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怖い話

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#恐怖

思い出の樹の洞(怖・短編小説)

『ここの奥に秘密の場所があるんだ!!』

『すっげぇークワガタ獲れるんだぜー』

『あれ〜ここの木にでっかい《穴》があったのに、、セメントで埋められてる、、』

『あ〜あぁ〜、、がっかり、、』

子供の頃は一人で虫を獲るのが大好きで、公園、墓地、神社、城跡、木の生えている場所をいつもタモを持って歩いていた。

特に山城跡の奥にある大木には大きな人が入れる程のうろがあり、そこから滲み出る樹液にクワガ

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コックリさん(怖・短編小説)

コックリさん(怖・短編小説)

あ い う え お 

か き く け こ

•   •   •   •

わ を ん

『あと、、YESと NO、、だな』

僕達3人と妹の珠美はコックリさんをやろうと色々準備をしていた。

結局、妹の珠美は

『怖いからヤダ』

と最後はメンバーから抜けてしまったが、、

3人は10円玉に指を乗せてコックリさんを呼び出し質問を始めた。

『よし、、やるぞ!栄三には好きな子がいる?』

栄三は

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知らぬが仏(短編小説)

知らぬが仏(短編小説)

《•   •   •  ブーブーブーブー(ポチ)》

《•  •  •   プープープープープープープー(ポチ)》

《•  •  •  ピーピーピーピーピーピーピーピー》

『はい!検査終了です。Nさん、、左右とも高音域が聴き取りにくいみたいですね。』

毎年恒例の健康診断、、よる年のせいか、いくつもの項目で調子が悪かった。

歳をとった老化現象に少し気が滅入る。

【カタ カタ カタ カタッ】

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無意識のエンドレス(短編小説)

《ザブ〜ン》

全身の皮膚という皮膚に激痛が走る。

もがき苦しみ手をバタつかせて、何とか水面に口を出す。

厳冬の海に投げ出された俺は、冷えて動かなくなっていく身体と薄れゆく意識の中で誰かの手を必死に掴んでいた。

次に目を覚ましたのはベッドの上だった。

白いパイプのベッド、固くパリパリとしたシーツ、お世辞にも寝心地のいいベッドとは言えなかった。

『お目覚めの様ね、、』

声のした方を見ると

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島の習わし(短編小説)

島の習わし(短編小説)

1人が産まれ、1人が死ぬ。

そんな島の暮らしがあった。

その島は耕作地が少ない、、いや年貢を納めた後の食べ物が少ないと言った方がいいのかもしれない。

過酷な年貢の取り立てで、島の収穫で養える人数は241人と決まっていた。

それ以上増えると【年貢】を納めた後に島の人間が【飢えて】しまうのだ。

そのギリギリの人数が決まっていた。

そして男が産まれたら男が一人、女が産まれたら女が一人【減る】

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強奪(短編小説)

強奪(短編小説)

兄が結婚した。

とても仲の良い兄だ。

小さな時から僕のヒーローでお手本でそしてライバルだった。

兄のやった事はなんでもやりたがり、兄が手にしたものは強引にでもなんでも欲しがった。

そんな兄が結婚後に初めて僕を家に招待してくれた。

兄の奥さんはとっても美人で、美味しそうな料理を沢山作って待っていた。    

暖かな家庭、暖かな家族、そして何よりも【可愛い犬】がいた。

小さくてフワフワで

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