【小説】私が夏になる【2000字ジャスト】
耳を塞ごうかと思ったけれど、よく考えてみればとくになにかの音がするわけではなかった。
止まらない汗、ファンデーションの滝、水分は補給したかな、えっいま私臭くないよね、帰りたい、気温何度だよ、隠す気のない丸出しの太陽、日焼けしたくない、帰ってシャワー浴びたい、ビール冷やしてたかな、帰りたい、はやく帰ってシャワー浴びて半裸でビール飲みたい、営業所に戻って伝票整理してるうちになんとなく涼しくなってしまいたくない、このイライラを保ったままアパートに帰って一気に発散させたい、帰りたい。