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お一人様のためのグルメコレクションvol.3



 今回ご紹介するのは、新宿三丁目駅から徒歩約1分の場所に位置する醤油らーめんの名店『はやし田』。



 実際ここに行ったのはカメラロール見返したら3年前の9月だったんだけど、この『お一人様のためのグルメコレクション』の第1回が高田馬場、第2回が渋谷ということで山手線沿線繋がりで今回は新宿にするかな~となり、その中で紹介するとしたらまずはここだろう、ということでわざわざ3年前の写真を引っ張り出してきた。



 その日は有給を取っていた日で、MARVEL映画の『シャン・チー』を観に行ってたんだけど、その帰りにらーめんでも食べるかとなり、ネットで「新宿 ラーメン 激旨」と検索してこの店に足を運んだ。



 結構な雨が降っていたにも関わらずかなりお客さんが並んでいたのを覚えている。



 当日の記憶の中で、一番印象に残っているのは私の前に並んでいた若いカップルだ。20代女性の方は銀座や丸の内あたりで働いていそうな華やかなOLという感じで、お高めなブランドアクセサリーを身につけていた。男の方も同じぐらいの年代で、髪にはこれでもかという程のワックスが塗りたくられ、如何にも「自分、デキる営業マンでっせ」という様な風貌である(多少の偏見はご容赦願いたい)。



 もう3年も前のことなのになんでこのカップルのことを鮮明に覚えているかというと、女性の方が甘えた声を出しながら男性の方にベタベタしていたからである。雨が降りしきる行列の中、相合傘をしながら恥ずかしげもなく公衆の面前でイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ…………ものをクチャクチャ音立てながら食べるクチャラーも嫌だが人目を憚らずイチャイチャするイチャラーも嫌だ。



 あまりにもベタベタイチャイチャしてるモンだから真後ろに並んでいる「恋人ナシ・年収激低・若ハゲ予備軍」である私への当てつけかと思った。



 大体らーめんって食べ物は精神を統一して終始無言で啜りながら食べるモンであって、そんな浮ついた精神性の人間共に職人が丹精込めて創り上げた味の機微がわかるのか?って話なんですよ、キラキラしたカップルは適当に東京駅周辺のイタリアンかフレンチにでも行ってフォークとスプーンでいろいろ突き合っときゃ良いんですよ、そしてその後は𝑯𝑶𝑻𝑬𝑳へ𝑰𝑵して別のフォークとスプーンで夜な夜なお互いを突き合いながらゴニョゴニョ…………。




 っていうかそもそもの話、この『お一人様のためのグルメコレクション』は一人で入りやすい店を紹介するというコンセプトなのになんでカップルが来店しちゃってんだよという話だが、筆者の持論では食券制&カウンター席のみの店は基本的に一人で来店すべき店であり、ここに来るカップルの方が空気の読めない「闖入者」なのである。実際、半分以上はお一人様で来店していた。




 だからこれをお読みのソロ活中読者諸賢は安心してこの店に突撃して欲しい。そしてもし若いカップルが来店していたなら「闖入者」として冷めた目で見るのが良いだろう…………流石に書いてて己の矮小ぶりが惨めになってきた。私にも多少なりとも良識はある。




 いや、当時の年齢である24歳なら百歩譲ってまだわかるよ、こんな思春期真っ盛りの中学生が考えそうな文章を書いてしまうのは。まだ社会人になって1、2年しか経ってないし学生気分が完全に抜けきってないのかな?みたいに思われることもあるからね。



 でも何が恐ろしいって3年が経過した27歳の今でも大体同じ感じのしょうもないことを同じ熱量で書いてるっていうね。もう救いの余地がない。



 27歳にもなるともう周囲が結婚とかし出して、なんやかんや表面上は軽いノリで取り繕いつつもちゃんと裏では人生設計を真剣に考えてたんだなー、って奴が増えてくるじゃんか。でも筆者は未だに3年前のイチャラーカップル思い起こして激しい嫉妬と怨念に駆られているからね、今でも街中で美男美女カップル見るとTシャツの襟元の部分を口元まで引っ張ってきてそれを歯で噛みしめながら「キーーーッ!この世は修羅よ!結局金と美貌がモノを言うんだわ!努力とかいう綺麗事はもうウンザリ!この世の全ての美男美女カップルが歯槽膿漏になりますように!」とか言ってるからね。最悪の七夕だよ。



 いつまでも精神が成熟しない27歳怖すぎる。来月で28歳なのも怖いしもう一生社会に出ない方が良いかもしれない。誰か助けてください。








 と、まあ御託はここまでにしておいて本題のグルメレビューの方に入ろう。




 今回私がいただいたのは、店の1番人気である『特製醤油らぁ麺』。

特製醤油らぁ麺 ¥1000



 まずはレンゲでスープをいただく。



 うん、んま~い。あっさりしているが、洗練された上品な味わいだ。この味に至らせるまでに並々ならぬ努力をしてきたんだろうなという感じの深みが伝わってくる。鴨と鶏から出汁をとっているらしく、ついゴクゴクと飲んでしまう中毒性がある。



 お次は麺。結構固めで、弾力があって食べ応えがある。スープがしっかりと染み渡っており、絶妙な調和具合。このスープに合うべくして創られた麺という感じのベストマッチさ。



 味玉も半熟加減が最高の出来で、まさに文句のつけようがない。



 変にしつこくないので、気付いたら完食してしまっている。



 うんうん、これはカップルで来店したくなるのもわかる美味さだ。負の感情を抱いてしまった自分が情けない。そうだよな、美味い食べ物の前では全人類が平等なんだ。すまなかったよ、「闖入者」とか排他的なこと言って。皆が美味しいらーめんを食べられる世界こそ真実なんだ。世界平和万歳。新宿『はやし田』よ、ありがとう。本当の愛を教えてくれて……。




 ……いや、どういう情緒?





 つづく

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