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手間ひまを掛けてでも壊れたものを、自ら直そうとする、その訳は・・・

テント。それは屋外出店の際の重要な携行品、装備のひとつであります。

時には2日や3日に渡る出店の際に作品はもちろん、お客様を強い日差しや雨から
守り、ゆっくりとこころおきなく作品をご覧いただく為には欠かせないものです。

その大切なテントに不具合が生じてしまい修理をしました。これがなんだか随分と楽しかったのです。

テントの屋根を支える柱は4本。内、3つに不具合が生じ自立できない状態に
なっており、これを正常にする為、不具合の原因を突き止め、その解消をします。

柱にはスプリングの力を利用した、本体の高さを調整する為にストッパーとなる
突起が1箇所、更にはテントを規定の大きさで固定をする為の突起が1箇所。
つまり柱ひとつにつき[2つの異なる目的]の為のストッパーが2箇所ずつ有り
不具合の原因は、後者のストッパーが正常に可動をしていない点にありました。

柱内部の状態を観察し解決策を講じつつ、すこしずつ問題の解決へと歩みを
進めてゆきます。

ここで告白をひとつ。そもそも今回の作業へ取り掛かる前には、問題の解決は
難しいかもしれないとそう思っていました。手引書は無く指導者も無く、手の中に
あるのは、これまでの様々な経験と熱意それのみ。今回の作業は仲間と共に。
私と同様に出店へ向かう仲間と共に、テントの修理、その作業をやってみる。
しかも作業の場所は、私の馴染みの木工小屋ではなく出先にて。

仲間から治具を使ってみては・・・という提案がありました。

寸法がかっちりと決まっている柱の内部を通り、不適切な位置にあるストッパーを的確に定位置へと誘導させるための治具。

仲間がどこからか、板切れをひとつ出してきました。柱とは寸法が合わない、と
そう呟き、そんなに簡単にぴったりとした板切れがあるはずなど無いだろうと
私が小用へと席を外したその僅かな時間に、またしてもどこからか持ち出して来た板切れがピタリとその柱の内部の寸法に合ったというのです。

正にピッタリ。それを用いて、その場にあった、のこぎりとカッターを使い
ストッパーを誘導する治具を作り 1.治具の的確な操作を担う役 2.ストッパーが装着されるべき穴から僅かにその姿を見せるや否や、治具の操作を的確にする為の
先導と同時にストッパーを掬い上げ穴に収まるよう誘導をする役。その二手に
分かれ、作業を始めてみたなら、柱1本目、成功!  柱2本目、成功!  
残るは一本とそう思いきや、なんと残りの1本は穴のすぐそばにストッパーが
止まっているその様子が見えていると言うではありませんか。これについては
治具の出番は不要。
穴から見えているストッパーをまるで宥めすかのような言葉を発しつつ
とうとうすべては元通り!
これにてすべてのストッパーは正常な可動をするようになり、無事に修理は完了!!

ストッパーが所定の位置へカチリと小さな音を立てて嵌った、その途端に
思わず仲間と固い握手を交わしました。おそらくその瞬間には、頭の中で
ドーパミンが勢いよく溢れ出していたことでしょう。やったぁ~という
万々歳のこころからうれしい喜びの気持ちと共に。


身近なものが壊れてしまった時。それを捨てて新しいものを手元へという選択肢も
あります。

けれど、なおせるものなら、なおしたい。
自分の頭と手を使い、修繕への道を探ってみる。

もしもそれが成功をしたならば、それは作り手である自分にとっては、決して
お金では得ることのできない、それはそれは貴重な実体験・かけがえの無い財産となるのです。


追伸・・・・巻頭の写真は、私の好きな伊豆の大室山です。
すり鉢のような独特の形、たたずまいが、なぜか好きなのです。
目にやさしい緑に、ここのところ続く酷暑をやわらげる効果を期待し選んで
みました。