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往年のファンも納得!少年心をくすぐる企画たち

 復刊ドットコムが復刊してきた書籍は幅広く、漫画や絵本、実用書、学習参考書など、ジャンルは多岐に渡ります。そんな中でも際立っているのが、かつて子どもだった大人たちを夢中にさせる、懐かしの名作。

漫画や特撮、アニメなど、戦後の日本を彩ってきたエンタメ作品の数々は今なお多くの人の心を掴み続け、復刊ドットコムに寄せられるリクエストも尽きることはありません。各作品の完成度の高さは言わずもがな、娯楽が限られていた当時、食い入るように眺めた漫画やテレビ番組が、いかに深く心に焼き付いているかが窺い知れます。

これらの作品にリクエストを寄せる人々の中には、作品そのものへの圧倒的な思い入れに加え、作家自身や制作環境にまで深い関心を持つ、知識量においては編集者顔負けとも言えるマニアなファンが存在しています。

そんなヘビー級のファンに喜んでもらうためには、どんな企画が良いものか…?今回は、復刊ドットコムが出した「答え」のいくつかをご紹介します!


(1)作品の裏側をたっぷり堪能!「トレジャーBOX」

 目玉となる書籍とともに、数々のお宝アイテムを収めたのが、「トレジャーBOX」シリーズ。これまで、『ワイルド7』やウルトラマンシリーズ、手塚作品などをトレジャーBOX化してきました。そこに収められているのは、作品の裏にあった“ドラマ”が形になったもの。編集の段階で端折られた部分であったり、作家のごく個人的な部分であったりと、これまで一般の読者が知りたくても知ることができなかった部分に光を当てています。

トレジャーBOXの一例

それぞれ収められているアイテムは異なりますが、複製原画や復刻版ポスター、作家個人の年賀状を複製したポストカード、秘蔵映像、過去のグッズのデッドストックなど、単なるコレクションに留まらないのが大きな魅力となっています。

『望月三起也トレジャーBOX/ワイルド7 & MORE!』の一部

 例えば、『望月三起也トレジャーBOX/ワイルド7 & MORE!』に収められた小冊子「素顔の望月三起也」では、望月先生の奥様や娘さんへのインタビュー、貴重な写真などを通じて、プライベートな生活やインスピレーションの源を垣間見ることができます。ファンであればあるほど、新たな発見に歓喜することでしょう!

(2)気分はまるで担当編集者?読める複製原画<漫画原稿再生叢書>

 現存する名作漫画の原稿を原寸大で印刷・製本したのが、<漫画原稿再生叢書>シリーズ。これまでに10作品がこのシリーズで刊行されました。漫画の作者が試行錯誤しながら描き上げていった軌跡がありありと残る生原稿は、作者特有の筆致や味わいを感じ取ることができる大変貴重なものです。作家本人に近い関係者でなければできない、生原稿を「読む」体験をできることが本シリーズの稀有な点。この企画は、展覧会などで複製原画を見ているときに感じる、「まとめて読んでみたいな」、「手に取って読みたいな」という願いを叶えるものなのです。

<漫画原稿再生叢書>シリーズ第1弾となる『仮面ライダー 連載第1回』外装

 編集者は、現存する何千枚もの生原稿の中から作品のハイライトとなる部分を選定し、生原稿の風合いをできる限り再現できるよう、何度も印刷所とのやりとりを行います。

 実際の原稿に近い用紙を使用して印刷した「生原稿」には、鉛筆でのあたりや下書き、消しゴム、ホワイトなど、読者の手元に届く頃には“綺麗な”状態になっている部分も描かれた当時のまま残されており、作者の息遣いが聞こえてくるようです。

その後、紙が曲がらずにすむようにノド側を180度開けるコデックス装幀で製本され、函に封入されて完成です。こうして仕上がった<漫画原稿再生叢書>は、生原稿の復元性の高さのみならず、読者がその世界観に没入できるような工夫がいたるところに散りばめられており、漫画の域を超えた、アート本とも言えるシリーズとなっています。

(3)あの頃の雑誌連載を再現!《オリジナル版》

  オリジナル版と銘打つシリーズの特徴は、雑誌連載当時、初めてその作品が世に出た時と限りなく近い状態で読むことができるということ。手塚治虫先生の作品を中心に、横山光輝先生、永井豪先生の作品でも《オリジナル版》を刊行しています。

(左)火の鳥《オリジナル版》復刻大全集 鳳凰編(右)火の鳥 《オリジナル版》 鳳凰編  

他の出版社からも出版されている作品をあえて《オリジナル版》として打ち出す理由は、雑誌連載当時と単行本とでは、その内容が大きく異なる場合がある、というところにあります。 

一般的に単行本化する際には大小の改稿が行われますが、手塚先生の場合は、ストーリー展開やセリフ、絵柄など、改稿が特に顕著であったことが知られています。作家本人の意思、出版社の意向など、単行本化する上で必要な変更であった一方、ファンにとっては幻のページとなり、初出バージョンを読みたいと願うファンも少なくないのです。

 なかでも、復刻大全集として発刊されたものは、雑誌サイズかつ、連載時の各話の刷色までもが再現され、当時のスケール感や雰囲気そのままに読むことができる、ファンにとってはまさに垂涎の的となっています。

《オリジナル版》には、扉絵やカラーページも収録されている。

これまで、当時の雑誌をめくることでしか味わうことのできなかった《オリジナル版》の魅力は、各バージョンを知り尽くす人や、かつて雑誌の連載を楽しみに読んでいた人にこそ、刺さるものがあるかもしれません。

(4)書籍の出版で繋いだ縁が実現する「グッズ」たち

  復刊ドットコムが企画するグッズは、多くの書籍を出版するなかで繋がってきた数々のご縁があるからこそ実現します。これまでに直筆サイン入りポスター、Tシャツ、マグカップ、アクリルフィギュアなど、いくつものグッズを展開しています。 

最近特に反響が大きかったのは、『ウルトラセブン』のヒロイン、友里アンヌ隊員のグッズ。同役を演じたひし美ゆり子さんの直筆サイン入りポスターに続き、アクリルフィギュアも制作されました。(※現在は受注終了)

ところで、グッズを企画しているのも、実は編集者。書籍の出版で得られた読者の声を拾い上げ、ファンの心をくすぐる企画を生み出そうと日々思案しています。アクリルフィギュアは、近年“推し活”で人気が高まるアイテムですが、これからも時流に乗りながら、さまざまなグッズの企画が生まれる予定です!

おわりに

子どもの頃はただただ夢中になって見ていた作品も、大人なってみると、作品の深みや、制作背景、作家本人の個性にまで、あらためて関心が生まれてくることがあります。

今回ご紹介したのは、まさにそんな大人の好奇心を満たすことができる企画たち。さまざまな角度から作品を見つめ、作品を形作る要素を結集し、マニアックすぎるほどにこだわり抜かれたこれらの企画は、往年のファンも思わず唸ってしまう仕上がりと言ってよいでしょう。

しかし、作品への愛が強ければ強いほど、新たな発見や体験への渇望は尽きないものです。かつて子どもだった大人たちが、これからもワクワクし続けられるように、今日もまた新たな企画の種が蒔かれています。


■この記事を書いた人
Akari Miyama

元復刊ドットコム社員で、現在はフリーランスとして、社会の〈奥行き〉を〈奥ゆかしく〉伝えることをミッションとし、執筆・企画の両面から活動しています。いつか自分の言葉を本に乗せ、誰かの一生に寄り添う本を次の世代に送り出すことが夢。
https://okuyuki.info/


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