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生活すること

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生きるって何だろう?それは生活することなのではないだろうか────30才で伊東市にある海の街へ移住して感じたことを書いています。
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2023年10月の記事一覧

深く息を吸い込めば

深く息を吸い込めば

東京から帰宅。伊東の駅へ降り立った時、引っ越してきたという新鮮さよりも、帰ってきたという安心感が沸くようになってきた。まろやかな伊豆の空気を身体へ取り込もうと、いつもより大きく深呼吸をする。ふと思えば、意識して呼吸をすることが増えた。やっぱり排気ガスにまみれた空気よりも、自然の香りがする空気を取り込みたい。躁鬱が酷かった時、知り合いに呼吸の仕方を教えてもらったことがあり、ゆっくり深く呼吸をすること

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海の向こう側から見る日本の日常

海の向こう側から見る日本の日常

5年前にシカゴでミックスをしてくれたグレッグ氏(以下グレちゃん)が日本へ来たとのことで、東京まで会いに行ってきた。あれから5年経っていることに驚きだ。あの頃は本当に全国各地を飛び回っていて、日本のみならず海外にも歩幅を広げ、刺激だらけの生活を送っていた。今もたくさんの刺激を受けているのは変わりないけれど、シカゴへ行くといったあからさまなインプット方法ではなく、日常の中から得られるようになったため、

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バックミラー越しに映る景色は

バックミラー越しに映る景色は

呼吸をするたびに、伊豆の柔らかい空気が肺を包み込む。意識しなくても、つい深呼吸をして体内へ取り込みたくなってしまう。伊豆の空気で充満した私の身体は緩やかに分解され、そのまま空気中へ溶け込んでいくような感じがした。私の躁鬱の波を穏やかにしているのは薬ではなく、きっと伊豆の空気なのだろう。

躁鬱の波にのまれて、生き方を変えると決めたあの頃から約1年が経った。当時について振り返ろうと何度も文章を書こう

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急ぎ足でやってきた秋と翼

急ぎ足でやってきた秋と翼

暑さは急用ができたかのように一気に立ち去り、秋の空気が街を纏う。夏掛けのタオルケットを洗濯し、扇風機を掃除して、部屋着にカーディガンを1枚追加する。涼しくなったと思ったらまた暑くなったりして、今年の夏は随分と踊らされた。タオルケットも扇風機も、今度こそさようならを告げる。

夏の間は行けなかった昼間の海へと向かう。海と言えば夏だけど、泳がない者としては楽しむ余裕は一切なかった。さらには太陽の角度的

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彩られる日常はなんてことない日常

彩られる日常はなんてことない日常

朝、いつものようにコーヒーを淹れて、作業部屋へと向かう。机に向かって正面にある窓の外は、青々としていた。山は様々な緑色に彩られ、トンビが空高く飛んでいる。山の下が海なのだけど、残念ながら見えない。この家が6階建てぐらいだったら見えたかも。でも毎日トンビの鳴き声と共に、この美しい山を眺めながら作業ができるのは最高の贅沢だと感じている。窓を開けると、冷んやりとした空気が入ってきた。ここ数日で急に涼しく

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どうでもいいことほど大切にする

どうでもいいことほど大切にする

ふと目が覚めるとカラスが鳴いていた。目覚ましでもニワトリでもなく、カラスの鳴き声で目が覚めるという新しい体験。最近は朝6時頃になると、カーカーと元気に鳴き始める。アラーム音は身体にストレスがかかってよくないらしいから、鳥のさえずりのように可愛くはないけれど、カラスの鳴き声で起きられる方がいいのかもしれない。ここではカラス以外の他の鳥も終始鳴いている。都会では絶対に聞こえない数だ。一体何種類ぐらいい

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海の街で出会っていく人たち

海の街で出会っていく人たち

朝起きて、窓を開ける。暑くもないけど寒くもない。ちょうどいいくらいの朝の空気が部屋へと入ってくる。その窓の外ではいつもの猫たちが一時停止して、こちらをチラリと見たのち通り過ぎていく。たまに知らない猫も通り過ぎる。最近はお水の減りが早いため、器をもう1つ増やしてみた。2つあれば自分がいない間でも少し長くもつ。

着替えて化粧をし、出かける前に配信ライブをした。話したいことがある時、コミュニケーション

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