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資質を活かす(3)

前回までの投稿で、ある経営者Aさんを事例として、「ストレングスファインダー(ギャラップ社)」の活用方法について考えました。Aさんの「指令性」資質を前面に出した強い「指示型」リーダーシップが、10年前当時のトップダウンが必要とされていた環境にマッチしていたのであろうということについて考えました。
https://note.com/fujimotomasao/n/n604b0d28f321

Aさんが今目指しているリーダーシップスタイルは、前回取り上げたパス・ゴール理論で言うと主に「参加型リーダーシップ:決定を下す前に部下に相談し、彼らの提案を活用する。」を基軸にすることが当てはまるようです。そして、そのスタイルが、現在の同社様を取り巻く社内外の環境にも合っているであろうと、Aさんは仮説立てているようです。

私もストレングスコーチとしてAさんと対話しながら考える中で、その参加型リーダーシップを意識的に推進するために、Aさんは現在の自身の資質順位でトップである「調和性」資質に注目されました。調和性について、関連書籍「さあ、才能に目覚めよう」では、次のような説明があります。

「調和性の高い人は同意点を求めます。衝突や摩擦から得るものはないという考えを持っているため、そのような争いを最小限にしようとします。周囲の人々が異なる意見を持っていることがわかると、あなたはその中の共通する部分を見出そうとします。」

Aさんは「共感性」資質も高く、人の気持ちを敏感に感じ取るセンスの高い方です。会議室を抜けてしばらくしてから戻ると、自分がいない間に揉めてたのか、談笑していたのかなど、誰も何も言わなくても、何が起こっていたのか空気を見るだけで感じ取れるそうです。私にはあまりないセンスなので、うらやましいですが。

これら「調和性」と「共感性」の合わせ技で、「議論になっている時は、当事者以外の人たちの表情を注視しながら、考えを聞いてみる。重要な事案の最終判断は自分で行うものの、様々な視点からの意見を的確に得る行動を意識的にとることで、質の高い合意形成と納得感の醸成を行う。」のを目指すことになりました。

Aさんは他に、「競争性」資質が高いという特徴もあります。常に競争相手を見つけて、相手とのコンテストに勝とうとすることで行動エネルギーを最大にさせる資質です。打ち倒すべきターゲットを設定すると燃えるのだそうです。これを意識的に社外に向け、(いい意味で)「競合の○○社を叩き潰す」というスローガンを自分の中で掲げて○○社に勝つことを目指して経営戦略づくりに没頭する。そして出来上がった戦略を、「○○社を倒すため」ではなく別の言葉に置き換えて社内で周知する。そんな取り組みを意識的に目指すことになりました。これによって、以前は「指令性」資質によって満たしていた「周囲に影響力をぶつけたい」という志向性を、別の形で満たすことにもつながります。

つまりは、対社外で「競争性」、対社内で「調和性」「共感性」に紐づく自分なりのセルフトークや行動の発揮を、今まで以上に意識的に行うことで、Aさんが当面目指したいリーダーシップのスタイルを実現させていくというイメージです。このようにすることで、Aさんが経営者として描くありたい姿の実現に近づく可能性が広がります。

ストレングスファインダーに限らず、様々な自己分析ツールは、結果を見ただけでは効果が限定的です。上記のように、自分なりの方法を見つけて実行するとよいでしょう。

<まとめ>
ありたい姿を実現させるために、自分に合ったセルフトークや行動を定義し、実行する。


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