気を集める2つのファンド、果たしてこれらに投資しておけば安心なのでしょうか?

今日は、金利上昇局面で注意していただきたい、「為替リスク」についてお話したいと思います。


注目すべきは「日米金利差」

2024年3月19日、日本銀行は「マイナス金利政策」の解除を発表しました。
しばらくは「緩和的な金融政策を続ける」とされていますが、今後どんなペースで金利が上昇していくのかに注目が集まっています。

さて、為替レートに大きな影響を与える要素の1つに、日本と米国の金利差が挙げられます。

例えば、日本の金利が0%で、米国の金利が4%なら、米ドルでお金を預けていた方が有利ですよね。

では、日本の金利が2%に上がったとしたらどうでしょう。
これまで、高金利を望んで米ドルで定期預金をしていた人たちが、円で定期預金をしたいと思うようになりますよね。

米ドルを円に両替する動きが強まると、円高になるのです。

円金利はどこまで上がる?

足元の短期金利は0~0.1%、長期金利は1.0%前後で推移しています。
今後はどこまで金利は上がっていくのでしょうか?

残念ながら、私自身は金利の専門家ではありませんので、みずほリサーチ&テクノロジーズ㈱のレポートをご紹介したいと思います。

同社の主席エコノミストの方の予想は、ずばり短期金利が2.75%、長期金利が3.50%です。

その根拠を確認してみましょう。

想定される日本の政策金利は2.8%(「予想インフレ率」+「自然利子率」)

まず、人々が予想するインフレ率についてです。政府が掲げる物価目標の持続的・安定的な達成が実現すれば、「予想インフレ率」は2%程度に落ち着くと考えられます。

次に、「自然利子率」について。覚える必要はありませんが、「自然利子率」は「潜在成長率(GDPの伸び率)」に近いとされています。
足元は0.5%程度です。企業の人的資本投資等を通じて生産性が上昇すると、「自然利子率」は0.8%程度まで上昇する可能性があります。

米国金利の動向は?

一方、米国の金利はどうでしょうか?
実は、米国では、日本とは逆に、利下げが議論されています。
米国の中央銀行にあたるFRBでは、2022年から金融引締めを継続してきましたが、2024年9月から金融緩和に転じるとみられているのです。

日本の金利が上がり、米国の金利が下がる。すなわち、日米金利差は、今まさに縮小に向かおうをしているのです。

「ドル円レート」と「日米金利差」は連動する

下の図は、「ドル円レート」と「日米金利差」を重ねたグラフです。
日米金利差は「5年国債」を採用しています。

2020年以降、見事に連動してきたことが確認できます。

2022年春以降、米国の急速な利上げを受けて日米金利差は拡大し、それにあわせて「ドル円レート」も115円前後から一気に円安が進みました。

このグラフからは、現在の1ドル158円という水準は、やや行き過ぎではないかとも考えられます。

今後、日本の5年国債利回りが+2.5%Pt程度上昇し、米国の同利回りが▲0.5%Pt程度下落した場合、40円程度円高に振れる可能性があるのです。

おわりに

いかがでしたか?

もちろん、みずほさんのレポートのように、本当に円高になるかどうかは誰にもわかりません。
しかし、円高は、海外の株や債券等に投資する投資信託にとって、大きな値下がり要因となることは留意しておくべきですね。

新NISAを利用して、コツコツ投資をはじめることは、ぜひおすすめしたいです。一方、個人的には、ドル建ての商品だけでなく、一部は国内株やリスクを抑制できる保険商品に投資してもよいのではないかと考えています。



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