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離職の理由

先日、ある企業様で有力な人材の離職とその事後対応のテーマで相談を受ける機会がありました。
部門で核となる人物が退職することになりました。そのことに合わせて、今後その部門の責任者を誰にするのがよいのかについて、私の考えを聞かせてほしいとご相談を受けました。

個別の給与や職業生活を左右する問題でもありますので、私が特定の人物の名前を特別に推すことなどできません。その上で、同社様をこれまで垣間見てきての状況も踏まえて、下記の3つを満たしている人物であることが最優先ではないかと、考え方を申し上げました。

1.本人に部門長を務めることの覚悟ができている

「こういう条件が整うのならやります」という条件付き受諾の人では不十分でしょう。「ぜひやります。足らない部分は走りながら補いますし、社長にもサポートを求めていきますので。」というイメージで、自らが先頭に立つ覚悟ができていることが重要です。この覚悟は、ご相談を受けた企業様の部門長の間で、組織風土的に弱い傾向が見られることもあり、特に当てはまる要素でした。場合によっては、現時点の能力や経験値よりも重要になることかもしれません。部門が行き詰まった時や、問題を抱えた時には、自らが首を突っ込んで解決に努める。とても重要な姿勢だと思います。

2.自分個人や所属部署個別のことよりも、会社全体のことを考えている

ごく小さなユニットレベルの長であれば、所属部署個別の最適化に視点が集中していてもよいかもしれません。しかし、部門長ともなれば、所属部署は会社全体の一部として見るぐらいの、全体最適を考える思考が習慣化している人でなければならないでしょう。これは当然のことではありますが、なかなか難しいものです。全社方針で人員の再配置が行われ、自部門の優秀な人材が他部門に行く構想を聞きつけると、多くの部門長はその人材を引き留めるために反対しようとします。全社最適を通せるマインドの持ち主かどうかは、重要でしょう。

3.部下をはじめとする周囲の人の意見に対して、聴く耳をもっている

最終的に意見を採用できるかどうかは別として、部下や周囲の人の話を素直に聴こうとするマインドの持ち主であることも重要です。ある有力大手企業で人事責任者を務めていた方は、「部下に対する上司の礼儀作法」として次の2点を挙げ、どんなに忙しい時でもとにかくこの2点に取り組むよう強調していたそうです。とても有益な示唆でしょう。

・いつも機嫌よくしている。
・部下が来た時にすぐ部下の方を向く。

エン・ジャパン調べによる、「転職理由の本音と建て前ランキング」によると、トップ3は次の通りです。

建前
1位:仕事の領域を広げたい
2位:専門スキルや知識を発揮したい
3位:会社の将来に不安を感じる

本音
1位:報酬をあげたい
2位:上司と合わない、職場の人間関係が合わない、評価に納得できない
3位:会社の将来に不安を感じる

1位の要因を直接変えることは、いち部門長がすぐにとりくめることではないかもしれません。しかし、2位の要因は改善の努力がしやすいものでしょう。上記1.2.3.に取り組むことで、2位の要因軽減につながるものと思います。ご相談を受けた企業様のほとんどが、報酬ではなく周囲(特に上司との)関係性が主な離職要因でした。改めて、離職要因の多くが人間関係にあるという認識のもとで、改善のための行動・取り組みを考えるべきということでしょう。

<まとめ>
離職要因の多くが人間関係にある


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