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公教育現場から考える、アートのこと、こどものこと②場を制すものはなに?

前回からスタートした、わたしの公教育冒険記。

今日は第2話。

この学校には、2人の図工専科の先生がいらっしゃり
そのうちのお一人の産休に代わり、わたしが半年間授業をもつことに。

前任の先生との引き継ぎを終え、私は2,4,6年生3学年×2クラス、合計6クラスを担当することが決まりました。
一年間のカリキュラムは作成されていましたが
コロナウイルスによる休校で、予定していた授業はほとんど行われておらず
良くも悪くも授業を立て直すことから始まりました。

・ざっくりと割り当てられた、各学年の授業数
・学習指導要領でクリアすべき課題(立体、平面、鑑賞、○○の道具を使う、など)
・まだ見ぬこどもたちに、田中でもできる授業
・途中になってしまっている課題の引き継ぎ
という4つの要素から、2学期の授業スケジュールを作りました。

初めて読む学習指導要領の冊子。
1学期の制作分の成績。
180名分の名簿。
初めて手にするものにドキドキしていたら
あっというまに夏休みが終了!

コロナウイルスの影響で、夏休みが短縮となった学校も多い中
わたしが務める小学校も、もれなく8月の最終週に授業がスタート。
2学期の開始とともに、田中先生、デビューです。


1.HPの消耗がハンパない。


小学校以外にも、幼稚園、保育園、学童、そして自分のワークショップと
いろんな現場をもたせていただいているため(ありがたいことです)
小学校にいける日は週2日。
週2日で、2時間授業を6クラス。
そう、2日間とも1時間目から6時間目まで授業が入っています。
しかも、通勤時間、2時間半。

なめとった....。

4:30起きで、8時の職員朝礼からスタートし
授業準備
⬇︎
授業
⬇︎
10分間の休み時間に片付け&準備
⬇︎
授業
⬇︎
片付け&準備&お昼
⬇︎
授業
⬇︎
片付け

授業中もみんなの制作をウロウロ見て回るので
座っていられるのはお昼の30分くらい。
ハード!!!
足が棒!パンッパン!!!

職員室でお話する先生に
「6時間授業は、大変でしょう...」
と言われる日々。
みなさんも大変でしょう!!
と思いきや。
そうか、担任の先生は専科の授業中座れるもんね。
音楽の先生はピアノ、座れるもんね。
専科の授業は、普通毎時間はないもんね。


なめとった....。
6クラス持ちます、と言った自分、乙...。


2.HPの消耗がハンパない。

初日、最初の授業は2年生。
自己紹介して
30人余りのこどもたちの持ち物チェックから始まり
制作スタート!
こどもたちの様子を見たかったので
初回は粘土の自由制作にしました。

みんな粘土が好きらしく
「すきなものを作っていいよ」
に目を輝かせながらもりもり制作。

だんだんと盛り上がりはじめ
友達の作品を見に行ったり
作品で戦い始めたり
「先生!見て!!」×30名。
一人一人見てまわりつつ
盛り上がっているこどもたちに
何かを伝えるため
おおおおおーきな声を出してしまう私。
名前もまだ覚えられないので
名指しで伝えることもできず
頼れる技は、声のボリュームのみ。

そんな授業が4時間続き
お昼には、げっっそり。
ハード!!!
足が棒!パンッパン!!!

なめとった....。


3.HPの消耗がハンパない。

続いて4年生。
年齢が高くなるにつれ、写実性を意識するようになり
『絵が上手くないから図工嫌い』
というパワーワードが発動しやすくなる印象があります。
そこで、4年生には
えのぐを使った絵画表現技法シリーズ。
初回はデカルコマニーと、ラップを使ったモノタイプを行いました。
抽象画や、偶然が生み出す美しさを伝えたい!
という思いから設定した課題です。

怒涛の2年生2クラスからの4年生はちょっと楽,,,
と思いきや、以外な盲点が。

「先生!えのぐは何色だしたらいいですか?」
「先生!えのぐまぜてもいいですか?」
「先生!お水かえていいですか?」
「先生!手洗っていいですか?」
「先生!もう一枚描いていいですか?」
「先生!....」
「先生!....」
「先生!....」

質問の嵐。

なるほど。
やっていいこと
気をつけるべきこと
この日の流れ
場をグランドルールをしっかり設定し
しっかり伝えないといけないのだ!!

と気づいたころには盛り上がっているこどもたち。
ここでも大きな声を出すことになりました。

なめとった....。


4.場を制すものはなに?

ふらっふらになって終えた初日。
6時間ぶっとおしで、たちっぱで足はパンパン。
6時間ぶっとおしで、大きな声をマスク越しに張り上げ
酸欠と気圧で偏頭痛。

通勤の2時間半は
読書したり
noteでも書いて
無駄にしないぞっ★

なんて甘い考えは一瞬にして消え
爆睡タイムとなりました。
パンパンになった足に
ただの重しと化した自分のノートPCと本がつらい...


そうか、自分の進行スタイルは
少人数だからできたことなんだ...!
このままでは、わたしもたない!
余裕がない私では、いい空間なんて作れないし
こどもたちもきっと怪我する!

と実感します。


さらにその数日後
教室から図工室に移動してきたこどもたちが
しばらく騒ぎ続けているのをみて
たまたまその場にいた担任の先生が一喝し
シーーーーン
と静まり返るこどもたちに出会います。
廊下に呼び戻され
整列しなおし
そろそろと図工室に入ってくるこどもたち。

担任の先生は、まったく大きい声を出さず
静かにこどもたちを諭します。
すっげーーー。
なるほど、たしかにわたしの子供時代の学校の印象もこれや...
でも、この空気感、なんかいやだなあ...


いつものスタイルでは自分が疲弊してしまう。
でも、こどもたちをビビらせるまとめ方もしたくない。
田中先生はあきらめない。
表現を、公教育でも楽しんでいただきたい。

「授業では、ワークショップと違い
一人一人丁寧に見ることが難しいと思いますが
先生はどうされますか?」

面接時に聞かれた校長先生の質問がこだまする。

さて。
わたしは、どんな態度をとっていこう?

冒険の幕開けです。

<つづく>




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